百道みずほ

初めまして。百道みずほです。2023年デビューした、崖っぷち小説書きです。お仕事募集し…

百道みずほ

初めまして。百道みずほです。2023年デビューした、崖っぷち小説書きです。お仕事募集してます。コンタクトはnote最下部にあるクリエイターへの問い合わせからお願いします。

マガジン

  • 初めから君に恋してる

    創作大賞2024応募作品 杉浦陽葵は高校2年生。ピアノのコンクールに出場するくらいピアノ腕前があり、オーケストラ部に所属している。しかし、最近ピアノと向き合うのが怖い。 ある日フリーマーケットで、レトロな雰囲気の、壊れたポラロイドカメラを買う。偶然一枚だけ写真が撮れていて満開の桜が舞い散る中を足を引きずって走るランナーの姿が写っていた。陸上部の元エースの崎山蓮は、ピアノを教えてほしいと陽葵に頼む。文化祭で二人はピアノの連弾で校歌を弾くことになり、文化祭は大成功に終わった。陽葵の姿を見て、崎山蓮ももう一度走ることを取り戻し、二人はずっと一緒にいようと誓い合う。陽葵は音楽家になる決意をするが、蓮は病に侵されていた。

  • され妻の夫は宇宙人

    創作大賞2024応募作品

  • 日々のこと

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書籍化されます!

聞いてください! なんと、私、商業デビューになりました!長生きしてみるものです。 『恋するヒマワリ 青空と自由の国から、この絵をきみに』が集英社さまより10月20日発売します。 2022年エブリスタ×ナツイチ小説大賞の恋愛短編部門の受賞作品集で、百道みずほの作品「地球最後の日」も収録されています。頑張って加筆修正しました! 集英社さま、エブリスタさま、南野先生にとても感謝です。お礼をちゃんと言いたいです。ありがとうございます。 著者は佐藤うさぎ、水野七緒、百道みずほ、

    • 「され妻の夫は宇宙人」、「初めから君に恋している」を無事アップし終えました。 うまくコピペがいかず、なんだか1文字下げが反映されてない……。読みづらいかもしれません。ごめんなさい。 とりあえず、ミステリー色ものと青春恋愛もの、二種類をnoteに出すことができて、ホッとしました。

      • 初めから君に恋してるエピローグ

        「高校三年杉浦陽葵、国際ピアノコンクールで優秀な成績を収めたことをここに表彰する」 高校の全校朝会で名前が響き渡る。 「はい」 私は速足で舞台へ上った。 蓮先輩と出会い、オケ部と一緒に演奏して、音楽を共有する楽しさがわかるようになった。 音楽を楽しみ、音楽に心を開くができるようになって、ピアノとの向き合い方が変わった。 もう楽譜通りに弾くことだけに集中することはない。気持ちを押し殺して弾くこともなくなった。 蓮に出会う前は、自分の気持ちが見つからず、どんなふうに自分らしく弾け

        • 初めから君に恋してる十三

          十三 初めから恋していた 空はどんより曇っていた。雨がもう少しで降りそう。黒い厚い雲がこちらに流れてくる。 「何、迷っているんだよ。行って来いよ!」 国際ピアノコンクールにでるか迷っていたら、蓮が怒ったのだ。 「でも……、蓮のそばにいたい」 蓮の病状は重かった。顔色がとても悪い。さらに痩せてしまった。腕も足も細くって……。私は蓮がいなくなってしまうのではないかと、毎日恐れていた。 高校に行くのも嫌だった。できたら、ずっと病室についていたかった。夜も家に帰るのが怖かった。 「何

        • 固定された記事

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        • 「され妻の夫は宇宙人」、「初めから君に恋している」を無事アップし終えました。 うまくコピペがいかず、なんだか1文字下げが反映されてない……。読みづらいかもしれません。ごめんなさい。 とりあえず、ミステリー色ものと青春恋愛もの、二種類をnoteに出すことができて、ホッとしました。

        • 初めから君に恋してるエピローグ

        • 初めから君に恋してる十三

        マガジン

        • 初めから君に恋してる
          13本
        • され妻の夫は宇宙人
          11本
        • 日々のこと
          15本

