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『料理綱目調味抄』第二巻(1) 飯の部

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『料理網目調味抄 5巻 [2]

焚干たきぼし

あまねく しる㕝は しるさ。飯を仕入る水に、昆布だし三分一加れば極上の飯になる。又、一升の飯に、酒にても醤油にても、盃に一盃加るもよし。飯たきそんじたる時、一升の飯ならば酒一さんそゝぎ、火をほそくたきうまし置べし。

餴飯にたらひめし

常 飯にたき、あつゆにてあらひ、又、釜に入す。

※ 「如 常」は、常の如く。

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『料理網目調味抄 5巻 [2]

湯取飯ゆとりめし

かし米一升に、水二升の余、大かた飪なる時、湯を去り、又、釜に入、細く焚むす。又、かし米いか ● に入、熱湯の釜に入、煮たる時、上蒸。

※ 「飪」という漢字は、食べ物を柔らかくなるまで煮て、食べられるようにするという意。
※ 「かし米」は、洗って水につけたお米のこと。

小豆あづき

白米一升に、小豆四合のしぶをとり、あとのゆで湯にてたく。塩少加。

むぎ

如常、麥を一夜水に漬、焚時水多くゆでて、よく煮たる時、湯を去。麦に米を包、水ヒタ/\にして焼(麦一升米三合)。又、麦をひきわりても如右。

※ 「焼」は、ここでは火を通すという意味と思われます。

 常、飯を焚、器物す。うつす時、菜の細なるを塩もみにしてふりまぜ、しばらくうましむ。菜飯もどきは、わかめをあぶり、粉にて飯にり交、暫うましむ。外に塩を不 用。

※ 「暫」は、しばらく。

奈良茶ならちや

茶飯は、茶を以て焚。塩を加、緑豆一 ● 、かちくり、小豆、大豆は煎て其まゝ熱き茶に入、果 ● きたる時、飯に加へ焼。何れも塩を加。

芳飯ほうはん 作包

かも飯、雉子きじ飯、ゑび飯、めばる飯、初茸、松茸し、皆、鶏飯 もどき にして芳飯也。鶏飯けいはん仕様、かしはの若鳥よし。毛とわたを去り洗て、丸ながら茹で、其茹湯ゆでゆにて飯を焼。飯は釜より直にもる。鶏にくを細くさきて、五加木うこぎの干葉、葱を刻、各酒漿にて味付、飯の上に ●●ふ 也。又、粒胡柞、からみ大根を用。

悖の仕様、●●● 又、葱、牛蒡、しめじ、椎茸しいたけせり、焼麩、何れもせんに切、味付、飯に覆たる。皆、包飯也。

汁は清し。大根、昆布の類、かろくすべし。其日の芳飯、冷汁に海苔、栗、生姜、をろし大根、いもだしを可 用。いもだしは、山のいもうすくへぎ、一夜水につけ置、ねばり水を用。

※ 「胡柞」は、胡椒のことでしょうか。

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『料理網目調味抄 5巻 [2]

白粥しらかゆ 作糊

水六升あつくはかし、米一升の内より一にぎり打込、其米にへたるとき、残り米打入、釜のふたしめ、火を引置けば自ら熟。

茶粥ちやかゆ

米を黄色になる程いり、茶にて焼。杓子しやくしにてねるはあしく、外にかけ茶有はよし。惣る茶がゆは土釜よし。

小豆粥あづきかゆ

米一升に小豆四升、塩を加。其日にふたのよき器に入、井の底にて能冷し、砂糖用。

※ 「能」は、く。

増水そうすい 作□

鴨、卵、葱、韮、芹、菜、其外何にても、みそ、又、漿しやうゆ、又、うすたれにてもよし。水□塩を加。東國にてはと□といふは、鳩のわたをぬき、餅米の粉をだん子にして腹にこめ、竃にて蒸焼、わ切にして温漿を掛る。

焦湯いりゆ

強飯こはいひを干煎、こかゝをく。あつき湯に入、ふたをし暫くして■上り、極上のこげ湯になる。其外は如 常。 [■は氵+字]



筆者注 ●は解読できなかった文字、□はパソコンで表示できない漢字を意味しています。
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