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渡辺省亭 花鳥画の極美

久しぶりに美術館の話でも書こうかなと思います。

ごきげんよう、もくれんです。

渡辺省亭(わたなべ せいてい)展@藝大美術館に行ってきました。

完全ノーマークの展覧会だったんですけど、お友達が誘ってくださって久しぶりに誰かと行く美術館でした。

花鳥図がめちゃくちゃ上手な江戸~大正にかけて生きた日本画家だそうで、今回はじめて知りました。

と思ったら、赤坂迎賓館の七宝焼の装飾の原画は渡辺省亭だそうです。そういえば3年くらい前に行ったことあるな。あの「花鳥の間」の装飾かぁ~!花鳥の間の装飾は近くで見ることが出来なかったのでティーセットのほうが気になってしまって「やっぱり国賓には大倉陶園でお迎えするのね。」なんて話を友達としたことしか覚えちゃいない。

余談ですが、黒柳徹子の骨壷は大倉陶園の特注品らしい。どんな骨壷か気になるし、生前に自分で骨壷用意する徹子、さすが。


さて、省亭に話を戻すと、ものすごい絵が上手い江戸っ子だった。

どれくらい絵がうまいかって言うと、ずっと見ていられるくらい素晴らしい。特に色のグラデーションが圧巻。近くでしげしげ見たくなる作品ばかりでした。これは本物見ないとわかんないやつだな~と思った。

牡丹に蝶図(渡辺省亭)

渡辺省亭『牡丹に蝶図』(部分)


展覧会に行く前は、ルドゥーテのボタニカルアートみたいなのを描いてる人なのかなと思ってたんですけど、ルドゥーテなんて目じゃない。

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ルドゥーテ『バラの一種「ロサ・ケンテフォーリア」とアネモネとクレマチス』

ルドゥーテが写実的でありながらどこか様式美を感じるのと比べると、省亭は、より自然を描いているように見える。もちろん、構図や枝ぶりは多少様式美に編集して描いてるんだろうと思うんだけど、それにしても「柳は柳らしく、松は松らしく」みたいな写実が極まってました、素人の私が言うのもなんですが。なんだろ、サッカーW杯でベッカムのプレイ見たら「うわぁ上手!!(サッカーのルール知らないけど)」っていうのと同じ感じかな。

また、七宝焼の巨匠・濤川惣助(なみかわ そうすけ)が省亭の原画をもとに七宝を色々作ってるんですが、濤川惣助の再現力も凄まじい。天才×天才ってこんなことになるんだなって思いました。

東京都美術館でやっていた、吉田博の新装画=木版画も超絶技巧だったけど(あれも原画の吉田博と摺師の天才×天才だった。)日本画家の奥深さにどんどん魅了される最近の私である。

もともと美術館は雑食で何でも見るけど、日本画は琳派や若冲みたいな派手系から入ったので(金屏風!みたいな)、掛け軸の良さに惹かれるようになったなんて齢をとったな!!!!!!!

ちなみに花の描き方の写実の素晴らしさはジブリの「かぐや姫の物語」も感動する美しさなので、おすすめです。私は生け花やってるから、多分人より花を注視する機会が多いと思うんだけど、ハッとするほど高畑監督の花への慈しみと繊細な瞳を感じる作品です。推しです。

省亭展、前期後期で展示入れ替えもあるのでもう一度行きたいな。

あ、そうそう、上野にめちゃくちゃ久しぶりに行ったんですけど、上野はいつ行っても上野だなと思いました。道ゆく人々の上野感。ソバージュのお姉さんとジャージのお兄さんのカップルとかね、渋谷では見かけないのよ。と思ったら、和服の御婦人方がいたりね。もう雑多。でもどっちも上野にふさわしい。

省亭の作品が細かい技巧の粋が詰め込まれてるからか、みんな作品の前で長居しがちだったんですが、オペラグラスを持ってきている本気の方やキャプションを全部メモる方とか鑑賞者も濃ゆかったです。

一緒に行った友達と「今日の展覧会、お客さんも覚えちゃう人多かったよねw」と帰りに話しました。

友達が「キャプション全部メモるなら図録買ってくれよ~」って言っててめっちゃ笑った。

うん、図録買ってくれよ。

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