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トイレにまたがってなきゃ安心できない

普段おっとりで体力もあり、機嫌が良く、よく食べよく眠る娘。その反面、完璧主義でパニックになりやすく、癇癪を起こすと大暴れの彼女は、トイトレでその癇の強さを遺憾なく発揮した。


そう、おしっこの方はまだトレーニングが完了していない。

5月末にうんちをトイレでするという体験をしてから、おしっこのほうもあっという間にトイレでするようになっていった娘。

しかし折り悪く私は、アマゾンのタイムセールでダンボール1箱ぶんのオムツを買ってしまっていた。

「急がなくていいからね…オムツはいっぱいあるんだから…」と、履かせていたオムツが全く濡れていないのを見て見ぬ振りし続けていたが、いい加減それもできなくなってアンパンマンのトレパンを購入したのが、6月下旬。

なんとも誇らしげにパンツを履く娘だったが、言うてまだオムツは残っているし、いまも引き続き、夜やお出かけの際にはオムツを履かせている。


…のだが、一度出来たことは失敗したくないのかなんなのか、なんせオムツにしたがらない。外でも、「おしっこ?トイレまで我慢できる?オムツでしてもいいんだからね」と言えば「オムツしたくなぁぁぁあああい!したくないしたくない!」と道端で絶叫。結局トイレで用を足し、オムツが活用されたことがない。

(一度、おしっこじゃなくうんちがしたい時があり、その時は2軒トイレをはしごしたが出なかった。緊張のせいだろう。ストレスが腸に響きやすいなんて、私に似てしまったに違いない)

そして夜のオムツ。

朝起きてオムツを見てみると濡れていたり濡れていなかったりする日がしばらく続き、私は私で朝早くに起こされたくもないため、当面この調子でいいや〜と思っていたところだった。

早朝、「おしっこ行きたい」と起こされるようになり、そんな日がしばらく続いた一昨日の夜、ついに娘のおしっこ不安が爆発した。


就寝前に、何度も何度も「おしっこいきたい」とトイレに通う。寝かしつけ担当の夫が、「もうおしっこ出ないのになんで行くの…」とげんなりしていた。私も様子を見に行き、膀胱炎かしら…と、痛いところはないかと何度も尋ねた。

すると次は、あそこが痛い、ここが痛い、と娘はあちこち指さす。どこからどう見ても、どう動かしても異変のない指先に絆創膏を貼り、なんとかかんとか機嫌を直して寝てもらった。

これで一安心、と思ったのもつかの間、午前3時に覚醒し、また大泣きしだす娘。いつもの娘なら、午後8時ごろに寝て午前7時ごろまで起きない。よく眠るタイプなのだ。

それなのに、午前3時に「トイレ行きたいトイレ行きたいーーーーーッッ!!!」と絶叫しだす。トイレに連れて行ったら、何も出ないのにじっとそこに座り続ける。なんならそこでウトウトしている。

頑として寝室に寝に戻るのを拒否する娘は、「リビング行きたい」だのなんだかんだと言い、私は眠くてイライラしたのであとは夫に任せることにした(夫の朝は早く、ほぼ夫の起きる時間だったので)。


翌日、今日はきっと情緒不安定な日だなと構えていた(これまでの2年10ヶ月の育児の中で、何かに特異的に情緒不安定になるということが殆どなく、ただただ全般的に情緒不安定の波があるというものだったため)。

体調が悪いんじゃないかと観察するも、なにもなし。予約していた歯医者へ行くと、初めて台の上であーんして、機械で磨いてもらい、フッ素塗布まで難なくこなした(これは別途noteにしたいのだが、とにかくこれは奇跡中の奇跡。ものすごい背伸びをした模様)。

昼間の体調も情緒も、いたって好調。
そして再び訪れる、夜の情緒不安定。

エンドレストイレと「こわいこわいお漏らしこわぁぁぁぁあい!」の大暴れで、寝かしつけ担当の夫が疲れ果てたところで私が交代し、「おしっこなんて別に漏れたらええのよ…」「ママがここでおしっこ漏らそうか?」「イーヒッヒッヒッヒッヒ(こんなの笑うしかない)」「ホルモンの関係で寝てる間おしっこは出にくくなっているんです」「でも子どもは漏れるんよ」「お友達もみんなそうよ」と説得。

便器の上でうとうとしている娘を催眠のように寝床に誘導したら、寝不足のためだろう、コテンと寝落ちた。

よしよし、これでぐっすり眠ってくれるだろう、と思っていたらまたもや午前4時。「トイレいきたぁぁああい!」「こわぁぁあああい!」とドッタンバッタン暴れまわる娘。

マンション住まいなので床をダンダン踏み鳴らすのだけはやめてほしい。こんな時間にうるさくして、いつ苦情が来てもおかしくない。そして眠い。家族みんなで不眠に陥るぞこれは…。

娘を引き受けてくれた夫に「お漏らし不安による不眠症みたいなもんかも」とメッセージを残して私は再び寝るも、うっすら意識がある状態での睡眠で寝た気がしなかった。


そして昨日。
案の定、日中はいつもと変わらず元気でご機嫌な娘。
そしてそして案の定、再び始まる夜の闘い。

今夜こそ根気強く娘に付き合うぞ、と気合いをいれてのぞんだ夫は、根気強く娘に「怖いねえ」と共感し対話していたが、エンドレスなトイレ通いとエンドレスな娘の不安絶叫で最終的に気が立ってしまい(そらそうや)、1時間ほど経過したあたりで私と交代。

