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ガンバレ 子ツバメピースケと (10)もりのふるぎやさん

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子ツバメの巣立ちと お兄ちゃんとなあちゃんの夏休みに起きた不思議な冒険物語。楽しい昆虫達がいっぱい
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2021年4月の記事一覧

1 ガンバレ 子ツバメ ピースケ!

巣から落ちてしまった子ツバメ : 野生の生き物は自然に任せろと言うけれど・・・ これはシバイヌモモのお兄ちゃんマークン(四年生)と お姉ちゃんのナ-チャン(一年生)がツバメのヒナと過ごしたある年の夏の物語です。  毎年春から夏にかけてツバメの子育ての姿を見かけますね。 マークンもナーチャンも毎日のようにあちこちでツバメの姿を見かけました。ヒナ達のエサを欲しがるにぎやかな声とあの大きく開かれた口はカワイイですね。  そんなある日のこと 学校からの帰り道に 近くにある倉庫の梁

2  マークンとナーちゃん 親ツバメになる

ワオ 食欲旺盛だこと! エサが間に合わないよう!  以前に黄色いカナリアを飼っていたことがありました。その時に使っていた鳥かごをこのピースケのお家にすることにしました。 マークンとナーちゃんは 大きな口を開けてエサを欲しがる子ツバメを観察しました。 『びっくりだよ。ツバメって自分の頭よりも大きな口を開けるんだから。』 『ホントだ 大きな口だね。クチバシは黒っぽいのに口の周りは黄色くて口を開けるとカパッと大きなオレンジ色の口だね。』 『親ツバメって子育ての為にあんなに小さな体

3 ツバメらしくなってきたね

昆虫の活餌をたべさせる必要があるらしい  ペットショップの店長さんが教えてくれました。 ツバメは孵化してから20日くらいで巣立つそうです。今のピースケは子供達の話から推測すると10日から14日くらいたっているのではないか。 そうなるとミールワームだけでは足りないから時折 飛んでいるチョウチョとかハエとか 昆虫を食べさせる必要があるかもしれないとのこどでした。  それで子ども達二人は お庭で昆虫を探しました。いっぱい飛んでいてしかも捕まえやすかったのはシジミチョウだけでした。

4 羽ばたきを始めたピースケ

巣立ちが近い  身体が大きくなるにつれてピースケは鳥かごの中で毎日バタバタと羽ばたきをするようになりました。やがてその羽ばたきの回数が多くなり力強さも感じられるようになりました。 『もうそろそろ巣立ちの時期だね。』 お父さんがそう言うとナーチャンが言いました。 『えっ どうして このままお家で飼おうよ。お家で飼ってもいいでしょ。』  こんなにかわいく育ったピースケとのお別れは悲しいのです。マークンもナーちゃんもさみしくて仕方ありません。でもピースケはツバメです。野鳥の場合は

5 どうやって自然界に帰すの?

人の手で育てたツバメが 生き残れるのだろうか?  マークンが鳥かごをさげて庭に出て来ました。家族みんなも一緒です。それぞれ鳥かごの中をのぞいてはピースケにあいさつをしました。 面倒を見てやれるのはここまでだよ。しっかり自分の力で生きていくんだよ。元気でねとか またおいでねとか。  マークンとナーちゃんはピースケを鳥かごから出すと二人でやさしく手の平にのせました。それから『せーのっ』て声をかけあいながら 祈るような思いで 空に向かって思い切り高く投げ上げました。  親鳥から教

6 奇跡のような光景

ツバメの救援隊あらわる!  ピースケは自分にできる事を精一杯やりました。鳴いたのです。生まれて初めて全身の力を使って必死で鳴いたのです。 その鳴き声を聞きつけたとしか思えません。ツバメの一団が飛来してピースケのつかまっているアンテナの周りをぐるぐると旋回し始めたのです。ツバメ達がピースケに何かささやきながら飛んでいます。  それはまるで さあいっしょに行こう。飛んでごらんと言ってるみたいです。ピースケは仲間に入れてもらおうと羽ばたきしながら何度も飛び立とうとはするのですが怖

7 何一つ保障されていない・・・それが野性生物の生きる世界

あとがき  ”ガンバレ 子ツバメピースケ ”  これは私の飼い主さん一家が体験した実話です。 野生の生き物は自然に任せるべきだと この家族も知っていたと思います。でも子どもが拾ってきた小さな命をどうしたら良いのかわからず 育てたヒナをどうやって自然界に戻せばいいのか その方法についても何の知識もなかったと思います。だから想定される結末がいろいろとある中で 結果的にこんなにもステキな感動をもらえた事には感謝すべきですし それは本当に幸運だったのだと思います。 ※その後ピース