BCG予防接種は日本を救う?

BCG有無でコロナ死亡率「1800倍差」の衝撃 日本や台湾で死者少ない「非常に強い相関」〈AERA〉

を読みました。

コロナ感染による死亡率の低さと「日本株」のBCG予防接種の間に相関関係がある様です。この報告は人口100万人あたりの死亡数なので、人口に対する感染率(全体のうち感染している人の割合)を考慮されていません。これはあくまで「死亡数」の差であり、イスラエルの報告でBCG接種の有無で「感染する確率」には差がないことがすでにわかっています。他のウィルスではBCG接種の有無で予後に差がある報告もあるため、上記の報告に意味があるとして考察します。

全ての国が乳幼児での接種となっております。

1.他の乳幼児接種のワクチンとは相関がないこと

2.日本株と他の株(ロシア株、デンマーク株)には差があること

から日本株BCGに特別なことがある可能性を考えます。

まず、基本的なことですが、乳幼児は免疫系がまだ「自分なのか」「外から来た有害なものなのか」を区別する能力が完成してない時期です。免疫はまだ全てのことが明らかにはなっていません。自分か外敵か区別出来ないうちの感染は恐らく「全て外敵」と判断している可能性があります。そうで無ければ初めてかかる普通の風邪でも死んでしまうでしょう。

この時期にBCG予防接種を行うと「結核性髄膜炎」の予防効果があるため接種します。肺結核などそのものの予防にはなりません。

自分か外敵か区別出来ないうちは全て外敵と認識すると仮定すると、「結核菌ワクチン日本株」の一部でコロナウィルスに似たような構造に対して免疫が出来ている可能性があります。タンパク質は3次元構造なので、全く同じタンパク質で無くても、3次元構造が似ているものに抗体を作る可能性はあります。特にワクチンは弱毒株の生ワクチンを使用しており、もともとの(強毒株)結核菌そのものではありません。そして、BCGワクチンのタンパクの一部に新型コロナウィルスと構造が似ている場所があれば、不完全ながら「以前一度感染したことがある」と認識してくれる可能性はあります。

もう一つの可能性は「結核菌ワクチン日本株」の内部に「コロナウィルス共通の遺伝子」が紛れ込んでいる可能性です。結核菌は細菌であり、細菌の細胞膜は「真菌以上の真核生物」の細胞膜よりずっと不安定です。この性質を利用して、私は研究時代に、大腸菌の細胞の中に特定の遺伝子を挿入して必要なタンパク質を大量に作ってもらいました。恐らく「結核菌ワクチン日本株」も何かの拍子に「コロナウィルス共通遺伝子の一部」を体内に取り入れてしまったという可能性もあります。今回は「新型」ですが、太古の昔から「変わらない(共通な)部分」があるはずです。そうでなければ「コロナウィルス」と分類出来ません。人間の遺伝子ですら3~4割はウィルス由来と言われています。結核菌がコロナウィルスの遺伝子の一部を持っていても不思議はありません。

この論文は新型コロナウィルスのワクチンを接種されるまでのそれぞれの感染率や死亡率など「絶対数」ではなく、率で比較して差があるかを検証するのが望ましいと考えます。

いずれにしても(ひいき目に見て)少しだけ明るいニュースでしょう。ただし、免疫系が確立した大人になってBCGを打ってどうなるかはわかりません。また、もともとツベリクリン反応が陽性の人や一度子供の頃BCGを行ってある大人は、追加で打つとかえって抗体が減少する「脱感作」(杉花粉症の人に少しずつ杉花粉を皮下に注射するとアレルギーが改善することがあります。つまり、多く打てば必ず抗体が多くなるという保証はないのです。)が生じる可能性があります。せっかくの効果が薄れる可能性があるため接種しない方が良いでしょう。また、日本は空気中の結核菌の数が多いので、BCG不足になり乳幼児が接種できない場合、「結核性髄膜炎」を生じる乳幼児の確率が上昇してしまうこともあり、大人での接種は絶対に控えて下さい。

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