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モバイルアドフラウド(ジャンクインストール)
モバイル広告フラウドは3つのカテゴリに分類されます。ここではジャンクインストールをご説明します。また、ファントムインストールとオーガニックポーチング(本来オーガニックであるべきインストールを盗むこと)に関する記事は別途紹介します。
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モバイルアドフラウド分類学におけるジャンクインストール
多くのユーザー獲得担当者の間では、「ユーザーによってその価値は異なるが、どんなユーザーでも適正価格なら獲得する価値がある」と信じられています。この記事では、ユーザー価値曲線の最も極端なロングテール、つまり価値がゼロになるユーザーに焦点を合わせます。結局の所、使い道のない使い手(ユーザー)は、その存在自体が矛盾するのです。
優れたマーケターは、このカテゴリのフラウド排除に注力しています。インストールファームやインセンティブ広告のような、人間によってに生み出されるが無価値なフラウドインストールのカテゴリを「ジャンクインストール」と呼びます。これはファントムインストール(計測ツール上では確認できるが実際には発生していないインストール)およびオーガニックポーチング(リアルなインストールのアトリビューションが盗まれるもの)とは異なります。
ジャンクインストールのユーザーは、その性質上インストール後のエンゲージメント率が酷く低いか、エンゲージメントそのものが存在しません。モバイル広告の出稿担当者には、ジャンクインストールの兆候がないかすべてのネットワークを調査し、インセンティブ付きインストールやインストールファームからのトラフィックを調達しているチャネルはすべてシャットダウンすることをお勧めします。
この記事では、インストールファームやインセンティブ付きインストールを特定し、それに対抗する方法をご紹介します。
インストールファーム
インストールファームとは、様々なデバイスを取り揃え、作業者たちが1日中アプリのインストールを続ける作業場を指します。言うまでもなく、彼らはあなたのアプリの貴重なユーザーになることはありません。
インストールファームを見つける1つの方法は、大量のインストールを発生させている単一の地域またはIPアドレスを探すことです。この方法では、一部のベーシックなフラウド事業者を捕まえることができるかもしれないものの、より洗練されたインストールファームであれば、VPNを使用してこの情報を偽装する可能性があるため、対抗策としては十分ではありません。
本記事下部の例1で、上述のチェック方法を詳しく例示ます。
私たちが発見したより良いチェックの方法は、古いデバイスタイプが多数あるケースを探すことです。デバイスの購入は、インストールファームにとって大きな出費であるため、ファームの運営者は安価に入手できる中古デバイスをよく用います。古いデバイスタイプ、または場合によっては、皆さんの市場ではあまり見られないデバイスタイプが大量に表示される場合は、ファームからインストールを購入している可能性があります。これについては、例2で詳しく説明します。
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インセンティブインストール
インセンティブ付きのインストールは、アプリのエコシステムの中ではマイナーでニッチな手法です。倫理観の低いマーケターは、インストール数を水増しするためにインセンティブ付きインストールを利用することがよくあります。
多くのマーケターは、大抵の場合同じカテゴリーにまとめられているリワードトラフィックとインセンティブインストールに違いはあるのかと疑問に思うでしょう。リワードトラフィックとは、一般的に動画を見た見返りにアプリ内のリワード(カスタム アートワークやレベルをスキップするなど)をユーザーに与えることを指します。
インセンティブ付きインストールは、動画の視聴ではなくインストールに対してユーザーに報酬を与えるものです。このようなトラフィックはほとんどが無用かつ詐欺的であることが多いため、インセンティブインストールは一般的に減少傾向にあると考えられます。リワードトラフィックは、実際のユーザーを獲得できる可能性があるため、より一般的に用いられています。
インセンティブインストールに対抗するにはどうすればよいでしょうか?あるネットワークが他のチャネルよりもインストール後のエンゲージメント率が悪いトラフィックを多く送ってくる場合は、個別の媒体別やクリエイティブフォーマット別の追加データを提供してもらうのが良いでしょう。上記2種類の内訳レポートにおいて、CTR、CVRのいずれかが異常に高い場合は、インセンティブインストールが原因である可能性が高いことを示しています。このケースは例3で確認します。
ジャンクインストールとの戦い
