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冬の道東は鉄道で旅をしよう!まじでいいから!!!!

2021年11月。友人たちと渋谷に集まり、ガチャガチャを引いた。

何を引いたのかというと、Peachの旅くじだ。

【Peach旅くじとは】
一時期Twitterでバズっていた、特定の空港への便に使えるPeachポイントをもらえるガチャガチャのこと。5000円で、一番遠くて石垣島や女満別空港まで行ける。行先を選べない旅をしよう!という、企画だ。
ちなみに引いた行先の航空チケットがもらえるわけではなく、あくまで6000円分のポイントがもらえるだけなので、もし差額が発生した場合は自分で支払う。そのためそんなにお得ではない。

もともと旅とか登山が好きな人たちが集まっていたので、誰かが一緒に引こうぜ!と言えば、みんなノリノリで手を挙げた。

しかし、冷静になってみると面白い。だって、一緒に引いたとしてもかなりの高確率で同じ空港は引けない。

それぞれで別の行先になるガチャガチャを一緒に引きに行く。引いたらそれぞれの目的地へ散っていく。みんな別々の旅に行くことになるのに一緒に引くのはなかなか狂っていて好きだ。

ちなみに実際目的地はバラバラで、石垣島・那覇・大分・女満別だった。私だけ北の果てすぎる。

そんなPeach旅くじで引いた目的地、女満別への旅の話をする。

【1日目】誰もいないApt.4を彷徨う

旅の当日。女満別を引いたとわかった瞬間から、せっかくなら真冬に北海道へ行こうと決めていた。2/11、成田空港に降り立った。

あんまり一人で飛行機を利用する旅はしないので、かなりワクワクしていた。飛行機なんて高いイメージしかなくて滅多に使わないので、そういう意味でもよい機会だったかもしれない。

ところで、成田空港は遠すぎる。私が住んでいる神奈川県からは、普通列車で向かうと成田ー女満別間よりも時間がかかる。

なんだかんだで無事Peachに乗り込み、女満別空港へ到着した。

到着直前、上から見えた屈斜路湖が美しすぎる
歓迎してくれた

女満別空港からは一番最寄り?の街である網走までバスで向かった。2日目までは網走に滞在する予定だ。

東横インにチェックインし、休憩もほどほどに夕方の網走を散歩する。このころはまだまだコロナ自粛の影響を受けており、夕方以降の網走の街は人通りはあまりなかった。

積もった雪が凍結していて滑りそうになるのに気を付けながら、暗くなった商店街を歩く。

目的としては食事処探しだったんだけど、まあ開いているお店がない。

Googleマップを見て狙っていたお店は3件ほど当たってようやく居酒屋に落ち着けた。昼間はお蕎麦屋さんタイプの居酒屋のようで料理も大変おいしく、網走のことも聞けたりして大変良かった。くそさみーです、って言ったら、まだあったかいほうだよ~って言われた。

1日目はとにかく雪積る彩度高めの夜のApt.4が良すぎて記憶に強く残っている。

【2日目】流氷は見れないけど蝋人形にはびっくりするし知床連山はかっこよすぎる

2日目。この日は網走周辺を堪能する。

まずは冬の網走といえばということで、流氷が見れるツアークルーズへ出かけた。

流氷観光船「おーろら」は、流氷を船の重さで砕きながら突き進んでいく観光砕氷船だ。ちなみに紋別のガリンコ号は氷を砕くドリルが船についてる。砕氷船にもいろいろある。

流氷ツアーで実際に流氷が見れるかどうかは運しだいである。中国とロシアの間の川からオホーツク海に流れ込む淡水が氷結したものが網走で見られる流氷らしいのだが、網走の沿岸まで流れ着いてきてくれるのかはその時にならないとわからないのだ。

