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そぼくなだんしょう


夜の二人は活発だ
繰り返されるのは昼と夜で
その境目の宙ぶらりんの反動だろうか
許されない二人の関係のせいだろうか

二人は体温を奪い合う
二匹の子猫がじゃれあいながら
一つの毛玉にまるまっていくさまは
滑稽で哀しい

そんな顔
とはどんな顔だろうか
肝心な一言を口にできない他人のカオを
僕は知らない


初夏の日差しは厳しい
缶ビールのプルトップを引き上げ
日差しを避けて座るベンチの二人は
何も言わない 何も聞かない

一人の男の子と二人の少女
白い子犬のブラウン運動は
まったくもって屈託がない
こんなにさらされた世界の中でも

少女の揺らすブランコ台が
右に左に傾きを変える
いびつに傾いていたのは
二人のベンチではなかっただろうか


願い事といえばいいのか
それは遠い祈りに似ていた
持ち上がれば願いがかなうという
笑顔の石像を持ち上げながら

あなたに見透かされはしなかっただろうか
思わず石像を抱きしめてしまいそうになったことを
あなたに見せたことのない抱擁のカタチを
背中で隠した僕のカオを

右足の合図で負ぶさるあなた
キミの猫背はかわいいねとあなたの頬が揺れている
僕のうなじが甘噛みされる
夕映えの鉄塔は静かに空へと伸びている

(2002年 秋頃)

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