マガジンのカバー画像

日々日々

261
1日(なるべく?)1エッセイ。思うこと考えることを綴っています
運営しているクリエイター

#考えたこと

ロングロングアゴー 「今」の話

つい昔の話で盛り上がる。 先日若い頃の芝居仲間から連絡が来た。 自分が芝居を始めるきっかけとなったメンバーの出演する小劇場演劇というかコントイベントに行ってきたという報告だったのだが、 そこからわたしが今年再演? 再再演? された松尾スズキの『ふくすけ』(観たかった!)の話題を振ったら鴻上尚史の『朝日のような夕日をつれて』も「2024」として今やってますよねしかも主演は……! それな! 今をときめく大河俳優ですよ! いや、ほんまに! という話、からの、当時の感想メモとか引っ張

「素敵」と「切り取り」 今日も素敵な1日を

「皆様にとって素敵な一日になりますように」 ある日地下鉄御堂筋線の朝の電車に乗っていたら車内アナウンスで流れてきた。 なんやねん。   行く度にガリバー旅行記みたいな気分になる某大型量販店でも 同じようなこと言う店員さんが居たことを思い出した。 「今日も素敵な一日をお過ごしください」 このときは、このときも、帰りのチャリを漕ぎながらずっとめっちゃ考えた。 どういう意味やねん。   そもそも素敵ってなんやねん。   この言葉って勿論いい意味。 でも広すぎる言葉やなあと思うことも

列と雨と晴 新 蜘蛛の糸

その朝、クソ雨の中を早足で向かうともう列が出来ていたから冷や汗が出た。わたしが最後尾、最後の一人だったから。危なかった!   病院へ向かう送迎車に乗るための列なのだ。 かなり不便な場所にあるそこにここ2週間毎日通っていた・いる。 路線バスを使えばいい。送迎バスは陰気だ。そんなこと言ってはいけない。 でも滅入る。しかも暑い。ドライバーも感じが悪い。いやそれも仕方がない。 タダで送ってくれる。しかも早い。 でも8人しか乗れない。 9人居たら? 最後の一人は放っていかれる。 それが

聞くこと 言葉と気持ちと人生を

尊敬する社会学者のリポストしたつぶやきに頷いた。 激しく同意というより「うん」「ほんまに」とじわじわ頷いた。 やさしい人ほど黙ってしまい、 気にする人ほど気にして何も言えなくなる時代かもしれない。   なにかを言えばマウントだハラスメントだ、 昔の話をすればロートルだ古参マウントだ。 なんでそうなるのかなそう言われちゃうのかなあ。 と、いつも考えてしまうのは己も若くなくなったからかもしれない。 でもそれだけじゃなく、コスパとかタイパとかいう言葉が出来る つまり重要視されるよ

体と表現と舞台と劇場、謎の忍者からの

「からだ」って、すごい。 「きもちとからだ」って、言葉では言い表せないくらい、おもしろくて、 劇場って、ほんま、すごいよなあ、ええよなあ。 と、改めて感じたというか考えた話を書きたい。  ニンジャ・マックをご存じか。 マクドのメニューではない。サムライマックではない。 レスラーだ。空中技、空中殺法のレスラー。なんか変なんだ。変な奴だ。   シルクドソレイユ出身らしい。 スタントマンとかもやって、格闘技を経て、プロレスへ。 誰が考えたか知らないキャッチフレーズ「カミカゼ」って

フリマとポケット 仕事といい仕事

マーケットの語源はラテン語、商品や商うという意味らしい。 バザーの語源はバザールでイスラム語だったかペルシア語だったか、 市場だとか物の値段や価値が決まる場所という意味らしい。 つくったりあつめたりあつまってひとつの場所でそれらを売るというイベントはどこかしらでいつもおおきなものからちいさなものまでまあ行われているわけであなたもよく行くかもしれない。 わたしも通りがかると覗くし時折出向きもする。 そこは世界だと思う。   例えば「手作りフリマ」的なやつには かわいいものや個

信号 灯 水槽

夜のロードサイドにぼんやり光るそこにはあたたかみがある。 けれどどこかしんとした怖さや寒さのようなものも感じるのはわたしだけかな。 人が思い思いの買い物目的で寄る場所、人工的な灯りと機械的な雰囲気、 でも人が居る24時間ずっとあいているその場所に。   しばらく臥せっている間に、 以前書いた改装中にもロゴが光っていてたコンビニが再開していた。 日曜の夜、すこし歩いて行くと青白い灯りに吸い寄せられるように人が入っていくのが見えた。   水槽みたい。   と、ぼんやり思ったのは赤

