飲みこめない

『すずめの戸締り』を観た。

単刀直入に、
個人的にはまだこの作品を面白かったと形容するのは難しいなと感じた。

物語で描かれている地震。
主人公が被災者自身であり、母親を震災で亡くしているという描写。

私自身は東北の被災者ではないけれど、
あの日の記憶はまだ鮮明に残っているし、
地震のアラーム音を聞くと不安な気持ちに駆られる。
父親が仕事先から帰って来れない状況の中で、テレビから流れてくる津波の映像。
それをただ唖然と観るしかなく、父が本当に帰って来れるのか不安になった夜。

被災地に足を運ぶきっかけもあり、
地域が離れているといっても全く他人事とは思えなかった。

実際、映画の公式Twitterでも、地震やそのアラーム音の描写に耐性が無い方は鑑賞を控えた方がいいことは知っていたけれど、周りの友人たちがこぞって鑑賞していることや、絶賛の声ばかりだったので恐る恐る観に行った。

新海誠作品の大きな魅力でもある、映像の美しさや、音楽たちがみずみずしく体内に取り込まれていくようなそんな感覚はこれまでの作品と同じように、もしかしたらそれ以上に良かったかもしれない。

今まで世間的に面白いといわれる作品は
周りの評判通りに感じ取っているタイプだと思っていたけれど、こればかりはそう思えなかった。

何か周りとズレているのかもといつもなら不安に思ったりしたかもしれない。

だけど今回は自分が感じたことをそのまま大切に持ったままでいいと、7年前の私が言っている気がする。

この記事が参加している募集

#note感想文

10,680件

#眠れない夜に

69,841件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?