流氷の有無は当日、出航前のロビーで確認する。

予約していたのは11時の回

外した。

流氷に遭遇できる確率は大体70%くらいらしく、私はわりかし運が悪い方だったっぽい。つらい。時間帯とかもありそう。一つ前の便は流氷を見れたようだ。

館内から勝ち組(一つ前の流氷見れた組)が帰ってきたのを見る

流氷がないと、普通の観光クルーズにプランが変更され、料金が300円引きになる。私はその300円で肉まんを買ったので、その肉まんが実質流氷ということになると思う。

流氷無いの残念過ぎる~~と思いながら乗船。船にはお情けの流氷(実物)がドンッと置いてあった。氷だな…と思った。

流氷がなければ言ってしまえば普通の観光クルーズなのだが、その日は一味違った。

無風だったおかげか、オホーツク海がまるで鏡面の湖のようになっていたのだ。

船が立てるうねるような波以外は全く波立っておらず、雲もくっきりと映る冷たい青のオホーツク海は今まで見たどの海とも違うもので、素晴らしかった。

波が静かすぎて船が立てるうねりが美しく浮かび上がっていた。
表面が軽く凍っているところも。

流氷がなくともかなり満足度の高かったオホーツク海クルーズから帰るとお次は網走監獄へ向かう。網走観光の定番どころ。

網走監獄までは少し距離があるので、バスで向かう。でっけー網走湖の横を走ってほどなくして網走監獄に到着した。力強い門と、リアルすぎる蝋人形が迎えてくれる。

右にいらっしゃるのは人形さん

網走監獄は、博物館としていろんな建造物や展示物がある施設なのだけれど、私はかなり魅力的な博物館だなと感じた。

生きているのだ。

建造物も歴史を感じられるようになっているのはもちろん、各地においてある当時の囚人たちや看守を再現した蝋人形のクオリティが高すぎて、そこに"生"を感じる。

油断すると蝋人形と目が合って少しびっくりしてしまうくらいにはリアルだ。

冬に訪れたのもよかった。監獄の冷たさを、たっぷり降り積もる白い雪とともに実感することができた。

たっぷり時間をかけて巡っていたら、1.5時間くらいで出る予定が余裕で2時間くらいいた。正直もっと見たいが、今日は行きたい場所がまだあった。後ろ髪をひかれながらも、網走へ戻るバスへ乗車した。

最後に行きたい場所は、JR釧網本線の北浜駅だ。オホーツク海をすぐそこにみるロケーションの良い駅として有名で、絶対行きたい、行くとしたら夕方に行きたいと強く思っていたので、2日目の夕方に行くことにしていた。

夕方の網走駅の雰囲気も最高
っぱ旅といえばワンマン

釧網本線に乗り込んで、ほどなくして北浜駅に到着した。ホームに降り立つとオホーツク海と知床連山を望む開放感ある景色に息を飲んだ。気持ち良すぎる。

北浜駅が有名なのはそのロケーションの良さだけではない。小さな木造の駅舎も有名だ。

ホームから木造の駅舎へ入ると何が有名なのが一目でわかるだろう。

素でうわ.…って言っちゃった

壁から天井まで、びっしりと誰のかもわからない名刺がびっしりと張り巡らされているのだ。恐ろしいまでに。

もともと旅の聖地として有名っぽく、みんなここを訪れて自分の名刺を貼っていったらしい(国鉄時代から?)。

夕方に訪れると、オレンジな空気で暖かく駅舎が満たされ、幸せな気持ちになれる。おすすめ。

まだまだおいしい北浜駅。もともと駅舎だった場所で喫茶店が営業している。

店内の座席ではもともと列車の座席に使われていた椅子が配置されており、大変エモーショナルな気分を得て、さらにはホームに面しているので、ときよりやってくる列車を眺めながらコーヒーをいただける。最高である。この時間のためにひとり旅をしているといっても過言ではないかもしれない。

釧網本線はあまり電車の本数がないため、一度観光のために駅で下車すると次の電車までどうやって時間をつぶそうかが問題になりがちだが、北浜駅は小さいながらも駅の中だけでたっぷり2,3時間は楽しみたい。そんな駅だった。

2日目にやりたかったことはこれでおしまい。あたりはすっかり暗くなってしまった。この日の夕飯は網走ビール館での焼肉だった。オーダーミスで3人分の高級セットが届いて頑張って食べたり、店員さんの口車に乗せられて雪ミクコラボのフードを買ったりした。お腹いっぱいすぎる。

3200円のセットを頼んだのに、7000円のセットが来た。
怖すぎる。
かわいいね

【3日目】釧網本線、乗りすぎた

まだお腹いっぱい。まだ外が明るくなり始めるくらいの早朝、2泊お世話になった東横インを出発した。ちなみに自粛の影響だったか、キャンペーンをしていたか忘れたが2泊で7,000円だった。ありがたすぎた。

