![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/124095854/rectangle_large_type_2_6a2fc2767d2eab367da1579cb7c42c33.jpeg?width=800)
【人相学】『武者鑑』新田左中将義貞/勾當内侍/正成室/楠判官正成
![](https://assets.st-note.com/img/1702139117396-EJUAFRo4jc.jpg?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1702139117309-5EW4DLdDZq.jpg?width=800)
新田 左中将 義貞
義貞は、新田朝氏の 長男なり。護良親王の令㫖を得て、義兵を挙て、北条の大敵を一戦に誅し、亦、後醍醐帝の 勅を ■ [■は⺷+水] て、尊氏と 屡 戦つて、屡 勝といへど、永久の功ならず。閏七月二日、越後の黒丸の合戦に、白矢の為に命を殞す。惜哉。
寔に 義心鉄石のごとく、亦、勇智に 秀し 良将なれど、女色に溺るゝの癖ありし。
是、其 人相を言ずして、身を 亡すの相なり。尤、軍功莫大にして、一朝に尽しがたし。たゞ人として 慎むべきは 婦人なるをや。
![](https://assets.st-note.com/img/1702139117364-Wq1bAxrf0q.jpg?width=800)
勾當内侍
内侍は、後醍醐帝の 官女にて、秀才英智にして、而も世界の色を 管領にして、実に絶倫の美貌なり。
義貞、参内して、風と 垣間見しより、深くも 掛恋して、有繫の 勇将も想ひに苦して有ける由を、帝きこし召れて、家の妻に下されければ、怡ぶこと 大方ならず。偕老の契り、浅からざりし。
斯る厚き 聖恩を思ひ、猶、忠臣を鉄石のごとくにして、竟に戦死を做せしとかや。
内侍は、眉長く清く、眼 秀、髪長く、膚は 細にして、手足小さく、節 細く、寔に 美人に聡明の相を兼たり。
※ 「掛恋」は、眷恋のことと思われます。恋いこがれること。
※ 「偕老の契り」は、年老いるまで長く連れそう、むつまじい夫婦の関係のこと。
![](https://assets.st-note.com/img/1702139117258-iCjRNeCBPG.jpg?width=800)
正成室
正成の室は、面躰 醜 といふには有ねど、美人ともいふべからず。然りといへど、其 心の 清きことは、玉の如くにして、相を言ば、鼻梁 天中に 貫き、口元 豊に小さし。それ、如斯 の人は、聡明にして、智慧ありといへり。當れるかな。
正成、湊川 にて討死をせられし時、尊氏 其首を送る。子息 正行 十一才なりけるが、是を見て、目もくれ、心も消、佛間に入て自害せんとするを見て、母 急ぎ押とゞめ、今 御首を送りとす㕝、実の 情けにあらず。味方の気をくどかん為の 謀斗なりとて、大に叱り、夫より 幼少 子供を主として、城を守り、能 士卒を 憐むほどに、縡なく 正行廿歳となりければ、今は 君の為に 軍を発し、叶はざる時は 死すべしと勧められしは、天晴婦人の 鑑に● 貞才共に秀たり。
![](https://assets.st-note.com/img/1702139117322-ig6Wf8nsdo.jpg?width=800)
楠 判官 正成
正成は、幼名を多門丸と言。かつて、其 母、毘沙門天に祈りて、産ればなり。
その顔、方長にして、頤の骨圓く、耳の根もと肥ずして肉あり。額 高く、眉長く、鬢にとゞき、眼は中眼にして、瞳子二ツあり。鼻は圓くして、ゆつたりと見へ、口大にして、歯列よく、白き 光をふくむ。是、智恵 万人に勝れ、名を挙るの相なり。
誠なるかな。楠公の筹策、神機妙算にして、又、能 忠志をあらためず。古今、絶世の賢臣、本朝無双の 良将 とも謂つべし。
※ 「楠公」は、楠木正成の敬称。
※ 「筹策」は、はかりごと、策略のこと。籌策。
※ 「神機妙算」は、神のようなすぐれたはかりごとのこと。
『武者鑑』の人物一覧はこちら
→ 【人相学】『武者鑑』人物まとめ 👀
筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。
新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