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アメリカ大統領選 #28 トランプ元大統領の大統領候補指名の受諾演説 7/19

トランプ元大統領は、共和党全国大会の最終日(7/19 ミルウオーキ、ミシガン州)、共和党からの大統領候補指名を受諾する演説をした。まず共和党候補の受諾演説としては異例に長い演説だった。(1時間半の演説)演説の完全録画は以下のフォックス・ニュースのサイトで視聴できる。


フォックスニュースのネット生配信(録画視聴も可)7/21 11:00時点で2,717,252回再生された

また、演説スクリプトの全文も以下のサイトで読めるしダウンロードできる。(ただし、おそらく録音を書きおこしたもので、実際の言い回しとは微妙に違うところもあるように思うが、演説をみて聞き取れなかったところは、このサイトのスクリプトを参考にしたことをお断りしておく。

この1時間半の演説のすべてを伝えることはできないが、私の個人的な感想とアメリカ保守派論者(ボンジーノ氏、ディソーザ氏、ハニティー氏、そしてレヴィン氏)の評価を合わせて紹介したい。すでに、我が国でもさまざまなTV番組、ネット放送、さらに飯山先生他の保守系論者のみなさんが、総括し、評価しておられることと思う。私はまだ、そうした我が国での評価なり分析なり、今後の我が国への推定される影響なり、は見ていないし、読んでもいない。他の論者のみなさんとは、かなり違った見方になるかもしれないが、少なくとも、アメリカの保守系論者の見方とはそう大きくは違っていないと思う。なお、トランプ元大統領の演説は「  」でくくってある。できるだけ元大統領の伝えたい事がわかるようにしたつもりだが、私の勝手な想像や誤訳があるかもしれないので、先にお断りしておく。ぜひ、上記の英文のスクリプトを参考にしていただきたい。

まず残念な事でああるが、演説中に我が国が出てきたのは、たった1回限りだった。しかもその取り上げ方は、以下のように、決して同盟とか友好国とかいうニュアンスは全くなかったし、むしろ、中国と並んで、”世界強国になろうとしている”、とまるでアメリカの敵国なり競合国といった捉え方をされていた。私は極めて重要な発言と考えたので、参考まで演説スクリプトと私の拙訳を以下紹介する。

”I mean, we’re going to bring this into a golden age like never seen before. Remember this: China wants to do it, Japan wants to do it. All of these countries want to do it.”
「つまり、我々はこの国をいまだかつて見た事もないような黄金時代に導こうとしている。忘れないで欲しいのは、中国はそうしたいと思っているし、日本も同様だ。これらの国は同じ事をなそうとしている。」

このトランプ元大統領の、中国に対する警戒心と敵愾心は、私はもろ手をあげて賛同したいが、我が国日本が同様に捉えられているのは、正直驚いた。安倍総理なきいま、トランプ元大統領個人に対してではなく、新政権の方向付けを提言するシンクタンクへの日本の現状の問題と、立ち位置、我が国の理念といったものをしっかり訴求する、そんな我が国の民間の各種機関に活躍を期待したい。まっさきに思い浮かんだのは、私の敬愛してやまない島田洋一先生だ。そして、中国問題では石平氏、中東問題では飯山先生に大いに活躍していただきたい、とここから願う。

一方で、我が国自動車産業にこれ以上ない朗報がある。これは前からトランプ元大統領が大きく訴えてきた事だが、受諾演説で改めて。”アメリカの自動車産業を復活させる”、との決意を宣言したのは、アメリカと日本の自動車産業にとって、ものすごく強い追い風になると期待した。

”They built eight chargers at a certain location, toward the Midwest. Eight chargers for $9 billion? Think of them as a tank for filling up your gas. Think of it. They spent $9 billion on eight chargers, three of which didn’t work. And if you are going to do this all over our country, this crazy electric Band-Aid. If you’re going to do this … And by the way, I’m all for electric. They have their application. But if somebody wants to buy a gas-powered car, gasoline-powered car, or a hybrid, they’re going to be able to do it. And we’re going to make that change on Day 1.”
彼らは中西部にかけて8ケ所の(EV用の)バッテリー・チャージ・ステーションを作った。8ケ所で$9B(約1.4兆円)の建設費用だと? それは、あなたがガソリンを入れる場合のガソリンタンクだと思ってください。しかもそのうち3ケ所は充電できなかった。こんなの気の狂った電気のバンドエイドを国中に作ろうとしたら、どうなるだろうか?ところで、私は電気自動車に向いた用途もあると思っている。しかし、誰かガソリン車かハイブリッドカーを買いたい人達向けに、製造しなければならない。我々はこの事を初日から変えるつもりだ。

