31歳初めての胸のしこり
左胸に今まで見たことのない凸(しこり)が現れたのは、今から4ヶ月くらい前。
私は胸騒ぎがして、旦那に電話した。
「乳腺でも詰まったんじゃない?年齢的によくあると思うよ。」
薬剤師の旦那はさらりと言って、私を安心させて電話を切った。
私は当時、短期留学で単身フィンランドにいた。だから、病院に行くにもハードルは高いし、帰国後、まだ凸があるようだったら、病院に行けば良いかなと深く考えていなかった。
それから、たまに凸は痛むこともある気がしたけど、大して大きくなることもなく息を潜めていた。
私はたまにネットで乳がんを調べては不安になったり、この凸は違う!とか何度も考えた。帰国日まで凸はなくならなかった。
帰国して2日後、みやがわ乳腺クリニックを受診した。触診後、
「確かに腫瘍があるね。マンモグラフィと超音波の検査してみようか。」
女医さんが言った。
マンモグラフィも超音波の検査も一昨年受けたことがあったし、私は終わってない仕事のことを考えながら、淡々と検査を受けた。
「うーん。グレーだね。」
私は何て⁈って思った。
ただの乳腺の詰まりなら、グレーなんて言わないから。
「多分、何でもないと思うけど、組織取るか。念のためね!今から時間ある?」
「え!今から博論提出しに行かなくちゃいけないんです。」
今考えればのん気だと思うのだが、その時の私は何よりも優先すべき事項だった。
「そっか。あんまり見たことない腫瘍だなあ。液体に包まれた腫瘍なんだよね。いつでも良いけど、また来れる?」
女医さんは優しい。
ここまで言われて、私は仕方なく、夕方にまた病院へ行くことにした。
博論提出して、気持ち的に落ち着いた私は、やっと旦那に電話した。
「組織検査?するみたいよ。また病院行くの。なんかね、液体に包まれているっぽい腫瘍に針刺して、組織取るって。」
旦那は
「えー!そうなの⁈もしさ、悪性だったとして、液体って他の部位に飛ばないの?そんな腫瘍に針刺されて、怖くない?ちゃんと先生に確認して。」
あ、そうか。液体だったら、飛ぶのか。
私は針が痛いか痛くないか、それだけが心配だったから、旦那に電話して良かったと思った。
再びみやがわ乳腺クリニック。
次は男性の医師。
旦那に言われた話しをしたら、
「確かに液体なら、他の部位にも流れるけど、針は細いし、なるべくいじらないように抜くよ。あなたの腫瘍は内包性腫瘍っていう形状です。」
との回答があった。
「わかりました。」
少し怖かったけど、先生はとても信頼出来そうな落ち着きがあったから、検査を受けることにした。
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