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9月14日最終日 横谷宣×宮内勝典(作家)×田中真知によるギャラリートーク開催!

ギャラリーバウハウスも夏休みを終え、横谷宣写真展「黙想録」は、あす9月3日から再開し14日までの10日間(9月8日と9日は休み)の展示を残すのみとなった。

先日、写真評論家の飯沢耕太郎氏による紹介がYahooニュースに載った。飯沢氏はこの中で「ぜひ横谷の、どこか遠い場所へと連れていかれそうに感じてしまう、深みのある写真の世界を、オリジナル・プリントと写真集の両方で味わい尽くしていただきたい」と書いている。

「どこか遠い場所へと連れていかれそうに感じてしまう」という言葉にふさわしいイベントが個展最終日、9月14日の19時から予定されている。地球の辺境や宇宙空間のような遠い場所からこの世界を見つめ続けきた作家・宮内勝典氏とのギャラリートークである。

宮内勝典氏は旅と放浪の作家だ。1960年代後半からニューヨークに長く暮らし、アジア、アフリカ、南米など60カ国以上を旅しながら、先住民やシャーマン、反政府勢力などマイノリティをとおしてアイデンティティの問題を追求する一方、NASAの宇宙飛行士や天文学者などに取材して、地球を超えたスケールから世界を見る視点を探りながら骨太の文学作品を書いてきた。

宮内氏と横谷氏との縁は15年前、2009年の最初の個展「黙想録」のときだ。昔、仕事で縁のあった宮内氏に私が個展の案内を送ったら、ふらっとギャラリーに来てくれた。その後、当時書いていたブログに感想を書いてくれた。

「いったん網膜に焼きついた外界の視覚像が、夜、眠っているとき無意識の深海からゆらゆらと再浮上してくるような像だ。……だが、いわゆる心象風景といったやわな像ではない。外界を見つめながら、内界から像を分泌してくるような勁さがある」

海亀通信 090204

ありがたかった。宮内さんは「知り合いだから」といったヌルい理由で、なにかを持ち上げるような方ではないからだ。

それから15年、写真集の出版を記念して、最近はめったに人前に出ることのない宮内氏が横谷氏と私をまじえたトークに参加してくれることになった。宮内氏と横谷氏とのあいだに共通項があるとすれば、それは2人とも放浪者だ、ということだ。

ハルビンで生まれ、母とともに引き上げてきた宮内氏は、20代なかばにアメリカへわたり職を転々としながら、そこで出会った先住民や芸術家などさまざまな人たちに導かれるように世界各地を放浪する。

アメリカからアジア、アフリカ、ときにニカラグアの反政府ゲリラたちと行動をともにしたり、ヒマラヤの僧院にこもったり、宇宙飛行士たちにインタビューしにいったり、と世界を見るためのオルタナティブなまなざしを求めて地球を歩き続けてきた。『永遠の道は曲がりくねる』(2017)や『二千億の果実』(2021)は、その集大成ともいえる作品だ。

そんな宮内氏のまなざしは横谷作品をどんなふうにとらえたのだろうか。どうなるか、まったくわからないが、わからないことが、こんなに楽しみなイベントもない。ぜひ、足を運んでほしい。参加申込はギャラリーバウハウスのホームページからメールで。


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