今日は釧網本線を使って道東を南下していく。早朝のローカル線からしか得られない栄養素はある。

最初の目的地は摩周湖。摩周湖までバスで向かうべく、摩周駅で下車する。摩周駅には摩周駅と川湯温泉駅の駅スタンプが設置されていて、うれしい。

バスの時間まで少しあったので、近くにあった喫茶店にてナポリタンを食べた。朝ごはんなのかお昼ご飯なのかはわからない。

バスで摩周湖へ向かった。数人同様に摩周湖へ向かうようだ。この数人のためにバスを動かしてくれてありがとうすぎる。

摩周湖周辺は摩周湖とその観光センター以外なにもないので、乗ってきたバスが駅に帰るまでのインターバルの間で摩周湖を楽しむ。

霧で有名な湖だけど、私のときはめっちゃ湖面まできれいに見えた。これが見えたら婚期がどうのという言説があった気がするけど、気にしないことにしよう。

わーい、きれいにみえた

雪山のど真ん中で置いて行かれないように、しっかりと帰りのバスに乗車して摩周駅まで帰る。再び釧網本線に乗り込む。今度は一気に南下して、釧路湿原駅まで向かう。

乗車時間は1時間ほどと長いのでボックス席に座って景色を眺めていると、隣のおじいさんが話しかけてきた。なんでも、この先の茅沼駅ではタンチョウが良く見られるらしい。そういえばタンチョウはノーマークで全然調べていなかったので、良いことを聞けた。ということで茅沼駅を通り過ぎるタイミングでデッキまで出てみた。(軽率に下車してしまうと計画がすべて崩れるのでやらない)

めっちゃいた。

昔から茅沼駅の駅長さんが餌を与えていたことにより、タンチョウに餌場として認識された。動物たちもちゃんと場所を覚えていてえらい。
(茅沼駅が無人駅となった今は、地元の人が時折餌を与え続けているらしい)

おじいさんにお礼を言いつつ、釧路湿原駅で私が降りてお別れした。地方を旅しているとたまーに旅行好きな老夫婦とかおじいさんに出会うけど、年をとってもあんな風に気ままに旅したいなと思うね。

釧路湿原駅は、釧路湿原を一望できる細岡展望台まで歩いて向える最寄り駅だ。ログハウス風の駅舎がかわいいが、その周辺は何もなく、ほぼ山のど真ん中といった感じである。実際徒歩10分くらいにある細岡ビジターズラウンジと細岡展望台以外には何もない、割と秘境駅寄りの駅だ。

しっかり降り積もった雪を踏みしめながらまずは細岡展望台まで向かった。

細岡展望台からは、手つかずで広大な釧路湿原を一望することができる。美しく迂回した釧路川もきれいに見ることができ、釧路湿原のおいしいところをしっかりと眺められる良い展望台。

展望台からちょっと上ると東屋もあったりする。展望台ほど見晴らしは良くないけど、落ち着けてよかった。寒いのにしばらくここにいた。東屋すき。

すっかり身体が冷えてしまったので、次の列車が来るまで細岡ビジターズラウンジで休ませてもらうことにする。釧路湿原駅は停車する列車も少ないので、寒い冬はビジターズラウンジの存在がとってもありがたい。

ビジターズラウンジでは、釧路湿原のスタンプやソフトクリーム、グッズや釧路湿原の解説展示があったりする。JRの北の大地の入場券の釧路湿原駅もこちらで購入が可能だ。

【北の大地の入場券とは】
JR北海道が発行している、JR北海道の路線が30万分の1の地図でデザインされている入場券。旅情あふれる感じでうれしい。
このnoteを書くために調べたら2024年10月31日で販売が終了されることを知った。まじか。

釧路湿原駅を後にして向かうのは本日のお宿がある川湯温泉駅。地図を見てもらえばわかると思うけど、めちゃくちゃ北のほうにある。摩周駅よりも網走側にある。完全に旅程を間違えている。旅程を決める前に宿を決めちゃったので、こんなことになった。かなり釧路まで南下してきたのに、また網走方面へ戻る。

またツルを見た。今度は飛び立つ瞬間

摩周駅で先に駅スタンプを手に入れていた川湯温泉駅、ホームを降りるとでかい木彫りの熊が迎えてくれた。サケを抱える表情がなんとも言えない。

川湯温泉駅にも駅舎中に旅情あふれる喫茶店がある。青色がとてもかわいいデザインだ。

摩周駅でナポリタンを食べて以来しっかりした食事は全くとっていなかったので、ここでビーフシチューをいただいた。おまけでじゃがバターもついてきてとてもうれしい。クリーミーで寒い冬に食べたい、おいしいビーフシチューだった。

3泊目、最後の宿は温泉があるホテルにした。最初の2泊は予算重視でビジネスホテルにしたので、最後くらいはいいよね、ということで…

ホテルにチェックインしたら、素泊まりなので駅前の酒屋で買った日本酒とおつまみで優勝することにした。

なぜかおちょこを現地調達した

ホテルの温泉は脱衣所も外にあるタイプの露天風呂で氷点下極寒の中すっぽんぽんになり、あっつい温泉につかった。一人だったので、これこれ~~~って言いながら浸かってた。