        記事

          初めから君に恋してる十二

          十二 先輩のこと、教えてください 「文化祭は終了いたしました。生徒の皆さん、下校時刻は過ぎています。速やかに下校してください」 文化祭の終わりを告げる、校内アナウンスが流れてきた。 先輩は小さく笑った。私もおもわず笑みがこぼれる。 外は夕闇に包まれていた。 こそばすぎて、無言で私たちは山崎川の遊歩道を歩く。 でも、右手は蓮先輩にしっかり握られている。先輩の体温を感じながら、私たちは時折見つめあった。 川の水に夕日が反映して、キラキラしていた。 「陽葵……、俺さ、やってみるよ」

          初めから君に恋してる十二

          初めから君に恋してる十一

          十一 恋とメイド 教室の戻ると、話したこともないクラスメイトたちが私を囲んだ。 「オケ部の発表、すごかったね」 「すっごく楽しかったよ」 「あの、連弾していた先輩って、うちのクラスによく来る先輩だよね?」 矢継ぎ早に質問される。クラスメイトも興奮気味だ。 校歌を楽しんでもらえたみたいで本当によかった。 「やっぱり、音楽できるってかっこいいね」 「おお、杉浦もかっこよかったぞ」 男子も話しかけてくれた。 「お疲れ!!」 真希ちゃんと若菜ちゃんが拍手してくれる。 「陽葵ちゃん、頑

          初めから君に恋してる十一

          初めから君に恋してる十

          十 文化祭で 文化祭前日まで、私たち二人はピアノの前で練習した。 先輩は耳がいいのかもしれない。うらやましいくらいだ。 右手はもう完璧に弾けるようになっていた。 「文化祭のステージで、先輩ならソロでも弾けるんじゃないですか」 「え? 嫌だよ。右手だけなんだぞ。陽葵といっしょがいい」 先輩が首を横に振った。たしかに右手だけだと迫力に欠けると言えば、そうだけど。 「たまに間違うし。それにこれ、連弾用の楽譜だろ?」 「まあ、そうですけど」 「俺を見捨てるな! お願い、一緒に弾いて!

          初めから君に恋してる十

          初めから君に恋してる九

          九 ピアノを鳴らして もうすぐ6月だというのに、雨はほとんど降らなかった。天気予報によると、梅雨入りは遅くなるらしい。 「陽葵~」 昼休みの練習が終わり、蓮先輩と廊下で別れるとき呼ばれた。 振り向くと、 「今日の放課後の練習は、ちょっと遅れて音楽室に行くから」 「え? はい」 とっさに返事をしたけど、どういうことなんだろう。 きょうの放課後、今から何があるの? 蓮先輩、どうしたんだろう?  不安そうな顔をしているのに気がついた蓮先輩は、廊下から私に手を振った。 「陸上部、行っ

          初めから君に恋してる九

          初めから君に恋してる八

          八 何が……怖いの? 窓の外は青々とした葉が茂り、すっかり夏景色になりつつある。5月の中頃とは言え、日差しは、かなり強い。 日中、教室の窓はずっと開かれていて、風がカーテンを揺らす。窓から廊下に向けて、空気が流れ、爽やかな初夏を感じる。 窓の外からは、体操の笛の音が聞こえた。どうやら外で3年生が体育らしい。こんなふうに、私のピアノも漏れ聞こえてくるのかもしれない。 太陽の日差しがまぶしくて目を細めていると、蓮先輩がほかの男子とじゃれてるのが見えた。どうやら短距離のタイムを計る

          初めから君に恋してる八

          初めから君に恋してる七

          七 本当に申し込むの? きょうは珍しく朝練のない日だったのに、つい、いつものように早起きして、第ニ音楽室に来てしまった。 当然誰もいない。 朝の、音のない世界は、素敵だ。始まりの予感がするからだ。これが真夜中の音楽室だったら、ベートーヴェンが追いかけてくるとか、偉大な音楽家シリーズのポスターが笑い出すとか、あり得そうだけど。 窓ガラスから日が差しているだけ。静かだ。ピアノの音を立てるのに、躊躇するくらい。美しく完璧な世界、そんな言葉が思い浮かぶ。 しかし、そうは思いながら、ボ

