もくめ

2020年11月から短歌を始めました。歌集の感想などを書いていく予定です。よろしくお願…

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2020年11月から短歌を始めました。歌集の感想などを書いていく予定です。よろしくお願いいたします。X→mokume_88

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  • 句集を読む(川柳)

    川柳の句集を読んだ感想を書きます。

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    歌集を読んで評を書いています。

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    色んな方々の短歌を読んで感想を書いています。

  • 句集を読む(俳句)

    俳句の句集を読んで感想を書きます。

最近の記事

湊圭俉『そら耳のつづきを』

湊圭俉さんの川柳句集『そら耳のつづきを』を拝読しました。 好きな句を引いていきます。 この人は何の話をしているのだろう? 不思議に思って見つめていると、謝られてしまった。 この人は私の知らない世界を持っているらしい。 それを、私に分かってほしいとは思わないとのこと。 でも、こうしてふいに「遠い世界」は会話の中で顔を出す。 少し疎外感を感じながら、「この世界のこと」にチューニングを合わせて話してくれる人に相槌を打った。 一か八かの乗り物。 それがエレベーターだ。 目的の階に

    • 多賀盛剛『幸せな日々』

      多賀盛剛さんの第一短歌集『幸せな日々』をよみました。 すべてひらがなでかかれている歌集です。 声にだしながらよんだのですが、関西弁のイントネーションがわからず、ネイティブ(?)の人によみきかせをしてほしいなぁとおもったりしました。 すきなうたを、ひいていきます。 あかるいほうへ、あかるいほうへ、進んでいくのはよいことにおもえます。 でも、「よるのこと」を知らないひとがいたら、こわいとおもいました。 暗さを知らないということは、うしろむきになることや、ネガティブになることを知

      • 太代祐一『噴水の文法』

        太代祐一さんの『噴水の文法』を拝読しました。 川柳を八十句まとめたものです。 好きな句を引いていきます。 初めて見た字面です。 「音色に足を引っ掛ける」! でも、フルートの音色なら引っ掛かっても良いなぁと思いました。 柔らかい感触がするのではないでしょうか。 「鳩をかきまぜる」意外性と、「やってごらん」という優しい言い方が好きです。 集まっている鳩をかきまぜたら、大きな鳩一羽になってしまったりして。 主体は星にくびれができることを知っているようです。 目をそらすのは、マ

        • 『窓辺歌会 創刊号』

          『窓辺歌会 創刊号』は、2022年にスタートした窓辺歌会に参加してきた方々が作品を寄せて、作った同人誌です(私も参加しております!)。 それぞれの連作で、印象に残った歌を引いていきます。 新月は、地球から見て、月が太陽と同じ方向にある時のことを言います。 地球から月が見えない日ですね。 「君」も「私」もそんな常識的なことは知っているようです。 しかし、知っているのに、悲しいと思ってしまう。 しかも「ずっと悲しい」と思ってしまう。 月のかすかな明るさすらも助けとなっているよう

        湊圭俉『そら耳のつづきを』

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          大野理奈子、塚田千束『ランデヴー -秋-』

          大野理奈子さん、塚田千束さんの『ランデヴー -秋-』を拝読しました。 好きな歌や、エッセイの一部分を引いていきます。 私は犬を飼ったことがないのですが、犬は愛情のかたまりのような生き物なのではという印象を持っています。 溺れてるみたいになりながら、そんなことには気づいていないみたいに、必死に走り寄って来る犬。 愛さないではいられないですよね。 前足に着目しているのが面白い視点だなぁと思いました。 好きな一首です。 上の句の言い回しにとても惹かれました。 どんな状況なんでし

          大野理奈子、塚田千束『ランデヴー -秋-』

          群蝶ミニ川柳選書

          文学フリマ札幌の川柳のブースで、「群蝶ミニ川柳選書」という小さな冊子を5冊頂きました。 それぞれ10句の川柳が載っています。 好きな川柳を引いていきます。 「バルス」は、ジブリの『天空の城ラピュタ』の滅びの呪文ですね。 全部滅びてしまえと言いたくなった時、それは主体が追い詰められた時とも言えそうですね。 一緒に言ってほしいのではなく、「一緒にいてほしい」が大事なところなのではないかな、と思いました。 行書は、漢字の書体の一つです。 楷書が一画一画をきちんと書いているのに対

          群蝶ミニ川柳選書

          短歌と占いネプリ2024秋

          短歌のネプリ「短歌と占いネプリ2024秋」を拝読しました。 はゆき咲くらさんが取りまとめており、歌人と占い師26人が参加しています(私も参加させて頂きました!)。 印象に残った歌を三首引かせて頂きます。 「シルクスイート」は、さつまいもの品種です。 焼き芋にしたときの絹のように滑らかな食感と甘さで話題になり、人気が高い品種なのだそうです。 冷蔵庫に買った覚えのないシルクスイートが入っていました。 「わたし」と「あなた」は同居しているのだと読みました。 「秋といえばさつまい

          短歌と占いネプリ2024秋

          大野理奈子『ドロニンジン』

          大野理奈子さんの『ドロニンジン』を拝読しました。 好きな歌やエッセイの一部分を引いていきます。 「こころが痛い」「こころから嬉しい」 そんな言い回しがありますが、主体はそれらを表面上のものだと思っているのではないでしょうか。 星座の図鑑をひらくのは、実際に行くことのできない場所の地図を見ているようです。 実生活には繋がらない、けれど自分を豊かにしてくれる何かをするときに、「こころ」はそのままの姿で現れるのかもしれませんね。 「好かれたくて吐いた言葉」というフレーズが印象に

