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正欲 【思春期を育てる方へお勧めの本】(軽くネタバレ💦)

親としての「あり方」を問われる。

私は、我が子の苦しみを
知ることができているのだろうか。

私は我が子にとって、
生死にかかわるような苦しみを
抱いた時、
話してもいいと思える母だろうか。


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親が死んでよかったと思った。
何も知らずに死んで欲しいと
思っていた。
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もしかしたら、
本当は、
本当の深い心の悩みに
気がついてもいないのでは
ないだろうか。

本当の自分を知られたら、
社会から排除されると
怯える程の悩み。
生きていることさえ、
おびやかす。
そんなこと。

親が嫌いなわけじゃない。
でも、親にこそ知られてはいけない。

気が付かれないよう、
多数派のふりをして、
隠れるようにして、
怯えながら、
苦しみながら、生きている。

誰にも知られてはいけない。
自分には、そんなにも秘密にしなければいけないことがある。
そのことを知った時の衝撃。
そのことを誰かに知られたら、
この世界から
排除されるかもしれない
恐怖。


お母さんは、
どんなあなたでも、
変わらない。
苦しみを共に乗り越えたいと
思っている。
だから、一人で苦しまないで。

どんなことを告白されたとしても、
冷静に、
そう言える親でいなければ、
子どもはますます苦しむ。

どんなあなたでも、
あなたは、大切な私の子。
変わらない。
そんなメッセージを
伝えることができていたなら、
たとえ、もし、
我が子がどんな苦しみを
持っていたとしても、
それ程までに苦しまなくても
すむのかもしれない。


・・・

そして、もうひとつ。
耳読中に頭痛がした理由。
(ほんとは💦頭痛は風邪のせいです)


・・・

わかってもらおうなんて、
はなから思っていない。

理解しようとするな。
このまま生きさせてくれたら
それでいい。

関わってくるな。

・・・


私は、仕事柄、
何度も関わりを拒否する人に、
寄り添おうと試みたことがある。
なんとか理解したいと思っていた。

この本では、繰り返し繰り返し、
言葉を変えて繰り返される。

読んでいると、
以前、関わろうと試みた
彼らとのことを思い出した。
彼らの目はそう言っていたのかもしれない。

人とのつながりを、
拒否せざるを得ないほどに、
彼らは、傷ついていたんだ。

こんなふうに
打ちのめされてきたのかもしれない。
知られることを、
恐れていたのかもしれない。

そして、
隠れることで、
交わらないことで生き抜いていたんだ。

性欲や性欲じゃないものも。
他の人には理解できない
想像も及ばない、
本人達は
誰にもわかってもらえないと感じ、
知られたくないと思っている
経験、コンプレックス・・・。


登場人物たちは、
「多様性の尊重」をうすっぺらいと
嫌悪感を抱く。
理解など到底できないと。

そうかもしれない。でも、
やっと、一歩を踏み出したところだ。
これから時間をかけて、
一歩ずつ進めていく。
そのことが、いつか、
マイノリティにも入らない人たちも、
大きく息を吸いながら、
明日を楽しみに
生きることができる日に
つながるのではないかと思う。

人のことは理解することはできない。
でも、つながることはできる。

もしかしたら、私も、
心を開くことができる「私」に
なれるかもしれない。
彼女のように。
そう思うことができた小説だった。

「読む前の自分には戻れない」

もっと早く、読みたかった。

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