日記

今日は、甥っ子で7歳のカケル君が遊びに来る。

さっそく着くなり

「遊びたい」

と言うので何をして遊ぼうかと聞くと、

「警備員ごっこ」

と、カケル君。

私は、承諾する。

「いいよ」

始めるに当たって、

警備員のどの部分を切り取ってごっこをやりたいのか、聞いておきたい。

「何をしたいの?警備員ごっこって」

と尋ねると、

「警棒を振りかざして悪を成敗するところ」

とのこと。

いや、警備員が持っているのは警棒ではないし、

警備員は悪を成敗する仕事でもない。

違和感を感じた以上、

これから警備員ごっこをするにあたってきちんと私たちの間でコンセンサスを取っておかなければ。

まず、警備員が持っているのが「警棒」ではないところから伝える。

「あのね、警備員が持ってる棒って、赤い光ってる棒だよね?」

「そうだね」

「あれは、警棒じゃないんだよ」

「誘導棒?」

「そうだね」

誘導棒を知っていたのは驚きだったが、

とりあえず伝わってよかった。

次は、「警備員は悪を成敗しない」という点を伝えなければ。

「警備員は、どんな仕事をしているか知ってる?」

「知ってるよ」

「悪を成敗する仕事じゃないんだよ」

「てことは、来た車を正しい道に誘導したり、怪しい侵入者が来たら素性を確認する仕事?」

「そうだね」

伝わった。

伝わったところで、改めてコンセンサスを取る。

「じゃあ、カケル君がやりたい警備員ごっこっていうのは、『誘導棒を振りかざして、来た車を正しい道に誘導したり、怪しい侵入者が来たら素性を確認する仕事』っていうことでいいかな?」

すると

「それはちょっと違う」

と、カケル君。

「どこが違うの?」

と聞くと、

「ならもっと警備員の違う部分の仕事で警備員ごっこがしたい」

とのこと。

「違う部分の仕事?」

と聞くと、

「バインダーみたいなのを持って、記入するところ」

と、カケル君。

「それなら警備員じゃなくてもできると思うけどな」

というと、カケル君は

「たしかに」

と納得する。

「やりたいならバインダーあるけど」

「いや、大丈夫」

カケル君は、あるべき警備員ごっこを模索し続ける。

私は感心した。

そしてカケル君は絞り出す。

「じゃあ、詰めるやつ」

「詰めるやつ?」

聞くと、詰所にいる状態の警備員を言いたかったようだ。

「まあ、それは警備員か」

私も納得できた。

そして詰所の警備員をモデルに、

「警備員ごっこ」をやることに。

「じゃあカケル君警備員で、私何すれば良い?」

「うーんじゃあ怪しい人で」

「おっけー」

部屋で詰所っぽいところを2人で探したところ、

トイレをそれとすることになった。

カケル君は、

「じゃあ僕詰めてるから、来て」

「おっけー」

私は、できるだけ怪しい格好をしようと思い部屋を探す。

私は試行錯誤の結果、

上裸に短パン、ハットを被った状態でうろつくことに。

詰所の前をうろうろする。

さあカケル君、警備員の出番だよ。

ちらっと中を見ると、カケル君は椅子(便器)に座ってぼーっとしている。

私は、咳払いをする。

すると、はっとこっちを見るカケル君。

カケル君は視線を逸らす。

私は困惑して

「え」

カケル君もなぜか困惑して

「え」

「カケル君、ほら、怪しい人来てるよ」

私はアピールする。

「どうすればいいんだっけ?」

と、カケル君。

「え」

「詰めてて、それでどうすればいいの?」

たしかに。

私はめんどくさくなって

「ちょっと、もう飽きてこない?」

とカケル君に提案する。

すると

「たしかに」

とカケル君。

それから、2人でそうめんを作って食べた。

作りながら、

「僕もそれやりたい」

と、カケル君も上裸に短パン姿になる。

ハットは無かったので、キャップを貸してあげた。

2人で食べたそうめんは美味しかった。

また来てくれるといい。

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