燕都(えど)の見図(1)
※ 「燕都」は、江戸のこと。
新吉原
偽りの ● 日の月の照りそひて いつも盛りの花のよし原
森羅亭
※ 「照りそひて」は、照添て。いよいよ光輝くこと。
日本橋
日本ばしとりて向へる御膝元へ すはりし膳のふじの高もり
我心齋 不石
※ 「日本ばし」は、日本橋。
※ 「すはりし」は、座りし。
※ 「ふじ」は、富士。
※ 「高もり」は、高盛。お椀などに、飯や菜などを高く盛ること。
堺町
鶉ともならで年ふる鼠木戸 猫なでこゑに客やひくらむ
かつしか この女
※ 「 堺町 」は、日本橋人形町あたりにあった地名。中村座がある堺町と市村座がある葺屋町をあわせて、二丁町と呼んだそうです。
※ 「鼠木戸」は、劇場などの興行場の木戸口に設けられた観客が入場するためのくぐり戸のこと。
※ 「猫なでこゑ」は、猫なで声。
浅草寺
吹ちりて たちまち雪とけしの介 美にはあらじ見物に ●
双六齋 珠山
※ 「雪とけしの介」は、雪解けし と 芥子之助の掛詞になっています。
※ 「けしの介」は、芥子之助。浅草観音の奥山などで、豆と徳利を手玉にとったり、鎌を投げて空中で豆を切ったり、手品や早がわりの芸などを見せた芸人のこと。
亀井戸
水茎の跡たれたまふ 神垣の藤はさながら おらんだの文字
司馬亭 魚交
※ 「水茎の跡」は、筆跡、または手紙のこと。
※ 「神垣」は、神社の垣、神域と他を区別するための垣のこと。
※ 「おらんだ」は、オランダ。
瀧の川
もみぢ葉に 瀧のしら糸おりまぜし 錦にしては せまき道はば
万葉事 真名文
妙見
亀井戸の よろづよはひをふるとても 枯れぬ所か 妙見の松
有雅亭 好兼
※ 「妙見」は、柳島妙見堂。法性寺 境内にあったお堂で、北極星を神格化した妙見大菩薩が祀られていました。
※ 「妙見の松」は、法性寺にあった古松のこと。
※ 「よはひをふる」は、年を経る。ここでは年齢を重ねる、老齢になるという意味。
筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。
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