マガジンのカバー画像

街は劇場

107
日々すれ違う名も知らぬ皆にツッコんだりグッときたり
運営しているクリエイター

#1日1note

狸の豆腐 職人、仕事、場所、気持ち

豆腐屋の話をする。 通い出したきっかけはミーハー極まりない。 某江戸戯作者の名を商品名とした豆腐などがあると知ったからだ。 若くないけれど若者が来るのが珍しいのか。 御店主に覚えられて、たまにオマケもいただく。 御店主は顔付きも手付きも「The 職人」だ。 狸的な雰囲気を感じたりもする。 悪い意味での狸じゃない。 見た目がとかでもない。 なんというか長年生きてる狸みたいな。 『平成狸合戦ぽんぽこ』の長老狸的なね。 飄々としているのだけれど、 その手や皺や顔とかが、ああ、職

信号 灯 水槽

夜のロードサイドにぼんやり光るそこにはあたたかみがある。 けれどどこかしんとした怖さや寒さのようなものも感じるのはわたしだけかな。 人が思い思いの買い物目的で寄る場所、人工的な灯りと機械的な雰囲気、 でも人が居る24時間ずっとあいているその場所に。 しばらく臥せっている間に、 以前書いた改装中にもロゴが光っていてたコンビニが再開していた。 日曜の夜、すこし歩いて行くと青白い灯りに吸い寄せられるように人が入っていくのが見えた。 水槽みたい。 と、ぼんやり思ったのは赤

駄菓子 仕事中の逃亡とクソガキ

仕事中に逃亡した。 近所のコンビニにである。 さっきのことだが毎回のことだ。 ちょっと行き詰まったり、 というと大ごとのようだが全くもってそうではない。 書いててスッと言葉出てけぇへんなー、 これちょっとなんか体からスッと出てへん感じやなー、 そのままごまかして書いてもええねんけど、 そうすることも少なくはないんやけど (そうせなあかんことや仕事も残念ながら少なくはないねんけど) それはそれがなんか嫌やなーそれは、みたいな時は、 歩いたり、 コンビニという雑多な場所でいろいろ

猫 あの日歌ってた男と聴いてた女の子たちへ

すこし前に流行った「君は猫になって去った」みたいな歌を、霜月後半とある夜とある駅前広場で若い男がギターを弾きながら歌っていた。 イラッとした。 でもあの歌のなんかなんちゅうか雰囲気なんだろうか。 いや、寒さの中のあのメロディーあの歌詞、 しかも無名の若者が一生懸命に歌っているという状況ゆえか。 状況とエモさが重なり誰かの気持ちと共鳴するん? べたっと座り込んだ何人かの女子が一生懸命に聴いていた。 彼女らが猫が好きなのか今歌っている目の前の歌い手の顔が好きなのかは知ら

からだ 年明けのプロレスビッグマッチに人間を想う

身体。肉体。からだ。 1.2と1.4が終わった。 プロレスリングNOAHと新日本プロレスの年明けビッグマッチだ。 現地では観ていない。配信を観た。 前者は身内というか親戚の寄り合いというかごちゃごちゃ的なものから逃げれないのに逃げ切って観て、後者は仕事をしながら観た。 どちらにも特にめっちゃ好きな選手がいるかと言われたらそうではない。 どちらにも団体や会社へ思うところがありまくるというか、でも、観る。ツッコんだり怒ったりしながら観る。 例によって詳しいことは書かない、

丁々発止みな必死 わたしたちはみんな庵野秀明

「ペンギン村に住みたいなー」 なんてフザケて言っていたことを盆踊りの爆音『アラレちゃん音頭』を耳にして思い出した。 きっとめっちゃ体力いるやろけど。 まずお日様に挨拶せなあかんしなあ。 あれは若い頃、夏、 書き屋仲間何人かでドライブに行ったとき。 帰りの車中のBGMがなぜか昭和アニメソングだった。 かけたのは先輩構成作家。 べっくらこいた、ほよよでホイ。 流れてきた御陽気な音頭に思わずつぶやいたら、 パイセンがしみじみとおっしゃった。 「わかる。俺も住みたい」 「住みたいで

お祭りの夜 いつかの夏の怖い話

あれは何年前だったかな。数年前。 ちいさな公園で行われた盆踊りの夜。 聞こえてくる賑やかを通り越して家にはいられないほど大きな音につられ、祭の場所へとひとり向かったときの出来事でした。 輪となり踊る人、屋台に群がる親子連れ、 りんご飴に綿飴にソースの匂いにお面の顔、顔。毒々しいほどの色と匂いと音。 チューハイ、集う若者、呑む人々。浴衣。 肌に貼りつくような暑さとじめじめ。 輪に目をやってぼぉっとしていたら、頭に何かが当たりました。 当たるなんてもんじゃない、直撃しました、

