プロレスリングノアのジュニアの話〜変化と一貫性〜

プロレスにおいて「変わること」と「変わらないこと」。この2つの価値観を比較したとき、なんとなくですが「変わらないこと」がより評価されているように私は感じます。明確は根拠はありませんが試合スタイルを短期間で変えたり、ユニット間を短期間で出入りすることは良い印象を持たれないのではないでしょうか?逆に「変わらないこと」は「愚直にスタイルを変えない」「伝統の技を継承している」という意味合いで評価されやすい気がします。

プロレスリングノアのジュニアヘビー級選手はユニット間を出入りするケースが多いです。今年に入ってから金剛から覇王と亜烈波が正規軍へ。ペロスデルマール・デ・ハポンからYO-HEYが正規軍へ。一方正規軍からは大原はじめが金剛へ。去年まで遡れば更にユニット間の選手の出入りが激しいです。こうした流れについては、必ずしも肯定的に捉えられないこともあります。もちろん個人的には「ガッツリ展開を追いかけられないので流れが早すぎるとついていけない」という気持ちも…。正直なくはないです。ただそれ以上に最初に書いた「変わること<変わらないこと」という価値観で、こうした展開がネガティブに捉えられているかもしれません。しかし少し視点を変えてみると「変わること」は決して悪いことではありません。

そもそも「なぜ選手は(人は)変わろうとするのか?」それは現状を変えたい、もっと成長したいというモチベーションからではないでしょうか?もっと上にいきたい。強くなりたい。先程記したユニットを出た選手も少なからずこうした気持ちがあるのではないでしょうか?もちろん感情的なしこりからのユニット移動という部分もあったかもしれません。そもそも追放に近い形でユニットを出た選手もいます。しかし現状を変えたい、もっとタイトル戦線に絡みたいという動機もあったはずです。変わらずにいることでチャンスを逃すのか?それともリスクを負って変わることでチャンスを掴むのか?その選択の正解は誰にもわかりません。誰だって変わることは怖い。変わらずにいられれば楽。変わることで結果が出ないなんて耐えられない。

しかし「人が変わろうとしてもがく姿」はカッコ悪くなんてないです。前を向いて歯を食いしばる姿は尊いし、そこに人は魅せられます。なぜなら人は本能的に変わることの辛さを理解しているから。変わった直後に結果が出ないもどかしさを知っているから。だからこそ変化に挑む姿は多くの人を引き寄せるのでしょう。

変化を恐れず。泥に塗れることもいとわない。そんな姿勢は一貫性と同じくらい尊いと思います。そして変わらないと見られている側も、その速度が異なるだけで変化はしています。全く変わらないで生存できるほどプロレス界は楽な世界ではないでしょう。4.29にプロレスリングノアは両国国技館でジュニアヘビー選手のみが出場する大会を開催します。

これはまさしく変化の一つの成果でしょう。変わることを恐れていたらこうした挑戦はできなかったはずです。プロレスリングノアの、特にジュニアヘビーの持つ変化を恐れぬ姿勢。そうした部分をぜひ4.29で見届けたいと思います。


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