トカゲ少年記 肆

中学の頃になると美術の時間に
水彩画をやるようになった。
学校で買った絵の具や筆一式を使って
描くわけだが、どうしても欲しい色が
あったり、減ってきた色があれば買い足さねば
ならなくなる。
100円均一やスーパーなどでも買えるのだが、
運がいいことに僕の家の近くには、
文具や画材などを豊富に取り揃えている
専門店があったのだ。
店は川沿いにあり、青いタイルの壁に
小さな細い自動ドアがある。
なんとも下町のこじんまりとした画材屋さん
といった雰囲気。
ここで僕はよく絵の具や筆を買い足しに来ていた。
店内は狭く通路は人ひとりが通ってギリギリ
とった感じ。
しかし、そこの商品の豊富さは圧巻だった。
水彩を始め様々な絵の具やその顔料など、
鉛筆だって見だしたらキリがないほどの
たくさん種類があり、
つけペンやGペンと言った漫画用の道具や用紙なども置いてあった。
画用紙などの紙類でさへも、何種類もあるので
見ていて楽しい。
店員の方に頼めば、好きなサイズにカットも可能というのだからありがたい。
僕は中学から高校までの6年間そこに通った。
お目当のものは早速選び手に持つのだが、
一度棚に並べらえた商品を見出すと
楽しくなって時間を忘れた。
小瓶に入った顔料や、
様々なデザインの絵の具に
何に使うのかすらわからないものまで、
それらを見るのもまた良い刺激になっていった。
何より己が使う道具を己で買いに行き
その目で吟味し買うのだから、
より大事に使うようにもなる。
(小学校の時始めてアクリル絵の具買い、
 使った後に水彩と同じく次もまた
 溶かせば使えると思い洗わずにパレットを
 放置していたら固まって開かなくなったことは
 自分の無知とズボラがゆえだったことは言うまでもなく、
その経験があったのでより道具は大切に
使うようになった。)

高校は地元のデザイン科のあるとこに
通っていたので、実際かなりこの画材店は
重宝した。
今でもあの川沿いにひっそりとあるらしいので、
いつかまた訪れたいものだ。

今日はここまで✋!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?