まっすぐ それぞれの『青春の影』

チューリップの『虹とスニーカーの頃』を聴いた時はぶったまげた。 初めて聴いたのは若い頃、ワルい年上の友人たちとの徹夜カラオケだった。 だいぶ年上の「職業・芸者」の姐御が明け方頃に踊りながら歌った。 「この歌……すごい歌詞やね」 「え、そんなん思ったことないわ、でもそう言われてみたらヤバいな(笑)」 「ヤバすぎる、歌い出しから、しかも何度もそのフレーズ出てくるし」 「そういう時代だったのよね、おい和夫(笑)」 先日NHK「のど自慢」のトリとして登場した方の歌を聴いて数日して思い

骨 あなたって、あなたって

チェーンの古本屋のカウンターでお客さんが店員さんに延々話しかけていた先日。 (おっちゃん、にまでいかない、にいちゃん) どうでもいい世間話や己の話を延々と延々と買取カウンターでしていた。 わたしが売ってる間も買うてる間もレジに居て話しかけていたから短い時間ではない。 店員さんはうまく相槌を打っていた。いつものこと、いつもの人なんだろうなと思った。 なんやろね。なんなんやろね。キモいね。やさしいね。 以前スーパーで似た状況に遭遇して店員さんと目が合った話はここに書いた。 ほ

火曜日に大阪駅で鮫を見た。 嘘、鮫(サメ)のぬいぐるみを抱きかかえている 小学生くらいの男の子を見た。 なぜ鮫?! ギョッとしたのだが、 そういやこの何年か流行っているのですよね、鮫のぬいぐるみが。 IKEAの鮫。BLÅHAJ(ブローハイ)というらしい。 え、世界から流行なん? 世界的に流行してるん? え、何、ロシアから鮫が流行? それちょっとなんか嫌じゃない? あ、過剰反応? え、売り切れるほどなん? そんなに流行りなん? なんで? と、ちょっと調べたら、主にSNS

日曜日よりの使者

日曜夕方晴れ川沿いを自転車で走った。 諸々の理由で午前中ずっと力仕事的なものに駆り出されていたがやっと解放され、でもその延長の用で近所からすこしいった川沿いを走る、民家の並びも横目に走る。 ふとみると、と言っても通り過ぎる一瞬だが、 若い男の子たちが倉庫のガレージでバーベキューをしていた。 男4人、ちょっとヤンキー感もあるけれどそこまで若くもチャラくもない兄ちゃんたちが、げらげら笑いながら、でも騒ぎはすぎず、肉を焼いて、食べていた。 川沿い、晴れすぎない暑すぎない、空、雲、倉

Battle

仕事を中断して夕方アレルギーの定期健診へ行った。 相変わらずおばあちゃん院長とバトルである。 というと物騒に聞こえるかもしれないがそんなことはない。 よくもわるくも長い付き合いが故に 「あー、あんたか」って感じで接して来られるので、 こちちも一方的な診察を一方的には聞かない。 「はい」「はい」となにもかもを鵜呑みせずに 「え、それはちゃうんすけど」などど事実を伝えている。 偉い人だろうと医者だろうと自分自身だろうと 「まずは疑う」のspiritを余計なところで大発揮、 反抗や

阪神電車で仮面ライダーに会った

先日、阪神電車内でふと見上げた中吊り広告が「シン・仮面ライダー」。 タイアップ企画らしい。 キャッチコピーの「変わるモノ、変わらないモノ、そして変えたくないモノ」というのに「ほぉー」「ふぅーん」なんて思いながらもすぐに忘れた。 その帰りの阪神電車、混雑した車内で、わたしの隣に仮面ライダーが座った。 本を読んでいて、はっと気づいたら、 隣に座って来たヤツの背中にマント。ん? お行儀よくなく、姿勢よくない彼がもぞもぞと座ったり立ち上がったりして見えたのが正面というかお腹部分の

繁華街の駅のUFOキャッチャーで劇場みたいなシーンに出会った

GW、夜遅く、 繁華街の駅のコンコース内にあるUFOキャッチャーでいい風景に出会った。 ちいかわだったのです、 ちいかわがGetできるかも?! な台だった。 欲しいなあ、いいなあ、と思っていたのはわたしだけじゃなかったみたいで、わらわらと人が群がっていた。 そんなギャラリー多数の中、クレーンを操作していたのは、中年の、 いや、中年というのもちょっと失礼かな、でも若くはない女性。 その駅は正直治安がいいとは言えない繁華街の駅。 わらわらと群がっていたのもギャルとか