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街は劇場

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日々すれ違う名も知らぬ皆にツッコんだりグッときたり
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#歌

俺の中の 岡部たかしと某旅芝居関係者の歌からおじさんたちの気持ちと人生を思う

最近大ブレイクのイケおじ役者岡部たかしが ラジオ番組で尾崎豊を「これが俺だ! みたいな」と語っていた。 『I LOVE YOU』を劇団オーディションで全身白スーツで真剣に歌った。 「真面目にやったんですけど、変な奴が来たと思われとったみたい」 「これも好き」という『卒業』。 「歌い出したら長いのでカラオケボックスで皆トイレ行くんですよ、熱くなってるときに」 あのとぼけた感じで真面目に言っていたから吹き出してしまった。 数日後に思い出したのは旅芝居界でヒール(悪)とされてい

十八番 「それイマイチやわ。キモいわー」な路上ミュージシャンと

普段なら素通りだ。 でも足をとめた。 鶴橋駅のあのガード下の雰囲気のせいかな。 芸や生きることをぼんやり考えながらの嬉しい帰り道の日だったからかな。 スタンドマイクの下にさっきまで呑んでおられたのであろうロング缶が数本並んでいたのを見たからかもしれない。 「なにが人気? 得意ですか?」 「お! いいですか!?」 歌い出し歌い上げてくれたのは尾崎豊の『Forget-me-not』だった。 ちゃんと聴いた。 聴き終わり、口から出た、出した。 「それイマイチやわ。キモ

猫 あの日歌ってた男と聴いてた女の子たちへ

すこし前に流行った「君は猫になって去った」みたいな歌を、霜月後半とある夜とある駅前広場で若い男がギターを弾きながら歌っていた。 イラッとした。 でもあの歌のなんかなんちゅうか雰囲気なんだろうか。 いや、寒さの中のあのメロディーあの歌詞、 しかも無名の若者が一生懸命に歌っているという状況ゆえか。 状況とエモさが重なり誰かの気持ちと共鳴するん? べたっと座り込んだ何人かの女子が一生懸命に聴いていた。 彼女らが猫が好きなのか今歌っている目の前の歌い手の顔が好きなのかは知ら

昼過ぎに歩いていたらどっかの店から CHAGE and ASKAの『YAH YAH YAH』が聴こえてきた。 爆音で。 なんでやねん。 脱力してツッコんで、でも聴いてしまった。 改めて聴くとすごくないですか。 こんな勢いだけの曲ってある? しょうもないことを考えているうちに曲は盛り上がり盛り上がり 遂にあのサビに来る。 「ヤーヤヤーヤ!」 なんやねん。 すごい。すごすぎる。 陽キャとか応援ソングとかの域をもう越えている。 敢えて言うなら戦隊もののヒーローショー

まっすぐ それぞれの『青春の影』

チューリップの『虹とスニーカーの頃』を聴いた時はぶったまげた。 初めて聴いたのは若い頃、ワルい年上の友人たちとの徹夜カラオケだった。 だいぶ年上の「職業・芸者」の姐御が明け方頃に踊りながら歌った。 「この歌……すごい歌詞やね」 「え、そんなん思ったことないわ、でもそう言われてみたらヤバいな(笑)」 「ヤバすぎる、歌い出しから、しかも何度もそのフレーズ出てくるし」 「そういう時代だったのよね、おい和夫(笑)」 先日NHK「のど自慢」のトリとして登場した方の歌を聴いて数日して思い

演歌とソウルと峠の話

演歌の歌詞の大半は「アウト!」だと思っている。 笑えんけど笑えたり、笑わなしゃあないレベルで笑ったりする。笑えない。 例えば、ちびまる子ちゃんが歌うことでもお馴染み、 殿様キングスの『なみだの操』、あれ、あかんやろ。 おっさんが歌うからよりキモいと思ってしまうのかもしれない(失礼) 似た系統の「塩辛声のおっさんが歌う古い女(男にとっての都合のエエ女)の歌」といえば宮史郎とぴんからトリオの『女のみち』もある。っていうか、こっちが先。 この歌は旅芝居界でも1,2を争うイケメン