ここで、トランプ大統領が、思い出したように、ハイブリッドと付け加えてくれたことが、我が国の自動車産業、とくにトヨタさんに、どれだけ心強く、勇気を与えてくれるのか。我が国の自動車産業は、米国内での製造はもとより、なにより世界一のハイブリッド技術がある。ぜひ、米国の自動車メーカと戦略的な開発協力体制をとり、日本のハイブリッド技術で(EVではなく)米国にそして世界に、貢献していただき、我が国内での製造業復活ののろしを上げて頂きたいと願う。

そしてこれは飯山先生が取り上げられているようだが(すみません、私はまだ飯山先生の記事は読んでいません)いわゆる人質について、以下の短いコメントがあったので、紹介したい。この発言は、現政権がアフガニスタン撤退を完全に失敗し、貴重なバグラム空港と巨額の兵器を放棄した。その結果、その兵器は世界中に売られているし、中国がバグラム空港を使っている。中国は台湾進攻を着々と準備している。さらに、ロシアはキューバに原潜と戦艦を配備している、と世界の安全保障の危機を問いかけた直後の発言だった。

"And to the entire world, I tell you this, we want our hostages back — and they better be back before I assume office, or you will be paying a very big price."

「そして、世界の国に告げる。我々は我が国の人質を取り返す。彼らは、私が(大統領執務室を)引き継ぐ前に人質を解放した方が良い。でなければ極めて大きな代償を払う事になる。」

我が国では左翼だけでなく保守派論者の中にも、トランプ氏を”猛獣扱いする”風潮があるように私には感じられる。しかし、仮にあなたが、アメリカ国民であり、あなたが愛する家族を他国に人質にされている立場だとしたら、こうしたトランプ元大統領の発言を聞いて、”猛獣”だ、とか”非常識”だ、とか非難するだろうか?私は良識あるアメリカ国民にとって、これほど力強く自分達を守ってくれる、真に頼れるリーダ、と受け止めるのか?果たしてどちらだろうか?我が国には、簡単ではないまた長い歴史の積み重ねで、そういう強いリーダ(極論すれば、自衛隊員に、”国民のため死んでくれ”と命令できる総理がいる、と私は思うし、自衛隊員の中には、そのための準備をしてくれている勇士もおられる。伊藤祐靖著 邦人奪還 新潮社2020年6月15日発行、荒木和博、荒谷卓、伊藤祐靖著 自衛隊幻想 産経新聞出版H28年10月15日発行)

安倍総理がトランプ前政権時に、トランプ大統領(当時)に日本人拉致被害を説明し、トランプ大統領が来日時には、西岡力先生、島田洋一先生のご尽力もあり、拉致被害者家族とトランプ大統領の会談も行われ、本当に親身になって話を聞いてくれた、と被害者家族のみなさんが証言しておられた事を思い出した。

上記の演説スクリプトから明らかなように、人質の中には、日本人は入っていない。どの国か特定はしていないが、おそらく、アフガニスタンのタリバン、イランとハマス、ヒズボラ等のテロ集団、それからウクライナから人質にとったであろうロシア、そして中国国内でスパイ容疑で逮捕された、多くのアメリカ人がトランプ元大統領の頭にはあるのではないか?歴史にIFはないが、安倍総理があの忌まわしい暗殺事件を奇跡的に生き延びていれば、、、、 少なくとも、今回の受諾演説の中で、日本がこれほど無視されたものにはならなかった、と思ってしまうのは私だけだろうか?

