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自分の「こうありたい」を探している。素直な想いを大事にする為に中藤さんが見つけた答え。

自分の気持ちに素直になる。
相手に素直な気持ちを伝える。


言葉にすると当たり前にできるように感じるけど、「素直」って中々難しいものですよね。


そんな「素直な想い」をカタチにする取り組みをされているのが「きみとのくらし」代表の中藤寛人さん。


ももスタの公式ライター「ひーくん」としても活躍されている中藤さんに、その素直な想いをお聞きしました。

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家族を嫌いだと思ってた 本当は大好きで大切だったから悔しかった


ーーはじめに、事業内容を教えてください。

「きみとのくらし」では、素直な気持ちを話し合うこと、伝え合うことを大事にするための事業を行っています。

例えば「ペタレター」。

これは家族など一緒に住んでいる人へ想いを届けるために企画した物で、形としてはウォールステッカーです。

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電気のスイッチのところからひょっこり人と吹き出しがのぞいているようなデザインや、壁に溶け込むようなおしゃれなデザインにしてあるので、日常的に目に留まります。

そこに面と向かっては言いづらい日頃の感謝などを書き込んで、素直な想いを伝えるためのツールにして欲しいと企画しました。

また、藤田酒店さんの大学生やインターン生を取りまとめて組織改革をするお手伝いをしています。

酒屋さんという歴史を大事にしつつ新しい風を取り入れたいという想いに共感して、どう変化したら時代に寄り添っていけるか、若い人が自発的に集まってくるかを考えています。


ーー藤田酒店さんと言えば「フジタイーツ」が昨年話題になりましたよね。

はい、ちょうど藤田酒店さんのお手伝いを始めた最初の企画が「フジタイーツ」なんです。

なにをしよう?って集まってすぐ新型コロナウイルスが流行し始めたのでいきなり困りました。笑

でも、メンバーで積極的に話し合うことで逆手にとってこのようなアイディアが出たのでむしろチャンスだったのかもしれませんね。

「きみとのくらし」としても、藤田酒店さんでも、コミュニティを作っていくことを大事にしています。


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ーーなるほどコミュニティ。その考えは中藤さんの子供の頃からの経験ですか?

そうかもしれません。

実家は祖父が立ち上げた蒲鉾屋(かまぼこや)で、父もそこで働いていました。

が、時代の煽りを受け途中で廃業することに。

父は職を失い、さらに雇っていた親戚から逆恨みを受け嫌がらせを受けるようになりました。

生活が苦しいだけでも辛いのに、精神的にも辛くて家族の事を嫌いだと感じたり、学校を休むことも。

でも、勉強だけは必死に続けて大学へ進学しました。

大学で出会った友人と互いの境遇を吐き出すような機会があり、

その時初めて、「本当は家族のことが大好きで、家族に何かしたいのにできないのが悔しくて、あんな気持ちを抱えていたんだ」と気づくことができたんです。

その経験から人とのつながりや想いを大事にしたいと考えるようになりました。


ーーご友人との得難い経験をされましたね。そこからどうして起業しようと思い、さらに今の形にしようと思われたのですか?


これは先程の話の続きになるのですが、気づきを得られたタイミングで、手もみや本舗などを運営されている株式会社ミツバファクトリーの社長との出会いがあったんです。

社長は地域の高齢者の方のために何かしたい、

具体的には子供や孫から「長生きしてね」という素直な気持ちを伝えていける社会になれば、

より元気に高齢者の方が長生きできるのではないか、

そのためにできることを岡山から始め、発信していこう!とされていました。

その考えに惹かれ、先の話にも出た友人と2人プロジェクトメンバーに加わりました。

そのプロジェクトの一つで、僕の両親はすでに結婚式を挙げていたのですが、両親の友人たちを集めて、もう一度サプライズの結婚式を企画したんです。

これが本当に素敵な経験になりましたね。

母にはドレス選びの関係もあり事前にバラさないといけなくて、最初は恥ずかしがられたりもしたんですが、最終的には嬉しそうに楽しみにしてくれて。

父は本当に予想外だったようですごく驚いていました。

当日の両親や招待した皆さんの表情を見てやってよかったなと素直に思えたことが嬉しかったです。


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そのような経験をしていくうちに、ももスタnoteの編集をされているやぶなおさんをはじめ、様々な方と出会い「個人でも発信はできるんだよ」と教えてもらったことで今の道に。

ただ、起業と言っても何かをリリースするよりも僕自身がたくさんの経験を得る方が多くて。

もっと素直な気持ちをそのまま大切に出来るようになりたいと、大学四年生の時に「親業」を勉強するクラウドファンディングを行いました。

この時「リターンとして使っていいよ」と繋がった皆様が本当に色んなサービスや企画を提供してくださったんです。

その中で藤田酒店さんの社長とコノテの山田さんと一緒に食事ができるというものがありまして、支援してくださった方と4人で食事をしたんですよ。

その時に藤田酒店さんが「時代に寄り添いたいけど歴史がある物は難しい。どうしたらいいだろうか。」と言われていて、

僕自身が考える事業もしたいけど、そのゴールに辿り着くまでに色々経験をしたりお世話になった方のお役に立ちたいと考えていたので、心ひとつで「何かしたいのでお手伝いをさせてほしい」と伝えていました。

とにかく「素直」に生きることを大切にしたくて、気づいたら今の形になっていましたね。


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今のチャレンジは昔の自分へのリベンジにもなっている


ーーこれまでのご経験の中で、辛かったのはどんな時でしたか?


