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宇治茶摘 茶製法 茶名物 焙籠

宇治茶摘

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『日本山海名物圖會 二

宇治 茶摘ちやつみ
日本に  茶をうゆることは、人王  八十二代  後鳥羽院の御に始まる。京  建仁寺 の 開山 栄西ゑいさい和尚 渡唐の時、茶の種をもろこしより取かへりて、筑前国  脊振せふり山 に植らる。是を岩上茶と云。

又、栂尾とがのを明恵めうゑ上人に、其種をまいらせられたるを、上人  山城の宇治 と 栂尾 とに植らる。今、栂ノ尾には 茶たえて、宇治の茶  甚だはびこれり。四月に葉をつみて、煎茶を製す。


※ 建久二年(1191年)、栄西禅師が中国から茶の種を持ち帰り、背振山 霊仙寺の岩上坊(石上坊)に播いたことが日本におけるお茶栽培の始まりとされています。

凡  茶つみ 茶よりは 皆女の所作なり
宇治の茶つみとて遠国までも其名高し


茶製法

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『日本山海名物圖會 二

茶製法ちやこしらえ
茶の葉をつみて、是を折敷にいれ、箸にて、ちり、赤葉あかは、くものす、などよく  ゑりて後、釜にてゆであげ、それを桶にいれて、しめ木にてしめ、水気をとりて、日にほすなり。

次のゑと合わせ見るべし。

茶の葉をつみて是を折敷にいれ
箸にて ちり 赤葉 くものすなど  よくゑりて

凡、茶つみ、茶よりは、皆  女の所作なり。宇治の茶つみとて、遠国までも  其名高し故に、他国の人は  かならず見物に来りて、いとにぎやかなることなり。


茶名物大概

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『日本山海名物圖會 二

茶名物  大がい
宇治  くき茶  近江  滋賀来しがらき
筑前  岩上いはかみ  大和  吉野川上
駿河  安倍あべ  美濃  虎渓こけい
近江  越渓えつけい  播州  粟賀仙霊あはがのせんれい
山城  高雄本葉たかをのほんば  同  薄葉うすば
丹後の草山  同  高泉寺  同  明石
伊勢  川俣かはまた  伊予の  金甑かなこしき
美濃  輪違わちかひ  江州  一山ひとつやま
同  雁音かりがね  同  山ふき
同  初緑はつみどり  同  春風  同  㐂撰きせん
駿河  足久保あしくぼ  日向茶  数品あり。

しめ木にてしめて水気をとり日にほすてい
ゆであげたる茶をしめ木にてしめる所


焙籠

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『日本山海名物圖會 二』

焙籠ほいろ
上の絵に見えたる  茶の葉を湯出ゆでて  日にほしたるを、ほいろにかけて  あぶる也。此絵は、せんする時の ほいろにはあらず。

宇治  御茶師  御通  御用 凡  三十三人
上林味卜 上林春松 上林●入 上林三入
長井貞甫 酒多家有 尾崎有庵 星野家●
堀  ●● 長等宗味 辻  善徳

茶の保育炉(ほいろ) 
保育炉(ほいろ)又は 雪洞(せつとう)共云
俗に助炭(じよたん)と云
抹茶臼図(ひきちやうすのづ)

冷たい緑茶
Photo by mominaina


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