          初めから君に恋してる七

          初めから君に恋してる六

          六 校歌を弾きたい 先輩とのレッスンが始まって三週間。 私の小指のギブスも取れて、手が軽くなった。 汗かく季節の前に、治療が終わってよかったと思う。ギブスって、風通しがわるいのだ。指の動きは快調ですよ! 今日は運よく、講堂のピアノを三十分だけ弦楽グループから借りることができた。文化祭で蓮先輩が校歌を弾くので、蓮先輩にグランドピアノに少しずつ慣れて欲しいと思ったのだ。 弦楽グループはパート会議があるから練習が遅れるみたい。 講堂の扉をあけると、扉の音も自分たちの足音も、全ての音

          初めから君に恋してる六

          初めから君に恋してる五

          五 オケ部 オケ部には、バイオリン、ヴィオラ、オーボエ、フルート、ホルン、チューバなど、楽器ごとにグループがある。さらにうちではピアノグループもある。 オーケストラにピアノは使われないことが多いが、チェンバロや二十世紀に生まれた作品にはピアノが使われている。またピアノを指定している楽曲もあるから、ピアノグループがあるらしい。 練習方法は、基本的に先輩と後輩がペアを組んで、個人練習をする。そのあと、グループ練習、最後に通しで全体練習っていう感じだ。 基本的に、毎日部活があるけれ

          初めから君に恋してる五

          初めから君に恋してる四

          四 写真のナゾとレッスン 「それと、あのさ、この写真……、もう持って来てほしくないんだけど」 蓮先輩がわざと怒っている口調で私に主張してきた。 「え? いやですよ。私の癒しなんですよ」 蓮先輩はおかしなことをいうなあ。私の勝手では? 蓮先輩の無理な要求を突っぱねてみた。 「だって、この走っているヒトさ」 「もしかして、誰だか、知ってるんですか?」 勢いよく蓮先輩に近づいた。知ってるなら、知りたい! 教えてください! 「これ、うちの陸上部の人間だと思うよ」 蓮先輩は言いづらそう

          初めから君に恋してる四

          初めから君に恋してる三

          三 ピアノ習ったこともないのに……、本気ですか? なんとか先輩たちの信頼を回復したい。 そんな思いで、きょうは、早く家を出た。 いつもより十分ほど早く学校についたが、すでにニ年ニ組の廊下の前には部長の川中先輩と副部長の近藤先輩が待っていた。 私のために、朝早くから待っていてくれたのですね。すいません。昨日の放課後の練習をさぼったからだ。ああ、心配をかけちゃった。 胸の中に申し訳ない気持ちが広がっていく。 「おはようございます」 ちらりと近藤先輩の顔色を窺うと、 「具合どう? 

          初めから君に恋してる三

          初めから君に恋してる二

          二 ピアノが怖い 高校生は、のんびりした春休みを過ごしていると思う人もいるだろうけれど、それは違う。ポラロイドカメラを手に入れた次の日から、私はしっかり高校オケ部でしごかれていた。 おかしいよね。自分でもそう思う。 なぜ高校ニ年生の春休みからオケ部に入部となったのか。 実は、春休みに入ってすぐのこと。オケ部の副部長をしている近藤先輩から電話があったのだ。 近藤先輩は、以前お母さんのピアノ教室に通っていたのだ。部長の川中先輩も副部長の近藤先輩も私と同じ中学だったので、当然ピアノ

          初めから君に恋してる二

          初めから君に恋してる【完結済】あらすじと本文一

          ◆あらすじ 杉浦陽葵は高校2年生。ピアノのコンクールに出場するくらいピアノ腕前があり、オーケストラ部に所属している。しかし、最近ピアノと向き合うのが怖い。 ある日フリーマーケットで、レトロな雰囲気の、壊れたポラロイドカメラを買う。偶然一枚だけ写真が撮れていて満開の桜が舞い散る中を足を引きずって走るランナーの姿が写っていた。陸上部の元エースの崎山蓮は、ピアノを教えてほしいと陽葵に頼む。文化祭で二人はピアノの連弾で校歌を弾くことになり、文化祭は大成功に終わった。陽葵の姿を見て、崎

          初めから君に恋してる【完結済】あらすじと本文一