そぼくなだんしょう
※
夜の二人は活発だ
繰り返されるのは昼と夜で
その境目の宙ぶらりんの反動だろうか
許されない二人の関係のせいだろうか
二人は体温を奪い合う
二匹の子猫がじゃれあいながら
一つの毛玉にまるまっていくさまは
滑稽で哀しい
そんな顔
とはどんな顔だろうか
肝心な一言を口にできない他人のカオを
僕は知らない
※
初夏の日差しは厳しい
缶ビールのプルトップを引き上げ
日差しを避けて座るベンチの二人は
何も言わない 何も聞かない
一人の男の子と二人の少女
白い子犬のブラウン運動は
まったくもって屈託がない
こんなにさらされた世界の中でも
少女の揺らすブランコ台が
右に左に傾きを変える
いびつに傾いていたのは
二人のベンチではなかっただろうか
※
願い事といえばいいのか
それは遠い祈りに似ていた
持ち上がれば願いがかなうという
笑顔の石像を持ち上げながら
あなたに見透かされはしなかっただろうか
思わず石像を抱きしめてしまいそうになったことを
あなたに見せたことのない抱擁のカタチを
背中で隠した僕のカオを
右足の合図で負ぶさるあなた
キミの猫背はかわいいねとあなたの頬が揺れている
僕のうなじが甘噛みされる
夕映えの鉄塔は静かに空へと伸びている
(2002年 秋頃)
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