まだ起業前のことでしたが、参加したチームのみんなやリーダーを支えることができなかったことですね。

その頃は、ぐいぐい引っ張る人間になることがチームの役に立つというか、リーダーになっていく人間に必要なことだと思っていました。

でも、ある企画でリーダーと、リーダーと相性の合わない人の板挟みになってしまって。

結局企画の開催直前にリーダーが辞めることになったんです。

力になれなかったことが本当に悔しくて、初めて僕が人前で泣いた日でした。笑


もう一つは「手もみ屋本舗を大学生だけで営業してみよう!」という挑戦をした時のことですね。

仲間と3人で研修も受けて、「よーしやるぞ!」って気持ちで始めたんですが、1週間で他の2人が辞めてしまった。

大学生活も送りながら営業するって本当に大変だというのはわかっていたのに、仲間達が辞めることを言い出すまで、そこに目を向けてあげられなかった。

この二つの経験で、僕自身がこうありたいというリーダー像は力強くひっぱることじゃない。

寄り添ってあげることなんだと気づくことができました。


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ーー中藤さんに掬いあげるような優しさを感じるのはそういう経験をされたからなんですね。では嬉しかったのはどんな時ですか?


今藤田酒店さんでお手伝いができているのが、自分自身に対してリベンジになっていることでしょうか。

働く時間帯や環境、自分の立ち位置が、辛かった時の自分と非常に似ているんです。

なので、その時できなかったことをやるんだと、チームの仲間の気持ちに寄り添うことや、恋人など側にいてくれる人への感謝を忘れず過ごすことを大切にしています。

不満って最初からどーんと出てくる物じゃなくて、日々のちょっとした「不安」が「不満」になっていくんだと思うんです。

そこを前の僕はできなかった寄り添い方で、みんなの背中を押しつつ、一緒に頑張れていることが本当に嬉しいです。

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自分の「こうありたい」を探すために自分の心の声を素直に受け止めよう


ーーこれからの中藤さんの展望を教えてください。

藤田酒店さんとは2年間の契約で、今ちょうど今1年が経ったところです。

次の1年は時間を少し減らして自分の事業のための準備期間にもしたいと考えています。

僕、目標がないことが怖いと思ってたんですよ。

目標を作ることで安心していたので、ちょっと落ち着いて考えると、「これ全然目指してるところじゃないな」ってなったりとか。

なんとか手広くやろうとしてきたんですけど、実は一つのことに集中する方が向いてるなって、自分の不器用さに気づいたり。笑

あとは僕が藤田酒店さんと頑張ろうと思った忘れられない言葉があって。

「古い体質で、チャレンジが全く行われていなかった藤田酒店を、チャレンジフルな酒屋にする。

若者が働きたい!と思ってくれるような酒屋にする。

その為に、一人一人と丁寧に向き合って、新しい文化をこの藤田酒店に創って欲しい。」

僕を社員として引き込むのではなく、僕個人の「事業」として手を組ませてくれた。

だからこそ真剣に取り組みたいと思ったのが起業の一番のきっかけでした。

なので残りの一年も、まずは藤田酒店のためにチャレンジフルで取り組みたいですね。


まだ自分の「こうありたい」を探している途中なので、手段には拘らず挑戦したい。

コノテの山田さんとか僕すごい憧れなんですよ。

事業内容もそうだし、振る舞いかたや考え方も。

憧れのヒーロー像みたいな。

だから、全部ひとりで起業としてやるんじゃなくて、ついていきたい人の元で全力を出して、何かを成し遂げるのも一つ道かもしれないと思っています。

そういう意味では、僕もまだ起業家としての分岐点にいますね。

良くも悪くも経験の中で、「自分で絶対にやり遂げるぞ」っていう気持ちだけでは無くなった。

仲間の元で、仲間のために、何か動けることの大切さを知ったので、そういう気持ちを素直に受け止めて自分がどう動くかを大切にしていきたいです。

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ーーありがとうございます。最後に起業を目指す学生の皆さんへアドバイスをお願いします。

自分のマイナスの感情をちゃんと受け止めることですかね。

僕も昔は「不安だな」と思った時に「大丈夫、できるわ。」と打ち消そうとしていました。

でも、今だと「ああ今自分は不安を感じているな」「これはどういうところから来てるかな」って受け止める。

人が悩む時って、自分がその姿になれないからだなと感じるんです。

「明日、宇宙飛行士になれない」って考えても僕は悩まない。

宇宙飛行士を目指していないから。

でも、宇宙飛行士を目指す人はそこを悩むわけですよね。

僕がチームのみんなに寄り添いたくて悩むのも、寄り添いたいって思ってるし、「できるはずだ」って思っているからなんですよ。

だからこそ、マイナスの感情をしっかり受け止めて、その先にある「本当はどうしたいか」というプラスの感情までたどり着いて欲しいです。


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取材を終えて

柔らかな笑顔としゃべり方が陽だまりのような印象を与える中藤さん。

その内面には自分のマイナスな感情すらも「素直」に受け止める芯の強さがありました。

中藤さんの選ぶ道ならきっと大丈夫。

そう思わせてくれるのは自身の迷う姿さえ素直に私たちに見せてくださるからなのかもしれません。


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執筆:下原弥子/編集:やぶなお

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