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江戸の花名勝会 は 一番組(坂東三津五郎)

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『江戸の花名勝会 ろ 二番組


白木材木を 尺ごとに 積あげた
あのつみやうは 杉の森

いにしへ 杉多くありし 寛文のころ
焼失して 杉二、三本と 当社の小祠のみ
残れり所に ○人信仰して
杉の森稲荷と 称し奉る


「杉の森稲荷」は、江戸三森のひとつ「  椙森すぎのもり 神社」 のことで、現在の東京都中央区日本橋堀留町一丁目、当時は新材木町と呼ばれたエリアにありました。


坂東三津五郎 新材木町杉の森の社

新材木町 杉の森の社

おととひ こひとは じやけんな ことば
そりや きこへませぬ
さい三さん おまへと わたしが その中は
けふや きのふの ことかとかひな

黄八丈を着た「白木や  おこま」は、実在の人物「お熊」がモデルになっています。

昔八丈 白木や おこま

お熊は、日本橋新材木町の材木問屋「白子屋」の長女で、享保十一年(1726年)に起きた「白子屋事件」の中心人物です。実母とともに、夫の殺害を謀った罪(殺人未遂と密通)により、大岡越前守の裁きによって死罪となりました。

町中引廻しの際に、白無垢の襦袢と中着のうえに黄八丈の小袖を重ね、水晶の数珠と首にかけた美しい姿だったといいます。

後に、白子屋お熊の事件は、歌舞伎や浄瑠璃などの題材に用いられ、ここに描かれている「白木や  おこま」は人形浄瑠璃『恋娘昔八丈』のヒロインです。


江戸の花、名勝会に描かれている「待合茶屋  玉や」「利久庵」「千浪庵」は、おこまと才三郎が逢瀬した場所でしょうか。


黄八丈姿のおこまが抱く猫は、首に赤い紐の鈴をつけてもらって、なかなか愛嬌のあるきれいな猫です。



筆者注 ○は解読できなかった文字を意味しています。
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