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【読書感想】不倫、それは峠の茶屋に似ている 一条ゆかり

この本の概要

“少女漫画界のレジェンド”、一条ゆかり。
『デザイナー』『有閑倶楽部』『プライド』など、ヒット漫画は数知れず。ドラマ化された作品も多数あり、幅広い世代のファンに支持されています。
また、漫画作品のみならず、『実戦! 恋愛倶楽部』などの、エッセイ著作も好評を博しています。
そんな著者の、大人向けエッセイ集が発刊! 仕事、恋愛、美容、生き方…様々な状況で悩みを抱えがちな現代人に、人生を前向きに生きるための金言の数々をお届けします。たとえば…
・そのままのキミはたいてい汚い。入口が汚いと誰もノックしてくれません
・男というものは、たいした覚悟がなくても女をホテルに誘う生き物です
・夫や彼が浮気してる…あなたがそう思うなら、まずしてる
・馴染みの店に行きたがるのが男。新しい店に行きたがるのが女
などなど。
また、著者が過去に描いてきた美麗イラストを、厳選してカラーでお届けするほか、今回特別に描き下ろした『その後の有閑倶楽部』ショート漫画も収録!
あのメンバーが大人になって登場するストーリーは、ファン必見です!

Amazon 本の説明より引用

おススメ度:★★★☆☆

この本の感想

昭和世代女子が読んでた漫画はだいたい「りぼん」「なかよし」「ちゃお」のどれかではないかと思う。全ての雑誌を買える家庭は稀なのでだいたい「あの人はりぼん派」「私はなかよし派」など読んでる雑誌によって小さな派閥ができたりもする。

ちなみに私はりぼん派で、「星の瞳のシルエット」とか「ときめきトゥナイト」「マーマレードボーイ」とかの世代。

りぼんはそのほとんどが恋愛モノなんだけど、そんななかにあって、異彩を放っていたのが「お父さんは心配症」「ちびまる子ちゃん」、そして「有閑倶楽部」ではないかと思う。
特に有閑倶楽部は、ギャグ、アクション、オカルト、たまに恋愛など、いろんなエッセンスがあって、あの当時のりぼんのなかでは独特で最高に魅力的な存在。

私はこの有閑倶楽部がとても好きだ。漫画も全巻持っているし、大人になった今もたまに読み返すととまらなくなってしまう。いろんな本をブックオフに売りに出したりするけども有閑倶楽部はどうにも売れない。絶対また読みたくなるから。

有閑倶楽部の主要キャラには、お金持ちな6人の高校生がいるのだが、このなかでも私は特に菊正宗清四郎というインテリ男がもうたまらなく大好き。
賢く武道の達人でもあり、自信家で腹黒。まさにミスターパーフェクト。

そんな私の大好きな漫画の作者、一条ゆかりのエッセイ本であり、なおかつショート漫画「その後の有閑倶楽部」も入ってるとあって、迷わず購入!

さすが、世の中の吸いも甘いも知りつくした一条ゆかり先生。言葉に含蓄があり、また、ヒトの真理を突く名言も多く、読んでてニヤニヤしたり、うんうんしたりしながら一気に読みましたよ。
面白い漫画を描けるということは、やっぱり「人間」の本質を知っているからこそなんだなぁとこの本を読んで改めて思いました。
並行して「7つの習慣」も読んでるんですが、その内容とシンクロする部分もあったり、「嫌われる勇気」のアドラー心理学的な要素も感じたりしました。
自分の好む本の嗜好性なのか、歳をとるとこういう真理にいきつくのかわからないけど、なんか結局いろんな本を読んでも行き着くところは同じなのかもしれないな、と感じた次第。
複雑なようにみえて、人間の行動原理や思考はベースのところはシンプルだなとも。

