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ちょっと元気になっていただきました。


元気になってもらった。
見つけた時の状態

6年くらい前、仁王様を修復させていただいて、その搬入作業をしている最中に、「こんな像が蔵に入っていたけど」と、拝見しました。最初見た時は素朴な感じで、江戸時代?と思ったのですが、

台座の背面に文明四年(1472:室町時代:二二は四の異体字)と書かれていて、「あら、室町時代」と思ったのですが、搬入作業で忙しくて、写真も撮れませんでした。その数年後、調査の機会を得て、写真撮影と、墨書の赤外線写真撮って、記録出来ました。素朴ですが、しっかりと彫刻した御像で、室町時代でよさそうです。
ですが、なかなかこの像を自治体の文化財指定したり、しっかり修復というところまでは、実現しそうもないと考えますし、でも、この像をこのままバラバラにしておくと、今はご住職様に室町時代の御像だとお伝えして調書もありますので、バラバラでも大事にしていただけるかもしれませんが、時間が経つと重要に思われないで、捨てられてしまうのではないかと心配もあります。なので、お世話になったご恩もあるので、「いつか何かのついでに来て、組み立てまではしますよ!」と言って、数年。。なかなかその「ついで」がなかったのですが、今回ようやく念願がかなって、応急修復してきました。バラバラになった部材を組み立てるまでやって、台座は、檀家の大工さんに託しました。仁王様の足枘穴もあけていただいた大工さんなので、大丈夫でしょう。

腕は、ほとんど後に補われたもので、以前につけられているのもあったので、精密にはつけられず、合いそうなものがくっついていることに意義があるという感じで作業しました。首もなかなかうまくあわないけど、入れ替え入れ替えで、どうにか収まりました。頭の上に干支の動物の標幟(ひょうじ)がついているのですが、かたちが素朴で、申か牛か未か全然区別がつきません。。

バラバラだと、部材がなくなったり、信仰の対象として、見られなかったりしますが、大分威厳を取り戻しました。「こんなに立派な像だとは思わなかった」という感想も聞かれ、作業したかいがありました。

ここからは、地域の方々が、守ってくれるでしょう。

地域歴史文化財保存支援http://hozon.syuuhuku.com/
佐渡古文化研究所https://sadokobunka.com/の共催の活動でした。

こういう御像、銘文が残されて製作年代が分かると、基準作例となり、他の御像の製作年代を考える「物差し」になってくれます。調査はそういう「物差し」を作る作業でもあります。

地域の中にはまだまだ沢山の貴重な仏像が残されています。保存についてご相談がありましたら、是非ご連絡下さい。


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