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映画『ヤッターマン』(実写)感想(2009年3月16日記述)

※この記事は、過去に個人サイトのブログに掲載していたものを転載したものです。記述内容や感想は当時のものになります。ご了承ください。


 …というわけで、映画『ヤッターマン』を観にいってきました。
(画像はアニメ版の二次創作で、単なるにぎやかしです。関係ありません)


 おおむね満足。なにより作り手が「ヤッターマンが好き」なことが十分伝わってきます。
 やっぱ愛ですよ、愛。今までの漫画・アニメ原作の映画は、原作への愛というかリスペクトが足りないですよ。
 単に有名な原作だからお金が集まりましたって感じで。

 傑作かどうかは置いておいて、少なくともデ○○○ンとか○ャ○ャー○みたいな原作レイプにはなってないと思います。

 まあ、その原作愛が裏目に出てる部分も多分にあるんですけどねw
 たとえば原作でも結構下ネタが多いんですが、実写でそれやるとけっこう生臭いといいますか。
 あと、見る側が原作好きであることを前提に作られてるので、それ以外の観客がかなり置いてきぼりだったりとか。
 そんな感じですので、逆に原作をまったく知らない&興味ない方にはオススメできません。
(この記事もそうです)


 私は生瀬勝久のボヤッキーが楽しみで、それをメインの目的で行ったので、そういう意味では大満足。

 もうあれはボヤやん以外の何物でもない。


 ドロンボー3人でのダンス&メカ作りは、あまりに原作っぽくてかわいくて最高でした。
 メカ作りをしながらリフトで登っていったりとかは、まさに「こんな映像を見たかった!」って感じで。
 今TVでやってるヤツに足りないのは、こういう部分だと思うんだけどなぁ。

 漫画・アニメ原作の映画ってことで、それなりに楽しめるくらいでも満足ってつもりで行ったのですが、それどころか十分楽しめました。
 いい感じのバカ映画に仕上がってます。
 冒頭のバトルシーンでも十分つかまれてニヤニヤしっぱなしだったんですが、そのあとの例のインチキ商売シーンからのドロンボーダンス!
 
ここは深田恭子が「照れずに」どこまでやってくれるかが鍵だと思うんですが、原作のマヌケさ・愛らしさをきっちりこなしてて笑いを超えて感動。 たっぷり2番まで踊ってくれてうれしい限りでした。

 ここを見るまでは、「今のところはいい感じだけど、後半ダレたりするかもなぁ…」と不安に思ってたのが、

「ああ、この映画は大丈夫だ!」

と確信しました。『少林サッカー』の例を出すまでもなく、バカ映画こそ、役者が大真面目にやらなと面白くないですからねぇ。
 実際最後までほとんどダレることなく最後まで見られて、大満足でした。役者もそうですが、美術や演出など、どこをとっても大真面目に(しかも巨額をかけて)バカをやってるのが感じ取れて、それだけでうれしい。
 本編追うので忙しくてなかなか細部まで見られなかったのですが、背景など美術(看板など)でかなりお遊びをしてるみたいなので、これはゼヒDVDを買って確認しようと思います。

役者といえば、前評判で聞いてましたが、これは本当にドロンジョのための映画ですねw
 まずチャーミングなドロンジョありきで、それを支えるボヤッキー・トンズラーが大活躍で、主役のはずの二人がほとんど霞んでたのが、監督の趣味というかフェチズムを感じさせられます。これはこれで正解だと思いますが。

 しかしジャニーズ主役でもそれを突き通す監督のある意味の「熱さ」には感服。
 原作にもある「特殊なプレイ」感といいますか、未熟で隙だらけな女王様とそれに喜んで従う奴隷的な感じが、実写になったこともあってよりパワーアップしてたように感じました。

 最初にドロンジョ役が深田恭子と聞いた時はかなり不安でしたが、見事にドロンジョをやり遂げてましたよ。
 上に挙げたドロンボーダンスや爆発シーンのボロボロの格好など、かなり「ヨゴレ」な役なのに、それをキチンとこなすことでむしろ「カッコイイ」とすら思いました。
 演技も高音部のかわいい声はかなり小原さんに迫ってましたので、これで低音部のいろっぽいぽいぽ~いな声が出せたら完璧なのに…というのは贅沢すぎですよね。

