見出し画像

魔の海域と死のburp

今回はちょっと古い記事ですが、面白いものがありますので取り上げてみます。
2016年3月18日、ナショナルジオグラフィックの記事。

古くから「魔の海域」と恐れられているバミューダトライアングル

フロリダ半島、プエルトリコ、バミューダ諸島を結んだ三角形の海域を指すおよそ130万㎢の海域。
この領域が「魔の海域」と呼ばれているのには理由があります。
この海域では度々、船舶や航空機の遭難事件が発生。
しかも、残骸すら発見されなかった航空機事故や、原因が解明できなかった事故などもあり、その原因として様々な憶測がなされました。

アメリカ海軍の軍用機が5機いっぺんに消息を絶ったり、貨物船から乗組員だけが忽然と消えたり…と、不可思議な現象が多かったのも事実。

その原因としては
・天候説(ハリケーンなどに巻き込まれた)
・磁気異常説
・宇宙人によるものとする説
・異世界の入り口(ブラックホール)が存在するとする説
このように、科学的な物だけではなく、荒唐無稽に近いオカルト的なものまで様々なものが提唱されてきました。

そして、この記事で取り上げられているのが「メタンハイドレート説」
日本近海にも見られるこのメタンハイドレートはそもそもどのようなものでしょうか。

メタンハイドレートとは

メタンハイドレートは、「燃える氷」とも呼ばれます。

Wikipediaより

低温高圧の環境下で、メタンが固体状になった物質のこと。名前の通り見た目は氷に似ており、大陸周辺の海底に広く分布しています。

Wikipediaより

そのもとになっているのは生物の遺体で、それが海底に埋没し、低温かつ高圧な環境にさらされるとメタンが発生、水分子の中にメタンが入り込むことで形成されます。

日本近海でも広く分布しており、その総量は日本で消費される天然ガスの100年分に相当すると推計されています。
ただ、現状では回収コストが高く、商業的な採取はまだまだ先になりそうです。

メタンハイドレートはburp(げっぷ)になる?

メタンハイドレートは海底だけではなく、シベリアの永久凍土層の深部にも存在します。
存在を保つためには、低温高圧環境が維持される必要があるのですが、何らかの理由で水温や土壌の温度が上昇すると、メタンハイドレートはメタン(気体)に戻り地表面、海面に上昇してきてしまいます。

地球温暖化によりメタンハイドレートが融解する懸念は、実は近年大きな懸念とされています。かつて、そのような事態になり加速度的な温暖化が進行、大量絶滅を引き起こしたという説もあるのです。

さて、そのようなメタンハイドレートの融解は、海面上にメタンを放出します。これが「死のげっぷ」と呼ばれるもの。
※牛や羊などのげっぷの主成分はメタンです。
そして、その「死のげっぷ」こそが、バミューダトライアングルでの船舶や航空機の遭難に関わっているという話です。

どうやら、このメタンの泡が船舶の浮力を奪い、或いは航空機のエンジンに不具合を発生させたというもの。
何となくそれっぽい感じもしますが、因果関係は証明されていません。

今の所、気候説が優勢のようですが、それだけでは説明できない事例もあるようで、今後のさらなる研究が待たれます。

サポートは、資料収集や取材など、より良い記事を書くために大切に使わせていただきます。 また、スキやフォロー、コメントという形の応援もとても嬉しく、励みになります。ありがとうございます。