卵とピタゴラ装置 Stay Salty vol.36がリリースされました

昨日に引き続きではありますが件のコラムの御案内をさせて下さい。 素敵なアートディレクターによる編集&デザインによる、 世界各地の素敵な皆さんの〝願いのような想い〟が綴られている グラフィックWebマガジンです。   10月から書くこととなり、 そこからのご縁で12月からメンバーとして参加、 そして昨日、新年2弾目、夏前号(!)がリリースされました。 本日のタイトルは今回のコラムからです。 毎回楽しく自由に書かせていただき、 毎回本当にきれいにデザインして下さるページを

盛り合わせ 盛り合わせてほしい人とほしくない人

コロナ後からかな。 スーパーの揚げ物でもパン屋のパンでも ひとつひとつ個包装がされていることって、多くない? 「個包装は環境に悪い」などと言われている一方で。 環境問題は勿論だが、「面倒臭いやろなー」と思う。 清潔感はあるし保たれる。でも、人手が要るよなあ、大変やんなあ、って。 それ以外のことは想像したこともなかった。   高齢女性がスーパーの揚げ物コーナーの前に佇んでいた。 並んでいるパックと、通りすがろうとするわたしの顔を、交互にめっちゃ見る。 来るぞ、と思った。 「これ

不適切とモヤとスタート地点 ドラマ『不適切にもほどがある!』を再び考える

ドラマ『不適切にもほどがある!』が、結構叩かれているみたい。 「せやろな」「せやな」と思った。 1話目を観たわたしはうれしかった。 笑ったり笑ったり、なつかしさを感じたりもしていたから。 時事ネタがではない。 「よく観ていた頃の小劇場」感、がちゃがちゃごちゃごちゃ生き生き感、ギャグやオフザケを散りばめながら「言いたいことを伝える」を感じてだ。 でも、かな、だから、かな。でも、かな。 2話目くらいから「ん?」を思い始めた、「ん?」と「んー?」だ。 「ああ、これは、叩きがいがある

人生の楽園 とある島で聞いた話から

今まで足を踏み入れたこともない島での話をもうひとつしたい。 耳にした言葉が頭を離れないから。 「あいつらは勝手に来て好き勝手に自分たちのやり方で好きなようにやって飽きたら出ていく。ずっとこっちでやってきた者のやり方やったり気持ちやったりはないがしろにしてちょっと声かけるだけやったり全く声かけんかったりしてな」 知らぬ土地から知らぬ土地へ店や農業をやろうと来る若い人たちが後を絶たないのだそうだ。 「こっちも牛窓みたいになるんかのお」   「田舎で暮らそう!」「アイラブローカル地

鬼をおもう日 居る居るあっちにもこっちにも

鬼って、なんやろ。 考える、考えた、節分の日に。 節分の日やから余計に。 会えましたか、みましたか。 どうしました? 自覚しました? 払いました? あなたにとっての鬼も、あなたの中の鬼も、両方共。 節分当日や前後は各地でイベント事多々。 近くはなくても近くの有名なそれらには、 散歩気分だとしても、足を運んでおきたい。 好き嫌いや肯定するしないはさておいて。 夜に訪れた神社の豆まきタイムには、 一体どこから? と思うほど人が集まっていた。 コロナの影響を受けてこの数年は開

流星 「私は留学生です。生活に困っているので、お菓子を買って下さい」

あなたは出会ったことがありますか?  会うかもしれません。   事は先週とある日夜の鶴橋駅。 乗り換えのために降りたら、知らない女性が近寄ってきた。 異国の若者だった。 すみません、と、呼びとめられた。 「?」 彼女は、気を向けたこちら(わたし)の目線を向けさせるように、 自身の持った紙袋の中を指さした。 紙袋の中には、手書きの紙。 ≪私は留学生です。生活に困っているので、お菓子を買って下さい≫ 「!」 ごめんね正直に言うね。 こわかった。なんかわからんけどこわかった。 だか

「お待ちどぉさん」の極意 美味さつまりいい仕事に満足

食べる前からもう気持ちよかった。あったかかった、 「いらっしゃいませ!」 暖簾をくぐるとまっさきに迎えに出て下さる御店主であろう年配の男性の、 うるさくなく嘘くさくなく爽やかなのに押しつけな爽やかさじゃない上品で清潔な色と大きさの声と、その声にしっくりぴったりな笑顔。 席に通されると、若いひとがお手拭きと一緒に運んでくれるのは2種類。 お水と、程よいあったかさのほうじ茶。わあ! その日は夜と夕方のあいだくらいの時間なのにちいさな店内は程よく賑わっていて、客の顔ぶれはさまざま。