 あと特筆すべきことは、ドロンジョのマスクは派手な分、目に力がないと顔がマスクのイメージに埋没してしまうと思うのですが、深田の目はそのマスクの中でもキチンと自己主張してました。メイクの力もあると思いますが、すばらしい。
 ボヤッキーの生瀬勝久はもう完璧でしたw これは最初から期待通り。何も言うまい。
 意外な健闘はケンドーコバヤシ。原作が人間離れした造形だったので、それに比べてシルエットが弱い部分は仕方がないと思ってたのですが、そんなのを問題としないくらいいい味をだしてました。
 原作だとボヤッキー同様ドロンジョ様大好きだったキャラが、微妙にボヤッキー大好きなホモっぽさをかもし出してて、それがすごく存在感を出してました。セリフは少ないのに、そのひと言が妙に粘っこいといいますかw

 ヤッターマンの二人もかなり健闘してましたし満足なのですが、まあこれだけ「ドロンジョ様」映画になってるのであまり美味しい役ではなかったかもしれませんねw
 主役側、とくにお2号さんが影が薄いのは、原作どおりというかネタの一部ですしねぇw
 出来れば「勝利のポーズ」はもうちょっと思い切ってやって欲しかったかも。
 アイちゃん役の福田沙紀は十分かわいいと思うのですが、上述したようにマスクに目が負けてしまったのが残念。
 それに、寺田克也のデザイン画通りにマスクを濃い色にした方がよかったのじゃないかなぁ?薄紫なので、どうも印象がぼやけてます。
 あと、ふくよかなせいで、マスクをつけると頬のお肉がむっちりはみ出てしまってたり、あおりのアングルであごのラインが…
 など、いろいろ残念ではありました。まあ、ムチムチ好きにはたまらんでしょうけどw

 オリジナルキャラの岡本杏里は、扱いが酷すぎませんか?面白いからいいけど。
 上述の深田の「ヨゴレ」とちがって、無駄な「ヨゴレ」シーンが多すぎなような…。

 あと、やっぱり無駄にふとももなシーンが3回も出てきますが、

監督の趣味でしょうか?w


 同じくオリジナルキャラの阿部サダヲはちょっといただけなかったですね。アドリブでギャグをやってたみたいなんですが、正直そこは長過ぎていらないと思いました。ここでちょっとだれるんだ('A`)

 原作好きとしても、「アレは入れて欲しいな」「あのシーンは入るかな」という部分がかなりの確立で入ってくれてたのが
うれしい限り。
 ラストシーンの分かれ道とか、カワイソカワイソとか

 もちろん山本正之の歌は欠かせませんよね。甲本ヒロトを持ってくるところも、シリーズのファンにはたまらんです。

 逆に「うわ、こんなのもやっちゃうのか」と思ってみてたけど、考えてみたらこれ原作にある要素だってのも結構ありました。

メカ同志の恋とか。


 ドロンジョの結婚願望は原作にもありましたが、映画では特にクローズアップしてみたって感じでしたね。

 原作以外の部分でも、実写ならではのネタをふんだんに取り入れてて、それでいて他の部分から浮いてないのが○。
 実写で見るボヤッキーの「全国の女子高校生のみなしゃん」は圧巻でした。この迫力はアニメでは無理。
 あとやっぱりヤッターワンが海を渡るシーンですよね。
 原作では通過点としか描かれていなかったところですが、実際に海を渡って地球の裏側に行くとなると、そりゃあ途中で寝るだろうし、不安定な足場で苦労するだろうとか。

 一つ残念だったのは、トンズラーの夢のシーン。あそこでタイガーマスクのパロをやっちゃったら台無しでしょう…。

 とまあ、細かい部分での不満はありましたが、おおむね大満足です。
タツノコファンとしてもですが、なにより日本ではシリアスな超大作にはお金を出すでしょうが、おばか映画ではふんだんな予算で大規模な撮影&CG処理は無理だろうなぁと思ってましたので、それができたという意味でも
かなり意味がある作品だと思います。

 しかし、他の方のレビューを見てると、下ネタがひどいといい意見が目立ちますね。
原作どおりといえば原作どおりなんですが、実写だとちょっと下世話な感じがするのかもしれませんね。観客にJニーズファンも多かったろうし。
 私もヤッターワンとバージンローダーのからみの部分は、シーンの長さもあってちょっとヒキ気味でした。


