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ガンバレ 子ツバメピースケと (10)もりのふるぎやさん

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子ツバメの巣立ちと お兄ちゃんとなあちゃんの夏休みに起きた不思議な冒険物語。楽しい昆虫達がいっぱい
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#巣立ち

4 羽ばたきを始めたピースケ

巣立ちが近い  身体が大きくなるにつれてピースケは鳥かごの中で毎日バタバタと羽ばたきをするようになりました。やがてその羽ばたきの回数が多くなり力強さも感じられるようになりました。 『もうそろそろ巣立ちの時期だね。』 お父さんがそう言うとナーチャンが言いました。 『えっ どうして このままお家で飼おうよ。お家で飼ってもいいでしょ。』  こんなにかわいく育ったピースケとのお別れは悲しいのです。マークンもナーちゃんもさみしくて仕方ありません。でもピースケはツバメです。野鳥の場合は

5 どうやって自然界に帰すの?

人の手で育てたツバメが 生き残れるのだろうか?  マークンが鳥かごをさげて庭に出て来ました。家族みんなも一緒です。それぞれ鳥かごの中をのぞいてはピースケにあいさつをしました。 面倒を見てやれるのはここまでだよ。しっかり自分の力で生きていくんだよ。元気でねとか またおいでねとか。  マークンとナーちゃんはピースケを鳥かごから出すと二人でやさしく手の平にのせました。それから『せーのっ』て声をかけあいながら 祈るような思いで 空に向かって思い切り高く投げ上げました。  親鳥から教

6 奇跡のような光景

ツバメの救援隊あらわる!  ピースケは自分にできる事を精一杯やりました。鳴いたのです。生まれて初めて全身の力を使って必死で鳴いたのです。 その鳴き声を聞きつけたとしか思えません。ツバメの一団が飛来してピースケのつかまっているアンテナの周りをぐるぐると旋回し始めたのです。ツバメ達がピースケに何かささやきながら飛んでいます。  それはまるで さあいっしょに行こう。飛んでごらんと言ってるみたいです。ピースケは仲間に入れてもらおうと羽ばたきしながら何度も飛び立とうとはするのですが怖

7 何一つ保障されていない・・・それが野性生物の生きる世界

あとがき  ”ガンバレ 子ツバメピースケ ”  これは私の飼い主さん一家が体験した実話です。 野生の生き物は自然に任せるべきだと この家族も知っていたと思います。でも子どもが拾ってきた小さな命をどうしたら良いのかわからず 育てたヒナをどうやって自然界に戻せばいいのか その方法についても何の知識もなかったと思います。だから想定される結末がいろいろとある中で 結果的にこんなにもステキな感動をもらえた事には感謝すべきですし それは本当に幸運だったのだと思います。 ※その後ピース