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2024.3月読了【傲慢と善良】

話題作を実写映画化する前に、と3月の頭から読み始めていたのでけれど、なかなか時間が取れず読むのに時間がかかってしまった。

人生で1番刺さった本、という帯ほど刺さりはしなかったけれど、台詞にぐさっと刺されたり、登場人物の解像度の高さがとにかくすごかった。

誰も悪くなかった。
結婚に踏み切れない架も、必死になる真実も。カースト上位であったであろう架の女友達も。傲慢であり、等しく善良だった。

現代の日本は、一人ひとりが自分の価値観に重きを置きすぎていて、傲慢。その一方で、善良に生きてきた人ほど、親の言いつけを守り誰かに決めてもらうことが多すぎて自分がない。傲慢さと善良さが矛盾なく同じ人の中に存在してしまう。

作中の小野里さんと言う女性の言葉が特にずさずさきた。
謙虚と自己愛は両立する。
自己肯定感が低いのに自己愛が強い人が多い。…ぎゃあって気持ち。
グロテスクとまで言えるような人間の内面の表現にはなかなかくるものがあった。

ピンとこない、といい人を選ぶ。謙遜しつつも自分の価値にこの人は見合わないと値踏みをする。自分の価値はもっと高い位置にある、それ以上の人を求める。結局選ぶんだよなあ、善良なふりをして。

真実が誰からも連絡を絶ち消えた時はどうなるんだろうと思ったけど、結末はハッピーでよかった。真実は逃げ出してしまったけれど、自立ができたんだなあ。

女友達の解像度の高さはすごかった。彼女たちが悪いわけじゃない、それでも真実にはとても怖かったんだろうな。ようやく手に入りそうな幸せも彼女たちは完全に見透かしていて、架を大事に思うからこそ一言言ったんだろうけど、、悪いわけじゃないけれどその絆が怖い時もあるなあ。と。

他の小説に出てくる登場人物も出てるみたい。できれば読んでみたい。

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