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真島朱火『星に願いが届くころ』

真島朱火さんの歌集『星に願いが届くころ』を拝読しました。
印象に残った歌を引きます。

後悔の数だけ立てたローソクを吹き消すハッピーバースデー、私

歳を取った自分を見つめるということは、積み重ねた後悔を振り返ることでもあるのかもしれません。
主体の具体的な後悔は描かれていませんが、人と関わる上での後悔なのではないかと読み取りました。
やればよかったこと、やらなければよかったこと、やりすぎてしまったこと。
後悔を見つめながら自分を祝うことができる主体は、誠実で強い方だなと思いました。


掃除機で吸った何かが分からずに今あるものを確かめてみる

掃除機で異物を吸った時の、独特の感触ってありますよね。
床に落ちていて、目に入らなくて、掃除機で吸えてしまう小さなもの。
何かを失ったはずなのに、それが何かが分からない。
家の中には必要なものしかないはずなのに、何もなくなったように感じない。
もしかしたら大したものではないのかもしれないけれど、気になって落ち着かない気持ちになる主体の行動が分かるな~と思った一首でした。


特別な何かはしない面接の日も鳥五目おにぎりを買う

面接は否応なく緊張します。
自分をふるいにかけられる状況なんてそうそうありません。
自分を奮い立たせるために、特別おいしいものを食べる人もいるでしょう。
しかし主体はいつもの鳥五目おにぎりを買います。
恐らく普段から食べている、「普通に」好きなおにぎりなのでしょう。
あえて特別なことをしないことで、「今日は特別な日ではない」と言い聞かせ、緊張しないようにしているのではないかと感じました。
平常心でいようと心がけている主体に、親近感を覚える一首でした。


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