残念なことに、洗練されたフラウド事業者は、デバイスの種類を偽装したり、VPNを使用したりすることで、ジャンクインストールの兆候を偽装する方法をすでに用いています。しかしながら、彼らも犯してしまう間違いが一つ存在します。ほとんどのジャンクインストールは、わざわざ時間をかけてインプレッションの情報も巧妙に偽装することまではない、ということです。
そのため、ネットワークに、掲載先個別媒体毎のデータ、およびとインプレッション単位のログデータを全てあなたが利用しているMMPに送信するように依頼しましょう。これを利用して、個々の媒体(アプリ)別のCTR/CVRデータを入手できます。異常に高いCTR/CVRが確認された媒体(アプリ)は、インストールを偽装するための通り道として利用されている可能性があります。
例1:IPアドレス
一般的に、優れた広告ネットワークではIPアドレスの均一な分布が見られます。もしあなたがIPアドレスの分布を分解して見たところ、大量のインストール少数のIPアドレスから来ている場合、何か異常があると考えられます。
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このケースでは、全インストールの1/6は単一のIPアドレスから発生していました。私たちはより詳しく調査を行い、その結果このフラウド事業者は非常に未熟なインストールファームを運営していたことが判明しました。このフラウド事業者は大量のインストールを生成することができていましたが、痕跡を消せるほど賢くはなかったので、彼らを見つけるのは簡単でした。
もちろん、本当に同じIPアドレスから多数のインストールが発生するというケースもあるかもしれません。例えば、複数のユーザーが職場や学校でIPアドレスを共有している場合、特定のIPアドレスにインストールの集積が見られるかもしれません。しかし、例えその場合でも、下のグラフ(全インストールのうち17.2%が単一のIPアドレスから発生しているケース数字)よりも、上のグラフ(インストールが集中しているIPでも、全体の0.2%から0.4%程度)の方が妥当です。
例2:OSバージョン
トラフィックのOSバージョンの確認は、簡単なジャンクインストール検出方法の1つです。
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一般的には、ユーザーの多くはオペレーティングシステムをある程度最新の状態に維持しています(グラフの青色、もちろんこれはマーケットによって差があります)。あるネットワークが古いデバイスを多く使用している場合は、フラウドの可能性が高まります。
このグラフのネットワークでは、OSのバージョンが不審な分布を見せていることに注意してください。最新のOSバージョンからのインストールは少なく、時代遅れのOS v4からのインストール(グラフの黄色)が不釣り合いに多く見られます。
フラウド事業者が中古のAndroid端末を非常に安く購入したものの、端末が古すぎるため、新しいバージョンにアップグレードすることができていないかのようです。
例3:個別媒体(アプリ)毎のCTR/CVR
インストールファームは、インプレッションの偽装までは滅多にしないことを上で述べました。一般的にインストールファームは、インストールのクレジットに繋がるインプレッションを発生させられる少数のアプリを利用します。その結果、これらの個別媒体(アプリ)のコンバージョン率は天文学的なものになりえます。
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個々の媒体(アプリ)毎のコンバージョン率を見ると、一部のアプリが特に歪な数字を見せていることが分かります。
単にこれらのアプリのトラフィックを遮断しても、インストールファームは新しい媒体(アプリ)を見つけてジャンクインストールを生成し続けるため、そのチャンネル(ネットワーク)へのトラフィックをすべて遮断するのが最善です。
例4:インストール後の指標
ジャンクインストールをチェックするもう一つの方法は、インストール後の指標を検証することです。ジャンクインストールが、本当のユーザーによるアプリの利用と同じ動きを見せることは稀です。その為エンゲージメント率やアプリ内購入率が非常に低い場合、あなたはインストールファームの犠牲者かも知れません。
一方で、フラウド事業者は非常に巧妙に進化しており、その手法は非常に深いところでマーケターを欺きます。あるケースでは、インストール課金で広告を出稿しながら、出稿先のネットワーク毎にアプリ内購入率が基準に達していることを確認するマーケターがいました。
このマーケターは、出稿先チャネルの1つが、アプリ内購入率は良好であったものの、何か奇妙な挙動を見せているのに気づきました。実は、最も安いアプリ内課金アイテムが$ 0.99である一方で、この広告主はインストールごとに$ 2.00を支払っていたため、結果的に悪質なフラウド事業者がこの価格差を利用して裁定取引を行っていたのです。
そこでこの広告主が、密かに2.00ドル未満の課金アイテムをアプリから除外してみたところ、不審なチャネル(ネットワーク)からのトラフィックはゼロになったのでした。
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