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ボロ布日記 vol.2 No.6-17

めっきり涼しくなってきた。秋の夜長のボロ布日記。ジョアン・ジルベルトのin Tokyoを聴きながら書く。


No.6 Royal Navy Combat Trousers (前期モデル)

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 Royal Navy、直訳すれば、イギリス王立海軍。王立海軍と言うからには、非王立海軍があるのかと思うが、そんなものはない。もともとイギリスは王室が唾を付けた海賊に私拿捕船としてやりたい放題やらせていたのが始まり。エリザベス一世とドレイクの関係は世界史の教科書にも出てくる。ヤカラだか軍隊だかわからなくなっていたところにハクをつけるため、Royalの冠をかぶせたというのが実情だろうと推測する。
 こちらの品は90年~00年代のもの。前期モデルと後期モデルが存在して、こちらは前期モデル。斜めについたポケットが特徴の後期モデルが最近人気だが、私の推しは前期モデル。理由は太いとみせかけて太すぎない前期モデルのデザインのほうが心地よいから。難燃加工が施された生地の質感も前期後期で微妙に違う。繊維の段階で難燃加工をするのが普通だが、こちらは生地に吹き付けで難燃加工を施すことによって、絶妙な光沢と気持ち良い柔らかさが両立している。生地が唯一無二の気持ちよさでほんとに好き。意外と薄手で着用季節は春〜秋という感じ。購入時は3000円くらいだったが、後期モデルの人気に引っ張られて値上がり気味。

No.7 イギリス軍トレーニングパンツ

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こちらはBritish armyのトレーニングパンツ。いわゆるスウェットだが、生地にハリがあるのとトレーニングパンツなのにセンタークリースが縫い込まれていて、ギリパジャマにならないのが良い。内側にジーンズのスレキのような綿の生地で裏布が貼ってある。これのおかげですこぶる温かい。3000円くらいで普通に手に入るし、パジャマにしても一生履ける。

No.8 U.S. B-9B HAT (左)
No.9 チェコ軍 ボアキャップ(右)

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 どちらも年代不明。アメリカ軍の方は、真冬のロシア出張が入ったときに、耳あて付きの帽子がないと耳がもげるぞと脅されて事前に中田商店で買ったもの。なかなか良かったので、もっと温かいやつをと、チェコ軍を購入。こいつらのおかげで頭は良かったのだが、冬のロシアは靴を履いていても、足の裏が凍てつく寒さ。指がもげそうなほど冷たくなり、外ではまともに立っていられず常に足踏みをしていたら、現場のおっさんにションベン小僧というあだ名をつけられた。大げさと言われようが、コスプレと言われようが日本の街でも普通にかぶる。なぜならヌクいから。耳あて付きの帽子の暖かさを知ると、アクリルニットのキャップとか、工事現場でどん兵衛の空カップを被っているかのように感じる。

No.10 アメリカ軍コットンロングスリーブサーマルシャツ

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 10年以上前からこのTシャツの生地を心の底から愛している。ハニカム構造が蒸れずに暖かくて最高に心地よい。冬は毎日これだけ着ていたい。汗をかいてもベタつかないので、冬の東南アジアとか温度調節がよくわからない国をブラっと旅行するときも基本的にこれをベースにしている。欠点は洗濯すると縦にガンガン縮むこと。何枚も着潰して最終的にXLが適正サイズだという結論を出し、売っているのを見かけたら何も考えずに即買っている。アナトミカのレプリカなど新品を買おうとすると1万円以上する。が、古着も球数がどんどん減っていて、10年前からガンガン高騰中。そろそろ新品の方が安くなってくるんじゃないかな。実は、もう1枚持っているがどこか奥にいってしまって出てこない。

No.11 イタリア軍ホスピタルジャケット

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 最近買った。こんな薄い羽織物使えるのかなと思って買ったが、意外と使える。夏場、室内や機内がクーラー効きすぎて寒いときなどに最適。カバーオール風だが、襟もついていて一応ジャケットの体裁なのでまあまあちゃんとして見えるし、色も合わせやすい。ポリ混コットンなので、濡れてもすぐ乾くため、梅雨時多少雨に降られても快適。袖の合わせが適当なのか計算されているのかわからないよじれた変なパターンになっているところや、後ろになんの意味があるのかわからないバックベルトが縫い込まれているところもイタリア的で気に入っている。

No.12 スウェーデン軍スリーピングシャツ

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 本当に暑い時はゆったり目の長袖の服を着て日差しから肌を守りながら、肌と服の間の日陰空間をたっぷりつくり、そこに風を流すのが良いというTipsは平気で連日40°以上になる南国に住んでいて気づいたことのうちの一つ。こちらは60年代のもので結構古い。裏地が起毛しているコットン生地なので色んなシーズンいける。緑色が最近人気だが、私が持っているのはくすんだ空色。おじさんになってもおじさんらしく着れそうな色。京都のシービーズで格安だった。