人員が交代したことによって、それまでの興奮ギャン泣きが落ち着き、それに伴い眠気が来るという前の晩と同じ流れで、比較的すんなり寝かしつけることができた。

そしてやはり訪れる、明け方3時の覚醒。

夜ふかしな私はまだ起きていたので、寝起きの夫と寝る前の私二人がかりで対応することに。

「トイレいきたぁぁあぁい」「こわぁぁあい」と泣く娘。この数日で色々調べ、色々声がけをし、あの手この手を試したが正解が分からない。

なんちゃってペーパー心理士の私。抱っこしながら「こわいねえ」「こわい気持ち、何色?」だとか「こわい気持ちどこにあるかな?」だとか尋ねるも、ぎょえーんぴえーんとパニックになっている娘に全く聞き入れてもらえない。

ううん…
トイレに行ったら、「トイレに行って不安を一時的に回避する」という回避行動が強化されてるような気もしなくはないし…

ひとまず「暗い(夜)のが怖いのか」「トイレに行けないのが怖いのか」を確認するため、「トイレ行ってもいいけど夜だから電気つけないよ」という条件を提示する。

そして娘は真っ暗なトイレに居座った。

暗闇のなか、便座の上で頑として動かなくなった娘に、私と夫があらゆる語りかけをする。

夫は、オムツに描かれているうさぎさんがおしっこを食べるという設定で「おしっこ食べてくれるから安心だよ」と説得しているらしく、私より創意工夫に満ちている。

だが娘には響かない。

うとうとしだす娘に、「パパとママはむこうの部屋に寝に行くよ、おいでよ」というと「いやだぁぁあああああ!!!」と大泣きで覚醒する。そしてまた、説得のターン。

「全然こわくないよ」
「みんな寝てるのに、たんまんはどうしてこんな時間に便器に座ってるんだろう?(心の底からの疑問)」
「おしっこしちゃってもいいや、って思うだけでとっても楽だよ」
「おしっこ怖いって思うのって、もしかして損なんじゃない?」
「怖い気持ち、ママも分かるけど、怖いって思うから怖いのよ。怖くないって言ってみたら怖くないかもよ」
「そうそう。怖いか怖くないかは、たんまんが決めるもんやで」

なんだか哲学的な話になってきた。
ふと私が、「ママも怖い怖いって言ってたら、なんかこわぁあぁい!怖い気がするー!怖い怖い!」と言うと、急に娘が真顔になった。

「ママもこわいって!」
べそべそではなく、昼間のハキハキした話しかたでパパに報告した。

ん…?
これなのか…?

「こわぁ〜い。おしっここわいよぉぉぉぉ〜。こわいぃぃ」
しめたとばかりに、エンエンと泣き真似をする私、32歳。

「ママ怖いんやって」と夫。
「パパはこわくない!?」と確認する娘。
「うん、パパは怖くないよ」
「たんまんもこわくない!」

…えっ

「ママは怖い! たんまんも怖いよねえ〜〜〜ママと一緒だよねえ〜〜〜」
「いっしょちがう!たんまんはこわくない!パパとたんまんがいっしょ!ママだけこわい!」

えっ…

べそべそと怖がる私を見て、冷静になった顔の娘。急に、「こんなやつと一緒やない」「自分はこの人より大人なんで」みたいな雰囲気を醸してくる。

なにこれもしかして、自分より怖がってる人がいたら冷静になれるやつ? 「怖い」をママが引き受けたら自分は大丈夫になるやつ?それとも単にママと一緒が嫌すぎるだけ?

いずれにせよこのチャンスはものにしたい。そこから私と夫は、小一時間この演技をし続けた。

「こわいこわい〜ママオムツ履きたくない〜〜!」
「パパ怖くないからオムツ履ける〜!たんまんは?」
「…こわくない」

「ママこわい〜おしっここわいからお布団いきたくない〜!」
「パパ怖くないからお布団いこーっと!たんまんは?」
「こわくない…」

「こわいよ〜、おしっこ怖いからお布団ゴロンしない〜!」
「パパ怖くないからゴロンしよ〜!たんまんは?」
「こわくない!」

「寝たくない〜ママおしっこ怖いから寝たくないよ〜!」
「パパはおしっこ漏れてもいいや〜寝よ〜!たんまんは?」
「…こわくない…」

と、娘自身に「ママは怖がってるけどたんまんは怖くない」と言わせることで、なんとか就寝状態にまでこぎつけた。夫はこっそり「損な役回りを…ごめんね…」と私に言い、何故か胸を痛めていた。なんでやねん。

そして、家族揃っていつの間にか寝落ちていた。



それが、今日ここまでの経過。

昨晩はまさかの解決手段を見つけたのが、だからといって今晩もその手法が通じるとは限らない。前回大丈夫だったことが次はだめ、なんてことがしょっちゅう起こるのが育児だ。

さて、今晩はどうなるのだろう。
どうなるのぉぉぉぉ〜〜〜〜!!!!
(はやくいつも通りゆっくり寝たい)


(ひとまず終わり)


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