時代小説『あきない世傳 金と銀』、またまた止まらなくなりました
時代劇も苦手、時代小説(どころか小説)も読まない私に、「江戸時代と今が地続き」なことを感じさせてくれた高田郁さんの『みをつくし料理帖』(ハルキ文庫、全10巻)。
高田さんが次に手がけたのが、『あきない世傳 金と銀』シリーズ(ハルキ文庫、全13巻)。
また読んでるの? というくらい繰り返し読んだ『みをつくし料理帖』。もうこれ以外の小説はいらないというくらいに堪能し、気持ちは完結・充足していたのですが。
この『あきない世傳 金と銀』、またしても夫が「すごい」「次、どうなるんだろう……」と言いながら読んでいたので、『みをつくし』のほとぼりが落ち着いた頃、手にとってみました。
そしたら、またも止まらな〜い。マンガを読むように、スイスイ。登場人物の顔や佇まいが浮かんでくるようなキャラクターづくり、次はどうなる? という引きも変わらず見事。
『みをつくし料理帖』は主人公・澪が、いろんな人たちと関わる中で、料理人として成長していくお話でした。
一方、『あきない世傳 金と銀』は、呉服商のお話。個人の成長から経営の話とスケールも大きくなり、関わる登場人物も増え、賑々しいです。
商売の工夫についての話には毎度感服させられます。新しい商品の企画や宣伝方法、ノベルティグッズなども登場。『みをつくし料理帖』同様、江戸時代と今が繋がっているなぁと感じさせてくれるのでした。
『みをつくし料理帖』は、主人公の料理人としての成長あり、幼なじみとの友情あり、ライバルとの戦いありで、それって言ってみれば『少年ジャンプ』の世界。恋もありで、ほんわりとした『みをつくし』を少女漫画とたとえるなら、『あきない世傳 金と銀』には青年誌的な骨太さがあります。
そんな『あきない世傳 金と銀』も、ついに今年の8月、シリーズ完結。このあと、特別編が2冊刊行予定とか。
『みをつくし料理帖』もシリーズ完結後、特別巻が1冊出ています。これはシリーズの続編とも呼びたい巻。本編では描かれていなかった話が収録されていて、本編をさらに豊かに増補してくれているようなところあり。
『あきない世傳 金と銀』の特別巻も、本編では触れられなかったあれやこれ、登場人物たちの語られなかったエピソードが展開されるのだろうと、今から楽しみ。
ようこそ。読んでくださって、ありがとうございます。