No.13 アメリカ軍 BDUパンツ(レプリカ)

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 レプリカもいくつか。BDUパンツのレプリカ、安かったのでどんなもんかと思って買ってみたが、リップストップナイロンはすぐに乾くし、ガシガシ履けて重宝する。M65みたいなアタッチメントが腰についているので、ウェスト調節もベルトいらずで楽ちん。長期で流浪するときに一本だけ持っていくならこれでしょう。
 BDUとは「バトル・ドレス・ユニット」の略。「最後のユニットいるか?」と思ったが、バルトロメウ・ディアス、ガダルカナル・タカ、グミ・チョコレート・パイン、バドル・ドレス・ユニット、これらの単語は三位一体の語感で効果を発揮する。

No.14 アメリカ軍 ECWCS Level 3 レプリカ

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 本物はそこそこな値段する上に、Sサイズの黒は全くタマが出てこないので、レプリカを買った。ポーラーテックのフリース生地は本当に素晴らしい。だったら同じくポーラーテックが卸しているパタゴニアでもいいのではという意見があるかもしれない。しかし、これみよがしにパタゴニアのロゴが胸に入っているのがなんとなく嫌なのである。
 さて、最近のカジュアルウェアではアウターの定番となっているフリースとダウンだが、本来はインナーの生地で自分の体温を保温するためのもの。この上から雨風を避けるガードを羽織るのが本来の力が発揮される使い方である。それを前提としてフリースvsダウン論争がたまに起こる。私はフリース派。なぜなら水に濡れても保温機能が持続して乾きやすくお手入れが簡単だから。アメリカ軍のECWCSシステムはミニマルで機能的で大好きなのですが、説明めんどくさいので、気になる方はググって調べてください。
 
No.15 イギリス警察のパンツ

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 ここからは軍モノから派生して公的な機関の制服モノ。現場仕事かつ人前に立つ公的機関の支給品はやはりきちんとした作りのものが多く、お買い得だったりする。こちらはイギリスの警察のパンツ。太いのに温かいので重宝している。センタークリース縫込みできちんとして見える上に、太いけど野暮ったくならないシルエットになって、とても良い。膝から下はストレートなのに履くと若干フレアになっているように見えるところが一筋縄では行かない雰囲気で気に入っている。

No.16 スペイン警察の交通整理部のフリース

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 たまたま見つけて、着心地が良く、温かいのでバックグラウンドの蘊蓄そっちのけで買った。買って家に帰ってから、背中に胸にデカデカと印字されてる文字の意味が「キ○タマ」とかだったらどうしようと急に不安になり(それはそれで着るのだが)、慌ててググったところ、これを着て交通違反切符を切っているスペイン人のおじさんの写真がたくさん出てきた。こんなイカれた色の服、いつ着るの?とか言われる。確かに当初はクラブに行くときくらいしか着なかった。が、今では慣れて普通に着ます。ちなみに同じ色合いのスウェットをもう一着持っているが、こちらは思い出話が長いのでまた別の記事で紹介予定。

No.17 UK Royal Mailのメッセンジャーバッグ

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 自転車に乗ることが増えたので、ブツがガッツリ入るメッセンジャーバッグをと思い購入。京都のシービーズで2000円くらい。名店ですね。色が良い。たくさん入る。反射板がついていて夜でも安心。ただそれだけ。昔、友だちが男二人で”Happy Male”というユニットを組んで高円寺の無善寺でライブをしていたのを思い出した。バンド名だけ聞いて爆笑した記憶がある。うちの一人は、20代の頃はカナダの倉庫でパンツの枚数を数える仕事、帰国後30代でタコ部屋に押し込められて給料代わりに米が現物で配給される超弩級ブラック企業の仕事、と人生の苦汁を一気飲みさせられていたのだが、40代に入って時給が3000円になり、四十路半ばでハッピーメールを介さずに出会った人と結婚して、一昨日子どもが生まれた。生きてりゃ良いことある。おめでとう。お子ちゃんをみんなで英才教育して差し上げますね。


 服を捨てようと思って始めた本企画、まだ釜山の小汚い店で買った韓国の郵便配達員に支給されるレインコートしか捨てていない(着ると蒸し暑くて死にそうになる)。意味あるのか。否、意味など求めてはいけない。次回以降、そろそろゲテモノや思い出の品も出てくるかもしれない。軍モノは冬物のダンボールを取り寄せればまだまだあるので、まだ続く。試験前なのになにやってんだ俺。


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