【読書感想】不倫、それは峠の茶屋に似ている 一条ゆかり
この本の概要
おススメ度:★★★☆☆
この本の感想
昭和世代女子が読んでた漫画はだいたい「りぼん」「なかよし」「ちゃお」のどれかではないかと思う。全ての雑誌を買える家庭は稀なのでだいたい「あの人はりぼん派」「私はなかよし派」など読んでる雑誌によって小さな派閥ができたりもする。
ちなみに私はりぼん派で、「星の瞳のシルエット」とか「ときめきトゥナイト」「マーマレードボーイ」とかの世代。
りぼんはそのほとんどが恋愛モノなんだけど、そんななかにあって、異彩を放っていたのが「お父さんは心配症」「ちびまる子ちゃん」、そして「有閑倶楽部」ではないかと思う。
特に有閑倶楽部は、ギャグ、アクション、オカルト、たまに恋愛など、いろんなエッセンスがあって、あの当時のりぼんのなかでは独特で最高に魅力的な存在。
私はこの有閑倶楽部がとても好きだ。漫画も全巻持っているし、大人になった今もたまに読み返すととまらなくなってしまう。いろんな本をブックオフに売りに出したりするけども有閑倶楽部はどうにも売れない。絶対また読みたくなるから。
有閑倶楽部の主要キャラには、お金持ちな6人の高校生がいるのだが、このなかでも私は特に菊正宗清四郎というインテリ男がもうたまらなく大好き。
賢く武道の達人でもあり、自信家で腹黒。まさにミスターパーフェクト。
そんな私の大好きな漫画の作者、一条ゆかりのエッセイ本であり、なおかつショート漫画「その後の有閑倶楽部」も入ってるとあって、迷わず購入!
さすが、世の中の吸いも甘いも知りつくした一条ゆかり先生。言葉に含蓄があり、また、ヒトの真理を突く名言も多く、読んでてニヤニヤしたり、うんうんしたりしながら一気に読みましたよ。
面白い漫画を描けるということは、やっぱり「人間」の本質を知っているからこそなんだなぁとこの本を読んで改めて思いました。
並行して「7つの習慣」も読んでるんですが、その内容とシンクロする部分もあったり、「嫌われる勇気」のアドラー心理学的な要素も感じたりしました。
自分の好む本の嗜好性なのか、歳をとるとこういう真理にいきつくのかわからないけど、なんか結局いろんな本を読んでも行き着くところは同じなのかもしれないな、と感じた次第。
複雑なようにみえて、人間の行動原理や思考はベースのところはシンプルだなとも。
ワタクシ的名言
「人生を楽しみなさいな。笑い飛ばして生きるのが一番の美容ですわよ」は、漫画「砂の城」の登場人物、マダム・シフォンヌの言葉。
「なぜ生きるのか」というのは、哲学の話をするとまぁよく出てくるし、哲学の話じゃなくても中二くらいになると考え始めたりするし、内省してしまう人がハマる代表的な問いなんじゃないかしら。
人によっていろいろな意味づけがあると思うし、時期やタイミングによってもその答えはかわるのかな~と思うけど、基本、私の考えは「意味なんてない」で一貫しています。基本的に意味はなくてその時々でその時々の自分にあうように都合よく意味づけをしていけばいいんじゃん!という考え。「意味がある」を前提にすると意味を見失ったときにオロオロするけど、「意味がない」を前提にすれば、あとは必要に応じて意味を自分で見出せばいいだけなので。ただ、せっかく生きているからには、人生を楽しみたいというのはあります。意味とかないけど楽しく生きて最後に「おもしろかった」と言って死ねたら万々歳かな~~。そのためにはここにあるように自分が何を手に入れたら幸せかはしっておけるとよりHappyだなと思う。
最近、韓国のバラエティをよくみるようになったんだけど、バラエティ番組ででてきたギアン84っていう漫画家が私大好きで。このギアン84を語るときによくでてくるのが「生まれたついでに生きる男」という枕詞。
この「生まれたついでに生きる」っていうスタンスもすごく気に入っている。
このくらい肩の力を抜いて私も生きたい。
まんま私だーーーー。そもそも「みんなに愛されたい」願望もそこまでなかったけど、ちょっとずつ子育てが落ち着いてきてる今、どんどん自分自身を楽しませることにエネルギーを注いでいる気がする。そして実際に本当に幸せ。私のまわりの同世代もやっぱり推し活したり、なにかにハマってる人たちはめちゃくちゃ楽しそう。で、自分の好きなものを人に語るときの「本気でこの良さを知ってほしい」という熱量は本当にすごい。すごいから私もめちゃくちゃ影響を受ける。私がBTSを好きになったのも韓国ドラマみるようになったもの友人の影響だし。
推し活してる人たちを揶揄する声もまぁよく聞くけど、それでも今はかなり推し活が一般化してきてるし、「推しがいることがうらやましい」と言われることもすごく多くなってきたような気がする(実際、私も何人にも言われた)。
「誰がなんと言おうと私はこれが好きだ」っていうのがあるのは人生を本当に幸せにします。
世の中の人みんな、オタクになればいいんだよね、きっと。
このほかにも、一条先生の含蓄あふれる言葉がたくさん詰まってて、面白おかしく読めるので、一条先生好きはぜひ読んでほしい一冊です。
ただ、その後の有閑倶楽部の漫画や有閑倶楽部についてかたってる部分も、もちょこっとあったけど、ほんと、ライトな感じだったのが物足りなかったな・・・。そこを期待してるとちょっと残念感はあるかもです。