 繰り返しになりますが、原作好きな方か、お金や労力をふんだんに使ったものすごくくだらない映像が見たい方にはオススメです。
 それ以外の方は、お目当ての役者さんがいない場合はオススメしません。

 お金や労力といえば、昔『少林サッカー』を観た時に、日本のアニメではもはやお約束になっている

「人が遠くまで飛んでいって、消失点できらっと星になる」

(アンパンマンなどで多用)
を実写でやられてて、「なんでこういうのを他国で先にやられちゃうかなぁ…」
と残念に思ったんですよ。

 何でこういう日本漫画・アニメ的な表現を、ある程度CGの技術が上がってきた時に真っ先にやってくれないんだろうかと。
 せっかく日本には「それをただ大真面目に実写化するだけで、ばかばかしくおもしろいコンテンツ」がたくさんあるのになぁと。

 まあでも日本ではシリアスな超大作にはお金を出すでしょうが、おばか映画ではふんだんな予算で大規模な撮影&CG処理は無理だろうなぁと思ってましたので、半ばあきらめてました。
 ですので今回それをやってくれた(前例ができた)という意味で、かなり意味がある作品だと思います。


そういや特別出演で小原乃梨子・たてかべ和也・笹川ひろし各氏の3人の姿がありましたが、八奈見さんは出てませんでしたね…。
 今やってるアニメでも、八奈見さんが乗り気じゃないという噂を聞いたのですが、これをみるとその噂も本当だったのかなぁと思います。
 まあ、かなりのご高齢の氏にしてはあの役は、テンション上げまくらなければいけないので大変なんでしょうが…。





2010年04月24日追記


 金曜ロードショー「ヤッターマン」を見たわけですよ。
劇場で見て、DVDも買ったのに、すっかりアホですねw

 改めて見て思いましたが、この映画は本当に原作リスペクト半端じゃないなぁ。実写だから最初のうちは違和感があるんですが、見てるうちに「そういえばヤッターマン(といいうかTBシリーズ)ってこういう作品だったよね」と思わせる部分がてんこ盛り。

 そうそう、ヤッターマンってこうだった。時に大人が眉をひそめるような描写もあったし、ものすごくテキトウな話もあった
 ゲストキャラが存在感がないおかざり同然なんて、日常茶飯事だった。とにかくどんな手を使ってでも笑いを取ろうとする、貪欲で下品な作品。
 最高のジャンクフードだった。

 まあ、時にテンポが悪いところまで真似しなくても…とは思いましたけどw

 それでも、ここ数年の「漫画・アニメ原作」の中で、ここまで原作への愛にあふれた実写映画はなかったんじゃないかな
 原作の知名性だけを利用したク〇映画はたくさんありましたけど。

 見方を変えれば、よくもまあここまでスポンサー・協力会社をだまくらかして、こんなカルト映画に予算をぶん取ってきたものだと感心仕切り。 
 たしか去年の春休み映画だったはずなので、おそらく昔懐かしいお父さんをからめて家族で見てもらいたい

 ファミリー映画のつもりだったんでしょうが、出来上がったのは原作ファン(しかもコア層)向けのマニアックなシロモノ。
 劇場での印象でも、子どもはあんまり喜んでませんでしたw

 原作ファンでも、たとえば劇中の「ヤッターキングの歌」がなぜ甲本ヒロトなのかなんて、甲本氏と「ボカンシリーズ」・甲本氏と山本氏の関係を知らないと、むしろ釈然としないでしょうし、寿司屋のシーンで客の中に小原乃梨子氏たてかべ和也氏がいたのは声でわかるでしょうが、笹川ひろし氏が出てるのには気付かなかったというか、笹川さんの顔すら知らないでしょうし。

 今回はTVで見ながら「ツイッター」で他の方の感想を垣間見てたんですが、

喜んでいる人とボロクソにけなしてる人が両極端

でしたが、上記の理由でそれも当然なんですよねw ものすごく狭い層向けに作られてるんですからw

あと、「金曜ロードショー」で見た気になってる方、原作ファンがけっこうニヤリなネタの部分まるごとカットになってますので、興味があるのでしたらDVDをレンタルされる事をオススメします。


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