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全日本プロレスの持つ魅力〜生活の邪魔をしない適度な距離〜

先日約1年ぶりに全日本プロレス新木場大会(7.29)に行ってきました。全日本プロレスTVではチェックしていたのですが、中々都合がつかない日々が続き前回の観戦から1年が経過。おおよそ20年ぶりに開催される日本武道館大会。その前にジェイク・リーがVM諏訪魔に初防衛戦で三冠ベルトを奪われるなど先の読めない展開が続く全日本。そんな全日本の今を見たくなったのが観戦の動機でした。

このときまでは余裕かましてた私。しかし直後に職場から電話がかかるという…

試合結果はこちらから

当初は稔&歳三VS大森隆男&井上凌のアジアタッグ戦が予定されていましたが、感染症の影響で急遽延期。私も期待していたカードだったので残念ではありました。しかし全試合観戦したあとに。そうした残念な気持ちはなく。とてもおもしろかった!という感想しかありませんでした。

私がこの日に感じた全日本の面白さ。それは「適度な重さ」であり「生活の邪魔をしない心地よさ」でした。

18時30分試合開始で全6試合。全試合終了して会場を出たのが20時45分頃。途中に休憩時間があったので実質2時間程度の大会でした。2時間といえば映画を1本見るくらいの時間です。この程度であれば終了後にどこかで食事をして帰宅することもできます。これは平日で仕事終わりであっても負担の少ない観戦時間だと言えるでしょう。

もちろん大会全体の時間が短いだけでは「せっかくチケット買ったのになんだか淡白だな」といった印象を観客に与えてしまいます。ではそれぞれの試合はどうだったのか?結論から言えば「重すぎない面白さ」がそこにありました。

特徴的なのは「どの試合も観客を必ずリラックスさせる面がある」という部分です。アンダーカードでいわゆる「観客を笑わせる試合」が組まれることはありますが、この日はどの試合でもそうした部分がありました。セミでの諏訪魔とレフェリー和田京平とのやりとり。メインでも宮原健斗と野村卓矢とのやりとりなど。シリアスな攻防だけを見せるのではなく、一旦観客をリラックスさせることで試合のテンポをコントロールする。そうした緩急をつけた試合をどの選手も行っているというのが私の感想です。試合に緩急があることで重さを和らげさせ。そして観戦後には爽快感のみが観客残る。これが私の感じた「重すぎない面白さ」です。

もちろんシリアスを追求した試合にはドッシリとした面白さもあります。しかし緩急がなければ観客は常にリング上を凝視し(場合によっては心のなかで正座して)、観戦することになります。高い満足感は得られても同時に疲労感も同じくらい発生します。重さは諸刃の剣であり扱いを誤ると己を傷つける。そこについて改めて考えさせられました。逆にメインのカードに緩さしかなければ。それはそれで「なんか違う」という印象を観客に与えかねないです。そのあたりのバランスを全選手が上手くコントロールできている。そしてスーパーエースである宮原健斗が頂点に君臨する。だからこそ全日本は絶妙な重さを築いているのでしょう。

今日は負けたからおとなしく退場かと思いきや…

趣味に何をどの程度まで求めるのか?それは人によって様々でしょう。「趣味なのだからガッツリと重さに浸りたい」「仕事に差し障りがあるのは嫌だ」。いろいろな分野をつまみ食い的に触れたい私のような人だと、全日本のもつ「生活の邪魔をしない重さ」は心地よい。そんな風に感じた新木場の夏でした。


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