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服くらい好きに買わせてくれ

先日、友達と服を見ていたら、男性の店員がニコニコ話しかけてきた。

「これ可愛いですよね〜。デートで着て行ったら嫌がる男いないっす!」

彼に悪気がないことは私もわかっている。わかった上で文句を言いますが、私は私のために服を選んでいる。男のためじゃないです。そんなこと一言も言ってないし。

仮に私たちが「来週のデート服まだ決めてないんだよね〜」みたいな話をしながら店をウロウロしていたなら、上記の台詞で割り入ってきても別に何も思わない。私が女だからってデートの相手を男と決めつけるなよという気持ちはあるものの、咄嗟に口をついて出る言葉にそこまでの価値観を求めるのも酷なのかなと思う。現状、日本は遅れている国なので。
だけど実際は、私たちは普通に「これ可愛いね」「最近こういうの流行ってるよね」くらいのことしか言っていなかった。つまりあの店員は、可愛い服を選んでいる女性を見て「男のために選んでいる」と解釈したことになる。

流石にひどくないですか。女が可愛い服を見ている=男を喜ばせるため、という思考回路はハッキリ言って怖い。彼にそんなつもりは無いのかもしれないけど、ナチュラルに男尊女卑が染み付いているように感じる。女は男を喜ばせてナンボやろ!という思想が透けて見えてる。不快すぎる。

友達も同じように不快に感じたらしく、一瞬アイコンタクトを交わして即座に愛想笑いしながら店を出た。服は本当に可愛かったし、彼に声をかけられなかったら買っていたと思う。その程度の価値観で接客業なんかやってるから客を逃すんだよ。たぶん大学生だと思うけど、彼が就活を始めてガクチカで「アパレルショップのバイトで売上に貢献しました!」とか書いていたら墨汁で塗り潰してやりたい。嘘つくんじゃないよ。ていうか男性向けのショップで働きなよ。
彼がこのnoteを読むことなんて無いだろうけど、もしも心当たりのある人がいたら、胸に手を当てて以下を熟読してほしい。

女性は自分のために服を買っています。あなたたち男性のためじゃない。
仮にデート服を選んでいたとしても、それは相手に可愛い、綺麗だと思われたいという意志のもとであり、結局は自分のためです。ファッションは自分のためにあります。

そんなに怒るほどのことじゃないだろ、と思われるかもしれない。そうだね。私だって彼のあの一言を浴びただけなら、友達と美味しいものでも食べながら「あれは無いよね」と愚痴って終わる。
でもそれで終わっていないのは、こういう腹立たしいことが日常にゴロゴロ転がっているからだ。塵も積もれば山となるって言うけど、塵が多すぎる。デカめの雪くらいのサイズでどんどん降り積もっていく。雪かきすればいいじゃんって思いますか?なんで男が降らせた雪を私が掃除しなきゃいけないんだよ。私は女に生まれてきたことが悔しい。女だから軽んじられる、女だから見下される、女だから弱い。性差によって生じる力の差があるのは仕方ないけど、性差によってこんなに舐められていいわけないだろ。新しい服を買って好きな映画でも観に行きたかっただけなのに、なんでこんな嫌な気持ちにならなきゃいけないの。私が何かしましたか?お願いだから、好きなものくらい楽しく自由に買わせてください。

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