以下、私の印象的だった部分を箇条書きで紹介する。

1.暗殺未遂について

「私は多くの人から”暗殺未遂事件”にて語って欲しいと頼まれたのでこの場で一度だけ話をする。しかし、今後はこの話はしない。なぜなら、語る事さえひどい痛みを伴う事だからだ。」

「(発砲の直前に)私は移民の推移数を見ようと右を向いた時、右耳に衝撃を感じ手で耳を触ってみた。その手を見ると血にまみれているのをみて、狙撃されたと分かった。その銃弾が、後わずか1/4インチ(約6cm)ずれていたら、”I would not be here." 私は今日ここにはいなかっただろう。"I'm not supposed to be here." 私はここにはいないはずだった。」

この時会場から、”YES、YOU ARE!” いや、あなたはここにいる! との大合唱が始まった。私はまずこの大合唱を聴き、トランプ大統領がどれだけ支援者から愛され、期待され、そしてリーダとして崇められているのか、分かった気がした。

ボンジーノ氏のRumble番組で、元フォックス・ニュースの人気アンカーだったタッカー・カールソン氏が、”トランプは、暗殺未遂事件の後、あのこぶしを振り上げて、戦え、戦え、戦え、と連呼したときから、単なる政治家ではなく、我々の指導者”になった、とコメントしていたのを思い出した。

またボンジーノ氏自身は、”トランプ大統領は変わった”、と評していた。しかし私は受諾演説を見る前だったので、正直にいって”ピン”とこなかった。

後で実際に演説を見てみると、トランプ元大統領は、従来の演説で見せていた顔つきとは確かに変わっていたように思う。うまく言葉では表現できないが、何か、”宗教的な”、大げさかもしれないが、evangelist (伝道者)のような、”アメリカとアメリカ国民を守り切る”、という強く固い信念と責任感を持ち、何があっても、またなにものにも負けず、”大統領職を全うする”、という気迫を感じたのは私だけではなさそうだ。だからカールソン氏は、”政治家というよりも指導者”、と評したのだと納得した。

それは、「ほんのわずかなずれで助かった”のは、”神のご意思”であり、私は神に守られている。だから恐怖は感じなかった」、というトランプ元大統領の発言に、今までには見せなかった信心が現れていた。

さらに、「今までなら、銃撃の後、聴衆は逃げまどい、会場は大混乱になったはず。しかし、会場では誰も逃げようとしなかった。」と説明した。その聴衆の中で、二人のwarrior (戦士)、David Dutch氏、James Copenhaver氏が銃弾で重症をおってしまった。私は彼らとその家族と話しをすることができた。二人は勇敢な戦士であり、素晴らしい家族だ。幸いその二人は危機は脱し、回復する見込みだ。私の残りの人生で、この会場の勇敢な聴衆の皆さんに感謝の念を忘れないだろう。

「しかし”Corey Comperatore(コーリイ・コンペラトーレ)氏は、みんなから愛され、信頼されていた消防所長だった”、と過去形で話さなければならないのは悲劇だ。」

コンペトーレ消防所長の防火服とヘルメットを指さし、彼が自分の命に代えて家族を守った勇者だ、と紹介する、トランプ元大統領。その指すようなするどい視線の先に何があったのか?
ニューヨーク州バッファロー消防所から借りた防火服とコンペトーレ所長の使っていた27番のヘルメットにキスをするトランプ大統領

「残されたご家族の慰めにさえなりはしないだろうが、ここ数日の間に、ご遺族への弔問金として$6.3M(約10億円)が集まり、私の友人であるDan Newlin (ダン・ニューリン)からは、ここに$1M(1.5億円)の小切手をもらった。私はこういう人々の善意を誇りに思う。」

暗殺未遂事件の直後、わずか数日の間に、10億円ちかい見舞い金が集まった。その見舞金は、現役大統領ではなく、大統領候補にすぎないトランプ氏のもとに集まった。それが、トランプ元大統領がどれだけ信頼され、支持されているかの大きな印のように思えた。

そして、今は亡きコベントーレ消防所長の防火服とヘルメットに歩いて行き、ヘルメットにキスをするトランプ大統領。私は不覚にも涙が止まらなくなった。

左翼はこのシーンをどう評するのだろうか?”どうせやらせだろう”、”staged (演出)だろう。”、”くさい芝居だ”、とでもぼろくそに言うのだろうか?私は、そんなコメントを見るのも聞くのもいやだ。私自身がどう思い、どう考えるのかは少なくとも私の自由だ。だから私は今のこの気持ちを汚されたくないので、我が国のメディアは見たくない。

2.アメリカを再び、”安全に、自由に、そして豊かに”しよう

「我々はみんな仲間のアメリカ国民だ。神のもとに何者にも分けさせない一つの国だ。何者にも我々を止めさせない。我々は、みなさんの為に戦いを止める事はない。」

そして会場からは、”WE LOVE TRUMP"の大合唱が自然と巻き起こった。

「政治的な意見の不一致があるからといって、相手方を犯罪者扱いしたり、悪魔呼ばわりしたりするのは辞めよう。民主主義の精神から、民主党は、司法を政治利用するのは辞めよう。」

