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【大阪】鶴満寺

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『鶴満寺(浪花百景之内)

寉満寺くわくまんじは、淀川の西岸さいがん  長柄村ながらむらありて、天台宗の一宇いちうなり。

寺中に 糸桜いとざくら 数株すちう ありて、しかも老樹たり。満開の頃は、雅俗の遊人ゆうじんこゝにつどひて、花を賞じ、ひさごはらむなし くして、田楽に腹をふくらし、帰るを忘るも、又多かり。鐘楼の古鐘は世に名高く、銘および伝記は寺中じちうよりいだすがゆへ こゝに略す。実に稀代の 凡鐘ぼんしやう なり。

※ 「鶴満寺かくまんじ」は、大阪市北区長柄にある天台真盛宗の寺院。
※ 「糸桜」は、しだれ桜のこと。
※ 「ひさご」は、瓢箪ひょうたん の中をくり抜いて乾燥させた容器。水や酒などを入れるのに用いる。
※ 「田楽」は、豆腐・茄子などを串にさして味噌を塗って焼いたもの。

鶴満寺は淀川の西岸長柄村に有て天台宗の一宇なり
寺中に糸桜数株ありてしかも老樹たり
満開の頃は雅俗の遊人こゝにつどひて花を賞じ
瓢の腹を空くして田楽に腹をふくらし帰るを忘るも又多かり



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