ワタクシ的名言

でも、幸せの尺度は人それぞれなのよね。たとえばオタクって、今でこそ市民権を得ているけど、昔はネクラとか言われて、変人扱いでした。でも、人からなんと言われようとオタクたちは幸せだったのよ(笑)。だから幸せなんて人それぞれ。何を手に入れたら自分は幸せになれるのかを知ることが大事だと思います。
それと幸せになるには、悩みをいつまでもうじうじとひきずらないこと。ずっと悩んでる人って、ずっと不幸だもんね(笑)

p128人生を楽しみなさいな。笑い飛ばして生きるのが一番の美容ですわよ

「人生を楽しみなさいな。笑い飛ばして生きるのが一番の美容ですわよ」は、漫画「砂の城」の登場人物、マダム・シフォンヌの言葉。
「なぜ生きるのか」というのは、哲学の話をするとまぁよく出てくるし、哲学の話じゃなくても中二くらいになると考え始めたりするし、内省してしまう人がハマる代表的な問いなんじゃないかしら。
人によっていろいろな意味づけがあると思うし、時期やタイミングによってもその答えはかわるのかな~と思うけど、基本、私の考えは「意味なんてない」で一貫しています。基本的に意味はなくてその時々でその時々の自分にあうように都合よく意味づけをしていけばいいんじゃん!という考え。「意味がある」を前提にすると意味を見失ったときにオロオロするけど、「意味がない」を前提にすれば、あとは必要に応じて意味を自分で見出せばいいだけなので。ただ、せっかく生きているからには、人生を楽しみたいというのはあります。意味とかないけど楽しく生きて最後に「おもしろかった」と言って死ねたら万々歳かな~~。そのためにはここにあるように自分が何を手に入れたら幸せかはしっておけるとよりHappyだなと思う。

最近、韓国のバラエティをよくみるようになったんだけど、バラエティ番組ででてきたギアン84っていう漫画家が私大好きで。このギアン84を語るときによくでてくるのが「生まれたついでに生きる男」という枕詞。
この「生まれたついでに生きる」っていうスタンスもすごく気に入っている。
このくらい肩の力を抜いて私も生きたい。

実際、人生40~50年も生きてきたら、感性の違う人とは、いくら話してもわかりあえないってみんな気付いてると思うのよね。だったら「みんなに愛されたい」という欲求は捨てて、そのエネルギーを「自分のことを好きになる」という方向に向けた方がいいと思います。
「私って結構こんな才能があった!」と新しく自分を開発するエネルギーに使ったり、自分自身を楽しませることにエネルギーを使ってみるんです。ミドルエイジになって、急に習い事を始めたり、韓流にハマったりする人がいますけど、ああいう人たちって本当に幸せだと思うのよね(笑)。ようするに「オタク」ということです。

P156 オタクほど幸せなものはない

まんま私だーーーー。そもそも「みんなに愛されたい」願望もそこまでなかったけど、ちょっとずつ子育てが落ち着いてきてる今、どんどん自分自身を楽しませることにエネルギーを注いでいる気がする。そして実際に本当に幸せ。私のまわりの同世代もやっぱり推し活したり、なにかにハマってる人たちはめちゃくちゃ楽しそう。で、自分の好きなものを人に語るときの「本気でこの良さを知ってほしい」という熱量は本当にすごい。すごいから私もめちゃくちゃ影響を受ける。私がBTSを好きになったのも韓国ドラマみるようになったもの友人の影響だし。
推し活してる人たちを揶揄する声もまぁよく聞くけど、それでも今はかなり推し活が一般化してきてるし、「推しがいることがうらやましい」と言われることもすごく多くなってきたような気がする(実際、私も何人にも言われた)。
「誰がなんと言おうと私はこれが好きだ」っていうのがあるのは人生を本当に幸せにします。
世の中の人みんな、オタクになればいいんだよね、きっと。

このほかにも、一条先生の含蓄あふれる言葉がたくさん詰まってて、面白おかしく読めるので、一条先生好きはぜひ読んでほしい一冊です。
ただ、その後の有閑倶楽部の漫画や有閑倶楽部についてかたってる部分も、もちょこっとあったけど、ほんと、ライトな感じだったのが物足りなかったな・・・。そこを期待してるとちょっと残念感はあるかもです。


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