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冷めていく

まるで別の生き物みたいに
右足の親指に絡み付く
あなたの小さな唇

口角から滴る体液のようなつばき
足裏をくすぐるまつげの触角

あなたのうなじの深さを味わおうと
赤い舌を泳がしたところで

ただもう
湿る順から
冷たくなって剥がれていく

窓の外では熟れた糸瓜が
残された陽の熱に汗ばんでいる

(1993年頃 夏)

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