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合格しても終わりじゃない。地域発展の第一歩は教育と考えてチャレンジするー上月亮慶さん

「中学受験」と聞くとどのようなイメージをお持ちでしょうか。

近年、岡山県でも中高一貫校が増え、公立・私立中学を受験する子どもたちは増加傾向にあります。

もちろん、県内受験だけでなく岡山県外の有名難関中学への受験にチャレンジする小学生もいます。

受験は合格したら終わりではありません。

受験期に打ち込んで勉強した子どもたちが、中学受験合格後に継続して学習することを支えられる塾を運営する「上月亮慶」さんにお話を聞きました。

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受験が終わっても、勉強は終わらない

ーー現在の活動について教えてください

難関校といわれる中学校に通う中学生向けの少人数制の塾を運営しています。

元々は中学受験対策の専門塾で数学の講師をしていました。

そのときに担当をしていた子どもたちが小学校を卒業するにあたり、中学生になっても通いたいという要望を受けたんです。

講師をしていた塾では中学生になってからの受け皿がなく、「継続して学習の指導をしてくれないか」という声を親御さん・塾生から熱心にかけていただき、「求めていただけるのなら、自分がつくろう」と思い立ちました。

家庭教師の延長のようなかたちで、少人数制の数学塾を立ち上げました。

最初は自分一人で講師をしながら運営していたため、設立は数学のみでしたが現在は複数の講師で対応しているので理科・社会・国語も教えられるように充実しています。


ーー既存の塾との違いはありますか?

中学受験が終わっても、勉強って終わりませんよね。

難関といわれる希望中学合格を目指して懸命に勉強してきた子どもたちの熱量と、一般的な学習塾とでは温度差があり、それまでの学習への熱量をキープし続けることが難しいんです。

関西や都心に行けば、中学受験後の中高一貫校に通う子どもたちを継続して支える学習塾も多くありますが、岡山ではそのような受け皿があまりないんです。

僕自身、中学受験をして進学しています。
だからこそ、自身が経験した中だるみや直面した壁のことがよくわかります。

熱心に勉強して中学に入学するのですが、目標を見失ってしまったり、燃え尽きてしまったりする同級生を見てきました。

その経験を生かし、中学受験を乗り越えた子どもたちと親御さんの要望に応えたいと思いました。


受験に失敗したからこそ見えたこと

ーー上月亮慶さんのこれまでについて教えてください。

岡山県出身で、小中高を経て今(2021年現在)は大学4回生になりました。

元々は医学部進学を目指していたんですが、紆余曲折あって現在は経済学部で勉強しています。

塾を設立することにつながっているのですが、小学生のときに岡山県外にある難関中学の受験に失敗しました。

日頃、テストの点数がよくても、受験はその日の結果で合否が出ます。

ほんの数点足りず、不合格でした。

その結果、希望ではない県内の中高一貫校に進学することになりました。

そのことで、小学生のときの学習に対する熱量と進学した中学校の熱量に相違があり、こじらせてしまいました。

今、思えば子どもっぽいんですけど、「もっと難しい勉強がしたい!」と進学した中学校の環境に満足できなかったんですよね。

希望の中学に入学できていればこんなはずじゃなかった...と。

こじらせつつも高校に持ち上がって進学したんですが、即転校するという超イレギュラーな高校生活を送りました。

結局のところ、学習への意欲は強くあるのですが、うまく消化できなかったんですよね。

自分に対しても、周囲に対しても。

この経験が、中学受験後の子どもたちのサポートをしたいという動機になりました。


ーー進学希望を医学部から経済学部にチェンジ

父親が歯科医師ということもあり、医師を目指して医学部進学をしたかったのですが、願い叶わず浪人しました。

そして、運命の出会い。

ビットコインや仮想通貨に出会いました。

その存在を知ったことで、経済に興味を持ち、医学部よりも経済や経営について学びを深めたいと思うようになったんです。

そこで急遽、理系から文系に切り替えて受験して合格し、経営学部に進学して今に至ります。

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身の回りは経営であふれている

ーー実際に経営をどのように学ばれていますか?

大学の授業ではもちろん、しっかりと経営学についても学んでいます。

実は大学生になるまであまり意識していなかったのですが、自分の生活ひとつを考えても小さな会社のようなものですよね。

当たり前なのですが、得たお金以上に使ってしまうと赤字になってしまうし、貯めておいたり運用すれば増えることも。

自分という小さな会社をいかに効率よく経営していくのか。

経営ってあらゆることの根底にありますよね。

だからこそ、いろいろな分野の経営を自分の目で見たいと思っています。

塾以外にもカフェの運営に携わったり、イベントを主催したり。

アルバイトも経験しています。

人から聞く経験談も大切ですが、自分の経験を通してこそ見えることを大切にしていきたいと思っています。

そして、友人との関係も今だからこそ築けるものなので大切にしています。


勉強ができるだけでは通用しない

ーー塾講師の経験を通して、どんなことを学びましたか

塾講師って、勉強ができればできると思われるんですけど、違うんですよ。

自分が勉強ができるだけじゃダメなんです。

なにをするかというと、生徒に対してコンサルティングするんです。

子どもの特性を見て、どんな風に教えればこの子は伸びるのか?

生徒からの見えないメッセージを受け取って結果を出す。

塾の結果=学力を伸ばす、ということですね。

特に個別指導ではなく、集団指導なので個を尊重しつつ、適性を見ながらひとりひとりを伸ばしていきます。

注意ひとつするときも、自分の発言がどのように生徒に影響があるかを考えて口にしなければいけません。

まだ幼さ残る中学生への物事の伝え方は本当に難しいし、自分の立ち居振る舞いすべても評価されているので緊張の連続でした。

大手塾の講師のときには、生徒からの評価が時給にフィードバックされるので、学力を伸ばすだけでなく、授業の満足度を意識して取り組んでいました。

この経験が、自分自身をマネジメントする意識につながり、「人をコンサルティングするとは?」と考えるきっかけになりました。

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現在の事業のその先に

ーー今後について教えてください

塾の拡大は考えていません。

教育分野には興味がありますが、僕自身の目標として将来的に岡山の経済活性化に寄与したいんです。

現在は、優秀な人材がいても広島や大阪、東京に流出しています。

岡山の経済を活性化するためには、岡山で人材が育成されなければいけません。

人材の育成には教育がつながっています。

岡山という街の経済を活性化させ、経済の分野から教育を支えられるような事業に関わりたいと考えています。

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ーーこれからなにかにチャレンジしたい人へのメッセージをお願いします

僕は今、大学生ですが学生の間も色々な事業にチャレンジできます。

「学生」という立場から発信するからこそ、注目されることもあります。

自分の学生という立場を利用して可能なかぎりチャレンジすることをおすすめします。

起業しなくても、チャレンジしたことは就職活動する際のエントリーシートのネタになるぞ、くらいの気持ちで取り組んでほしいですね。


取材を終えて

受験の失敗、というと経験していてもなかなか人に話しにくいものかもしれません。

上月さんが受験を振り返って強く感じたこと、それは「人生においてタイミングは逃さない」ということでした。

そのことが、「今がタイミング!」と感じたときにいつでもチャレンジできるように準備をすることにつながりました、と笑顔で話してくれました。

「学生だからこそ、いろんなチャレンジができる」と考える上月さんのこれからの試みがとても楽しみです。


執筆:あき _こえび/編集:やぶなお

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