のど自慢はピアノ・マン

日曜昼にのど自慢で聴く『ピアノ・マン』はなんだかよかった。 のど自慢がのどじまんになった。 ロゴだけじゃない。司会者も代わり鐘のおじさんも代わり、生バンドもなくなった。 新年度から司会者が変わることはニュースで知ってたし、 鐘の名物おじさんが居なくなることは3月最後の放送の発表で知らされた。 でも生バンドがなくなることは知らず昨日番組が始まる直前に知人から聞く。 え、ないの。カラオケになるの。それはどうなの。 ちょっと検索したら同じ戸惑いを持っている人は少なくないみた

聖子ちゃんのすごさと歌の持つ力に今更気付いた

昨日、出先のちょっとお洒落なお店にて、 耳から頭にすーっと入って来たのはBGMで流れていた松田聖子の声でした。 「なぁーぎさにぃーしっろいパぁーラソル~」 松田聖子ってめっちゃすごいですね、ね、すごくない? 何言うてるねん今更どころの話ちゃうで怒られるで。 でもびっくりしたのです。 あの声、あの歌い方、すーっと、ふわぁーっと。 なんか眩しさすら感じました。「目」じゃなくて「耳」なのに! 歌って、歌詞と声と「ぴったんこ」じゃないと スッと頭に心に入ってこなくないですか?

いい表情(かお)論/熱唱の『ハートスランプふたりぼっち』に👓

円広志が歌手って知ってますか? 何言うてるねん。歌手やん。「飛んで飛んで♫」やん。 そない思う人は「若くない人」かもしれません(笑) 若者は知らんのちゃうか?とか思ったりもします。 関西の朝の番組で「人間国宝さん」を探してる眼鏡のおっちゃん? 音楽スタジオの経営で儲かっているおっちゃん? それすら知らんかなあ? そもそも関西以外の人は知らんのやないか? 大ヒット歌手やで。 大ヒットメーカーやで。 越冬つばめやで。 って、私、知り合いでもファンでもないのですが(笑)

Home sweet home/またはオバアのカラオケのこと

齢90を越えた祖母の特技で趣味はカラオケだ。 デイサービスで人気者らしい。 キャッチフレーズまでもろている。 「●●(地名)の藤あや子さん」 全く似ていない。でも十八番の『こころ酒』と『むらさき雨情』が大好評なのだ。 調子に乗ってカラオケの日が近づくと稽古をしたがる。 昔得意としていた歌を再レッスンしたい。新しいレパートリーも増やしたい。 で、私が毎週祖母宅を訪ねてゆく日はお相手役だ。 「『こころ酒』は手拍子しやすいから皆喜びはるねん。手拍子の出来そうな曲探そや」

『三日月』にまつわるエトセトラ

ついこのあいだの話。 近所のカラオケスナックの前を通ったら熱唱が聴こえてきた。 「がんばっているからねーって、つーよーくー-なるからねーって」 この曲、好きな人多くないですか。 中でもオッサンでこの曲好きな人って多くないですか。 絢香の『三日月』。 私的に「なんでおじさんってこの曲好きなんやろランキング」上位に入る。 統計をとった訳じゃないからあくまで「私的」やけど。 あの歌詞。あの歌い方。あの歌詞。 エモいなんて言葉もなかった2006年にリリースされ、 まさかの2022

それは皆の人生のステージ/『NHKのど自慢』のことや劇場のこと

『NHKのど自慢』って、人間社会の、世界の、日本の、縮図みたいやと思いませんか? 人間そのものの魅力にあふれていませんか? 日曜日の昼、この番組を観て、泣いているのは、私だけないと思うのです。 泣いたり笑ったりツッコんだり、忙しくしているのは。 昨日ひさしぶりに観ました。 この番組は情報量が多すぎてうっかり観てしまうとバテてしまうので 途中でやめようと思ったのだけれど気づいたら最後の いつまで経っても気持ち悪いくらい老けない郷ひろみが なんか意味わからんノリだけの歌を晴れや