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♯6 村で本屋をやるということ


人口1600人の小さな村に本屋を作ろうと思った訳と、わたしなりの作りたい本屋さんのビジョンの話【前編】


今日はちょっと真面目な話をしようと思います。

いきなりですけど、わたしが本屋を作ろうとしている山梨県道志村の人口は1591人です。

そして今現在わたしが住んでいる東京都町田市の人口はおよそ43万人です。

もう比べるまでもなく世界がまるで違いますよね。


東京都町田市でも本屋を経営するというのはかなり難しいようで、小さい本屋さんは確かにどんどん閉店に追い込まれています。

最近も近くにあった文教堂がなくなり、駅前にあった大きな歴史ある古本屋さんも閉店しました。

人口が43万人いてもです。


もちろん本が売れないというだけではなく、他にも様々要因があると思います。家賃が高いというのはもちろんあるし、競合店が多いというのもあると思います。

道志村はその点競合店はないし、家賃もわたしの場合物件を購入しているのでありません。基本条件が全く違うので比べること自体できないのかもしれません。


でもたとえそうだったとしても、今この時代に本屋さんをやるということはとてもとても大変なことだと認識しています。


それなのにどうしてここで本屋をやりたいと思ったのかという話です。

もちろん本が好きで純粋にたくさんの人たちに本を届けたいというのが基本にあるのですが、何度も道志村に通って村の人たちとも少し交流するうちに、ここで育つ子供たちは近所の本屋という存在を知らないんだなとふと思ったことがありました。
そう思ったら猛烈にさびしくなって、それはどうしてもまずいのではと思ったのです。


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わたしは「人は本屋に行くべき」だと強く思っています。
それは実は本を読むということ以上に大切だと思うのです。
そしてそれは人生の早い時期からである方が良いのではないかとも思います。

幼少期に本屋さんに連れて行ってもらっていた子は自然に自分でも行くようになるし、本を読むということに抵抗を持たなくなるのではないかと思います。

そしてネットで本を買うことでは得られないことを本屋さんではたくさん得られると思うのです。

まず本を作る人、売る人、買う人が存在するということ。面白い本を手にするまでにたくさんの人が存在するということが、はっきりとではなくてもなんとなく意識できます。

人を介して本を手にするということは、想像以上に大切なんじゃないかと実際に本屋で働くうちに思うようになったのです。

それから知らなかった本を見つけることができます。見たこともなく想像もしなかったような本を知る喜びを体験し、世界を知ることができます。

そこからまた自分の世界を広げることができます。


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ネット書店は本当に便利で日本中どこにいてもほしい本が買えるし、重い本を家まで運ぶ手間もいりません。

図書館は図書館で絶対に必要で、開いていればいくらでもそこですごすことができ本を読むことも借りることも勉強する場所としても利用できる。そしてそれが全て無料だということもとても重要です。

それぞれ良さがあり、必要な存在です。でもそれらはみんな、近所の本屋にお小遣い握りしめて行くということとは全く違うことだと思うのです。

また都会の大きな本屋さんという存在もやはり違います。本屋なんてどこでも一緒だろうと思うかもしれませんが、子供にとって大人と一緒に車で出かける大きな本屋さんは、非日常です。

こんな本やあんな本がほしいんだと予め考えて行くでしょうし、そこで得られる経験はそれはそれでかけがえのないものだとは思いますが、あまり身近なものではないんじゃないかと思います。いやわたし大きな本屋さんも大好きなんで、否定じゃないですよ。まったく違う存在だという話ですね。

近所の気兼ねない本屋さん。友達同士でお小遣いを握りしめてワクワクしながらいく、何かのためになる本ばかりじゃなくて、雑誌や漫画やはたまた全然意味なんてないけど面白い本や、見たこともないような変な本など……いろんな本が選べる場所。

それがわたしの思う本屋さんです。


昔、子供だったころ未知の世界を覗きにいくようなワクワクとドキドキと、なぜか少しの後ろめたさと共に足を運んだ街の小さな本屋さん。

わたしも子供たちのそういう本屋さんになりたい。


経営していくためにもちろんいろんなことをやるつもりですが、店の軸は「地元の子供たちのための本屋さん」そうありたいと願っています。


それが理想です。

理想はいつでも持っておきたいと思います。

たとえその通りにはならなかったとしても、軸を持っていれば修正も調整もいつでもできるから。

じゃあ実際どんな店にしたいのかという話なのですが、ちょっと長くなってしまうのでまたその話は次回に回したいと思います。

なんだかとりとめなくなってしまったけど、伝わったかなぁ。

伝わらなかったらごめんなさい。質問、つっこみいつでもお待ちしています。次回もうちょっと具体的に書いていけたらと思います。

後編へつづくー


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