          大野理奈子『ドロニンジン』

          雪舟えま『たんぽるぽる』

          雪舟えまさんの『たんぽるぽる』を拝読しました。 好きな歌を引いていきます。 この「童話」は、幼い頃から慣れ親しんでいて、話の展開も結末も知っている。 そして、表紙を見ただけで、味方が来てくれたみたいで、ほっとして涙腺が緩んでしまう、と読みました。 その印象を人が持っている。 なんとも面白い。 出会った瞬間に泣きたくなるような、そんな人がいた。 これは主体にとっては、事件ともいえる出来事なのではないでしょうか。 今でも胸の中に童話を抱きしめている主体が、目の前のこの人と仲良く

          雪舟えま『たんぽるぽる』

          大辻隆弘『樟の窓 短歌日記2021』

          大辻隆弘さんの『樟の窓 短歌日記2021』を拝読しました。 各月から好きな一首を引いていきます。 私は、空を見て、雲を見て、何かに例えられないかなぁと考えることが多いです。 見上げれば見られる芸術とでもいえるでしょうか。 ターナーは水彩画のような質感の絵を描く画家です。 一時期好きで画集をよく見ていました。 主体は東に向かっているのでしょうか。 向かう先が曇っていると少し憂鬱になりそうですが、「ターナーの絵のごとき」と言っているので、美しい景色だと思っているのでしょう。 比

          大辻隆弘『樟の窓 短歌日記2021』

          五十嵐秀彦『暗渠の雪』

          五十嵐秀彦さんの『暗渠の雪』を拝読しました。 今度、五十嵐さんが代表をされている、俳句集団【itak】の句会に参加します。楽しみです。 私が好きだなぁと感じた句を引いていきます。 「石榴」は秋の季語です。 【中央アジア原産の落葉高木。秋に結実。ごつごつした硬い果皮を割れば、濃紅のみずみずしい小さな実が宝石のように詰まっている。】とのことです。 「泣くべき夜を泣かぬまま」に惹かれました。 「泣きたい」ではなく「泣くべき」なので、主体自体はどう思っているのだろうと気になります

          五十嵐秀彦『暗渠の雪』

          月野ぽぽな『人のかたち』

          月野ぽぽなさんの句集『人のかたち』を拝読しました。 印象に残った句を引いていきます。 「針」や「待針」で調べたのですが、季語ではなさそうです。 「針供養」という季語はあるのですが、この句には該当しないように思います。 街灯を待針に見立てる感覚が素敵だなぁと思いました。 本の一句目がこの句で、「これは買うしかないな」と決定打になりました。 街灯は人が立てたものです。 ここは人が通るところだと定義しているようだと、この句を読んで思いました。 「初夏」は夏の季語です。 【陽暦

          月野ぽぽな『人のかたち』

          斉藤志歩『水と茶』

          斉藤志歩さんの句集『水と茶』を拝読しました。 印象に残った句を引いていきます。 「葉牡丹」は冬の季語だそうです。 【アブラ菜科の越年草でキャベツの変種。クリーム色や赤紫色などがあり、牡丹のようだというのでこの名が付いた。正月用の生け花や鉢植として観賞される。】とのことです。 ねむりぐすりを飲むという事は、不眠気味なのでしょうか。 「舌に丸し」という言い回しがやさしくて好きです。 葉牡丹を検索した写真は、こんもりしていて、「花開くキャベツ」という感じでした。 葉はちょっとぎ

          斉藤志歩『水と茶』

          平岡直子『Ladies and』

          平岡直子さんの川柳句集『Ladies and』を拝読しました。 言葉のおもちゃ箱のような句集だと思いました。 印象に残った句を引いていきます。 トランペットを吹くように、高らかに百合を掲げて吹いている人を想像しました。 ステージ上で音を出さないものを吹いているのはこの人だけです。 百合パートの楽譜はあるのでしょうか。 滑稽さを感じつつも、この人はオーケストラの一員として、ものすごく真剣に百合を吹いているのだろうなと思いました。 雪が溶ける刹那を描いている句だと思いました。

          平岡直子『Ladies and』

          土井探花『地球酔』

          土井探花さんの句集『地球酔』を拝読しました。 私は、俳句はたまに作ってみるのの、なかなかぴんとくるものが詠めない日々です。 そんな私でも読みやすい、しかし深い悩みや生きていく上での違和感ものぞかせる句集でした。 印象に残った句を引いていきます。 「水中花」は夏の季語です。 【薄く削って彩色した紙や木を小さく圧搾した玩具。水に浮かべると花のように開き、見た目にも涼しげな夏の遊び】とのことです。 本物の花ではなく、作り物の花なんですね。 水に沈んで人の目を楽しませるためのもの

          土井探花『地球酔』

          鳥さんの瞼『死のやわらかい』

          鳥さんの瞼さんの『死のやわらかい』を拝読しました。 寄り添ってくれるような、分かってくれるような、あなたの味方でいたいと思ってくれているような歌集だと思いました。 印象に残った歌を引きます。 なんて自分勝手でバランスの悪い愛情だろうと思いました。 きっと主体が本当に悲しんでいる時には、気づいてくれないのだろうとも思いました。 でも、主体が愛されていることは確かなのです。 とても苦しい一首だと思いました。 この「傷ついた時」は、人とかかわった時のことではないかな、と読みまし

          鳥さんの瞼『死のやわらかい』