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雪の夜

くたびれた路面の残響を
するりと舐めて這っていく
女の細い右脚の
そんな夜に

静止していたのは水瓶
それとも
そこに蓄えられた水だっただろうか
いつまでも静止していたのは

ふいに滑りこむ人差し指の
充満した力によって捲られる
女の白い腹の
そんな夜に

海面
これまでに浮かべた笑顔の無表情が
頼りなく傾きながら落ちてきては
月影の銀盤に仄めいて消えていく

(2016年改)

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