メラニア婦人の暗殺未遂事件の直後に発表したアメリカ国民に向けての手紙を賞賛し、共和党HPに掲示したらどうかと提案した。

メラニア婦人は暗殺未遂事件の直後にアメリカ国民に思想信条や支持政党の違いを乗り越え、家族を豊かにするため共に戦おうと呼びかけた。

「若者も老人も、男も女も、民主党支持者も共和党支持者も、黒人、白人、アジア系、ラテン系もみんなで力を合わせ、アメリカを豊かに、自由に、強くしよう!」と訴え、会場からは"Trump”の大合唱が巻き起こった。

3.民主党への呼びかけ

「フロリダ州は、私に対する機密情報取り扱い法違反の告訴を全て無効とした。民主党は私を”魔女狩り”するのを辞めろ!」ちなみに、ここ数週間で、FBI(連邦捜査局)の内部からの密告があった。トランプ氏のフロリダの自宅から押収された機密書類に、黄色の用紙に”機密”のスタンプを押した捏造表紙をつけて、証拠写真として撮影した、というもの。この密告は一つの例にすぎず、すでにFBI幹部は左翼全体主義に染まっている、と私は考える。民主党のトランプ再選阻止戦術の一つに、こうした司法の政治利用(民主党利用)はあきらかに、意図的に司法界に蔓延している。

トランプ元大統領が、ニューヨークで有罪判決をうけた、いわゆる”Hush Money”(口止め料)訴訟も、その一貫であることは間違いない。仮に性的スキャンダルがあったとしても(トランプ元大統領はそういう行為はなかった、と主張)とっくに時効になっている。それを刑法をこねくり回し、勝手に法解釈し、かつ左翼ニューヨークでの陪審員裁判で、トランプ側の主張が認められなかったのは当然かもしれない。民主党は、トランプ元大統領に禁固刑という”ありえない”厳罰をかし、選挙運動を妨害し、究極は立候補取り消しさえ狙っているのではないか?

トランプ元大統領が、そうした”司法の政治利用”を激しく非難したのは当然と考える。またトランプ元大統領は、民主党幹部のなかで、前下院議長のナンシー・ペロシ女子を名指して非難した。またバイデン大統領は名前は1回しか出さなかったが、現政権の無策を後で具体的に列挙して訴えた。

4.J.D.Vance副大統領候補と婦人、ゲストの紹介
副大統領候補の夫妻を簡単に紹介したのち、数人のゲストを紹介した。その中で、ハルクホーガン氏のシャツを破り捨て、下に来ていた真っ赤なトランプシャツを見せたパフォーマンスを”素晴らしいエンターテイナだ”と賞賛した。

ハルク・ホーガン氏

5.トランプ前政権時代の実績

私は知らなかったのだが、”Right to Try”法を52年ぶりに成立させた。この法律は、まだ認可の降りていない治験中の新薬を、希望する患者は試験的に投与してもらえる権利を保障するもの、のようだ。トランプ大統領はハッキリと、"China Virus" 中国ウイルスと明言したが、オペレーション・ワープで、そのRight to Try法で、コロナワクチンの大量生産と接種が可能になったのだと思う。

ただし、トランプ元大統領とほどんどの保守派論客は、ワクチンの強制接種を強要したバイデン政権には真っ向から反対したことを忘れてはいけない。あくまで主治医ともよく相談し、年齢、健康状態、さらに既往症を勘案して個人の責任と判断で接種するかどうか、決めるべき、との立場だった。

対してバイデン政権は、左翼全体主義の本性をむき出しにして、例えば政府機関職員(軍人を含む)には強制接種を義務付け、従わない者には休職や免職まで言い渡す強権を発動していた。アメリカ保守派から蛇蝎の如く嫌われている、アンショニー・ファウチNIH所長(アメリカ国立衛生研究所)は、マスク着用とワクチン接種を先頭にたって喧伝していたが、製薬会社から巨額の献金を受け取っていた事が判明しており、すでに数回の喚問を受けており、今後色々な内部告発もあるのでは、と私は推測している。

他にも重要な演説はあったかと思うが、ひとまずここで一区切りをつけたい。

また最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。
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