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趣味への熱量とそのバランス

プロレスに限らず何かの対象のファンになり、今風に言うと推し?になるとします。大抵の場合ファンになった直後から、その対象への熱量が上昇していきます。さらに時間とともに上昇を続け、どこかのタイミングでその上昇が止まり停滞します。そこから熱量が徐々に下降し、人によってはその対象から離れることもあります。

プロレスに例えて言うならば、「映像で興味を持つ」→「観戦する」→「グッズを買う」→「観戦回数やグッズ購入回数増える」が上昇期。この「観戦回数やグッズ購入回数」が上げ止まりになるのが停滞期で、ピーク時から徐々に回数が減るのが下降期です。程度の違いこそあれ、これはどんな人でも発生することでしょう。もちろん下降期から離脱に至る人もいます。

離脱といっても完全な離脱ではなく「会場には行かないけど、ビッグマッチの映像配信は視聴する」「試合は見ないけど流れはネットで追いかける」というケースもあります。個人的には「離脱」もこの辺りまでで留まってくれると良いなあと思ってます。


プロレスというジャンルは長く見れば見るほど面白さが深まります。ノアで言えば三沢光晴→丸藤正道→潮崎豪→清宮海斗というエースの系譜。グレート・カブキ→小川良成→清宮海斗という技術の系譜。もちろんこうした数十年単位の話だけではありません。YO-HEYとHAYATAやマサ北宮と稲村愛輝といった「嘗てのタッグパートナーが袂を分かち対戦する」という流れもありますね。


様々な因縁というピースが、あるときパズルのようにガッチリハマる。プロレスを長く見ていると、そうした場面に出くわすことが増えます。もちろん他のジャンルも似たようなことはあります。しかしプロレスは他の競技と異なり、選手寿命が長いです。なのでこうした大河ロマン的な要素は他のジャンルよりも強いと思います。それこそプロレスならではの醍醐味ですね。


なので一度プロレスに興味を持った人には長く愛してほしいと思います。先程の話で言えば、常に上昇期である必要はありません。100の熱量を継続することは難しいでしょう。常に100の熱量を維持しょうとすれば、「金銭面」「人間関係面」「仕事面」「学業面」といった社会生活に影響が出ます。また他の人の熱量や過去の自分の熱量を比較し、自己卑下するということもありえます。「自分の100の熱量」と「他人の100の熱量」は異なるのにそれを比較して落ち込んでしまうんですね。


さらに現代プロレスの特異性(他のエンタメとも近いところ)として「ファンと選手の距離が近い」という面が、マイナスに繋がることもあります。距離が近いために「私が〜を支えないと!」となったり「あんなに〜したのに!言うことを聞いてくれない!裏切られた!」となったり。針が左右いずれかに振り切ってしまうのですね。コロナ禍だと「私が支えなければ!」となる人もいるでしょうね。


あくまでも個人的な意見ですが、「ファンのために選手がいる」と同時に「ファンのために選手がいるわけではない」という両方の視点を持つことも必要だと思います。「応援するのは自分が楽しいから」「その結果として選手のためになればいい」。そのくらいの気持ちでいいんじゃないかと私は考えてます。もちろん「頑張って支えないと団体が潰れる!」という意見も正解です。しかしファン一人が針を振り切って支えないと潰れるというのは正直どうかと思います。また自分にそんなに力があると錯覚してはいけません。


諸々状況は異なりますが、一人が無理して支えるよりも、多く人が少しずつ支える方が健全だと思います。先程の「プロレスは長く見てると面白い」に繋がりますが、100の熱量を維持しようとして心身のバランス崩し、プロレスファンから離れるのは勿体ないです。もしあなたがバランスを崩しそうなら、積極的休養をとってみてください。「来月は会場行かないぞ!」でも「ちょっと本でも多く読むか」でも良いです。元々100の熱量をかけていたあなたです。熱量ゲージが回復すれば自然とプロレスに戻ってくるでしょう。


新しくプロレスファンになった人は「自分の熱量バランスを考えて」「細く長く」、プロレスを愛してください。


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