小粋にイタリアンな小酒井不木のお話



 http://www.fantascienza.com/edf/articoli/kappa-japan-pre50.html ※2020年現在リンク切れ。

 上記URLは何かというと、イタリア語で書かれた文章なのである。
 タイトルは「La fantascienza giapponese d'anteguerra un profilo storico-letterario」、筆者はLorenzo Capelliniという人。
 オンライン翻訳サービスの力を借りて無理やりタイトルの意味をとると、「戦前日本SF史」というような事らしい。何でこんなの書いているのか、実に酔狂なイタリア人だ。しかもこの人はさらに酔狂な事に、小酒井不木の「恋愛曲線」をしっかり日本古典SF作品として本文中で紹介してくれている。以下紹介文の引用。

Ren'ai kyokusen (Il grafico dell'amore, 1926), di Kozakai Fuboku e un'elaborata rilettura di un tema classico della letteratura giapponese, il doppio suicidio d'amore, in questo caso operato attraverso un complicato e grottesco meccanismo;

 翻訳サービスにかけてみた結果がこれ。

 レン 'ai kyokusen (愛、1926のグラフ)は、 Kozakai Fuboku についてこの場合複雑な、そしてグロテスクなメカニズムを通して操作される日本の文学、愛のダブル自殺、の古典の主題の精巧な rilettura である;

 狂人の日記みたいになってしまうので不肖私めが適当に単語を並べ直して意味が通るように試みたものが下記の文章。根本的に文法から間違っているかもしれないが許せ。「rilettura」は単語の意味がわからない。

 小酒井不木作「恋愛曲線」(愛についてのグラフ、1926年)は、複雑でグロテスクなメカニズムによって完全制御された「情死」――日本文学の古典的なテーマ――の精巧なriletturaである。

 それにしても何を参考文献にしたのか知らないが、「新青年」「科学画報」なんてタイトルは出てくるわ、海野十三を「サイエンスフィクションの父」として長めに紹介しているようだわ、平林初之輔の「人造人間」、城昌幸の「ヂャマイカ氏の実験」、星田三平の「せんとらる地球市建設記録」などのタイトルも見えるわで、とにかく凄いのである。どうやら小松左京で終わり(確かにここまで来ると戦前じゃないし)のようだが、ちゃんと意味が取れれば結構面白い文章なのではないだろうか。
(記 2002/2/26)

追記、

 以前ブログで記事を公開した際にコメントを頂いた。イタリアの写真家ロレンツィオ・カッペリーニ氏のことらしい。なお「rilettura」の意味も教えていただいた。「再読、読み直し」とのこと。

 最新のGoogle翻訳(伊→日)の成果はこちら。

恋愛曲仙(愛のグラフィック、1926年)。小堺不聞と、日本文学の古典的なテーマの精巧な再解釈であり、この場合、愛の二重自殺は、複雑でグロテスクなメカニズムによって動作します。

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