【4日目】地元民擬態行動をしたい

4日目は朝早くから釧路へ行くべく列車に乗り込む。この旅最後の釧網本線。

この最後の乗車体験がよかった。何がよかったって、この日が平日だったのだ。大体朝8時前くらいに釧路に到着する列車だったので、一緒に沢山の学生などが乗り込んできた。つまり私も通学するということである。

そうはならんか。

列車の本数が少ないため、学校に間に合うためには特定の便に乗るしかない。自然と一つの列車に学生が集まってくる。私の地元神奈川ではなかなかない感覚なので、貴重な体験をできて心の中でにやにやしてしまった。

しかもこの日はバレンタインデーだったので、学生たちがチョコレートの話をしていたりして、これが道東の青春~~~~!ってなった。すごいよかった。

釧路に到着。

平日の通学や出勤等が終わったであろう釧路の街は思ったよりも人が少なく、広い道路にラジオが響き渡っているのを一人聴きながら歩いていた。

たんちょう釧路空港から帰る時間にはまだ少し早いので海の方まで出てみることにした。釧路の街は色々と見どころがある。

道路を歩いているとまず気になったのは、ツルのオブジェクトの多さだ。街灯を初め、ゴミ収集車や橋の意匠など、ところどころにツルが描かれている。

あととてもいいな~とにやにやしたのは幣舞ロータリー周辺の道路。ロータリーになっている道路も結構珍しいのでうれしいのだけど、このあたりの道路はやけに曲線が美しくて、なんかわからないけど大変気に入ってしまった。

幣舞ロータリーはラウンドアバウトじゃないです!って国土交通省のツイートに、注意喚起するならわかりやすくしろ!!!というお怒りの声がたくさん届いていたので、わかりづらいんだなって思った。車では通らないようにしよう。

散歩の最後は釧路の街や太平洋を一望できる高台にある米町公園を訪れて、この旅を締めくくった。

ほかにも港文館にいったり、ローカルカレーチェーンの『インデアン』でお昼を食べたり、知らない街をひたすらに歩いた。知らない街をひたすらのんびり歩く旅、ずっとしてたい~~~

そんなこんなでたんちょう釧路空港へ向かうバスの時間がやってきたので、釧路の街も後にした。


Peachの旅くじを引いたところから始まったこの冬の道東旅。せっかくならめちゃくちゃ寒い時期に行こうと軽率に決めた旅だったけれど、終わってみるととても良いものだった。

この旅行記ではあたかも最初から釧網本線で旅しよう~!と思って出発したように見えるけど、実は主な旅程は1日目のホテルで考えてました。最初はバスで回ろうかな~とか考えてたんだよね。。。鉄道にしてほんとによかったな~~~と思う。

当日に急いで計画立ててる。

行きたい場所にふらっと行って、のんびりしたかったらのんびりして、落ち着ける空間に身を置いて、静かに旅をする。こんな旅は定期的にやっていきたい。

以上で旅行記を締めます。結構長くなってしまった。最後までお読みいただきありがとうございました!

帰りもPeach

【宣伝】この旅で本を作りました!コミティア149で出します

なんで急にこんなにがっつりした旅行記を書いたか?それはもう、これを宣伝するためです。

ずっと本作ってみたいな~と言っていたのですが、コミティア149でこの旅をテーマに1冊作って出すことになりました。

写真をメインに、ちょこちょこイラストもはさみつつ、という自分がやりたいことをできた本にできたと思っています。

このnoteに載せていない写真も多数です(というか全部かも)。フルカラーで本棚に置いておいてもちょっとうれしくなるかわいい仕上がりになったかなと思うので、ご興味のある方はぜひご購入を検討ください!

コミティア当日はスペースに私もおりますので、お気軽に遊びに来てください~!

表紙

【冊子仕様】

  • タイトル:『Strolling - 冬の北海道をぶらつきたい編 - 』

  • サイズ:B5サイズ正方形(182cm×182cm)

  • カラー:フルカラー

  • ページ数:本文22ページ

  • 価格:800円

【コミティア149情報】

お品書き
  • 日程:2024年8月18日(日)11:00~16:00

  • 会場:東京ビッグサイト 東4・5・6ホール

  • サークル名:かもめの東屋

  • スペース:東5 け20a

サークルカット

【オンライン頒布情報】

Boothでのオンライン予約販売も行っています!発送はイベント終了後になりますが、ぜひこちらからもご確認ください。

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