📕『盲目的な恋と友情』
部屋の整理をしていたら、ふと目に留まった本。
実は何年も前に読んだことがあったのだが、内容を忘れてしまっていたので見返した。
ものすごくのめり込んで読み進めたな〜と記憶が蘇った。この作品で辻村美月さんを知って、好きになったんだもんな〜。
私は読書をする時、物語に浸りながらも、登場人物に自分を重ねたり、対比させながら読み進めることが多い。「物語のような人生を自分が歩んだのだとしたら…」と妄想することさえある。登場人物の相関図で、自分にとって身近な人を当てはめながら「もしこんな状況になったら…」と頭の中でいくつものことを考えながら読み進めていく。
物語から、自分なりの知見を得たり、感情を手にしたりすることもしばしばある。
今回の本で、恋愛や友情によって起こる感情の動きには、冷静な解釈をしているつもりだけど、歳を重ねるほど、心の奥ではしっかりと、自分でもどう処理していいかわけらないほど強く感情に浸り、時にその感情に突き動かされているんだよな〜と思い知らされた。
巻末の山本文緒さんの解説が、物語の輪郭をしっかり捉えていた。人と人との関係性、登場人物の過去、環境、性格の全てが絡んで、現実があるのだと改めて思う。人によって見え方や解釈が違うのも当然ではあるし、おかれた状況によって、言葉の捉えや意味も違う。辻村さん、そのズレを読者に感じさせ、もどかしい気持ちに誘うのがとても上手な作家さんだと思った。
オススメです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?