見出し画像

試作の目的と種類について

製品開発の最終目的は量産をしてリリースをすることですが、当然、いきなり量産しましょう売りましょうと簡単にはいきません。

量産の前には試作をする必要があります。
良い製品を作るためにはこの試作の過程を手抜きしては絶対にいけません。そして、製品にもよりますが試作が1回でうまくいくこともなかなかありません。デザインや機能に応じて試作・検証を繰り返していくことで良い製品を作り出していきます。

試作には目的に応じて大きく次の3つ段階があります。
1.その製品の機能や性能を確認・限定するための原理試作
2.市場ニーズや使いやすさを意識した外観を選定するためのデザイン試作
3.原理試作・デザイン試作の結果を踏まえ量産を意識した量産前試作
もう少しそれぞれの試作について詳しく説明します。

原理試作

その製品の機能や性能を確認・限定するための試作。あくまで機能確認の限定することが目的なので外観は全く拘る必要はありません。
例えば、人が通ったことを検知してLEDが点灯するといった装置の原理試作を製作する場合。目的は仕様を満たす基板、検知センサー、LEDなどを選定することなので、外観のケースなどはこの段階ではタッパーのようなものでも何でも構いません。

デザイン試作

『原理試作』とは全く逆で市場ニーズや使いやすさを意識した外観に主観をおいた試作。人間工学や使用環境に従ってすすめます。『原理試作』で内部構造が決まっていればそれが納まるようにデザインをします。
例えば、シャワーヘッドの様な手で持つ様な製品の場合であれば、持ち手に合わせて複数の形状を試作し最適な形状を選ぶようにします。

 量産前試作

『原理試作』『デザイン試作』の段階では量産のことを意識されずに試作されています。そのため『量産前試作』の段階で金型で量産できるように製品設計をし直しそれを試作・検証を行う必要があります。

開発環境によって原理試作デザイン試作が同時に進行したり、デザイン試作の段階で量産前試作も考慮されたりと、この順番は前後したり省略されたりする場合もありますが、基本はこの3段階の試作を通して製品が作られると思っていて間違いはありません。

試作には費用がかかります。だからといって試作の手を抜いて量産になってからトラブルがあってはまさに後の祭りとなってしまいます。
それぞれの段階で最適なデザイン・設計・製作方法で試作を進めていく。時間はかかりますし一見遠回りのようですが結果的に良い製品をリリースする一番の近道といえますね。