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【読書感想】仕事のモヤモヤに効く キャリアブレイクという選択肢 北野貴大

この本の概要

転職・キャリア・生き方に迷うすべての人へ新しい選択肢を送る本

「キャリアブレイク」って何?
一時的に離職、休職するなどして、仕事に就かない期間を持つこと。目的は休息、子育てや介護などのライフイベント、勉強、資格取得、旅行など人によって様々。
元々欧州で使われ始めた言葉。

Amazon商品説明より抜粋

「キャリアブレイク」とは、上段の引用にもあるように、仕事につかない期間のことを言います。日本ではあまりなじみのない言葉ですが、欧米では割とポピュラーな言葉だそうで、実際にキャリアブレイクしている人もたくさんいらっしゃるそうです。

一般的に、日本では会社に属していない状態は「無職」と呼ばれることが多く、従来の価値観的でみると、この期間が長期間続くことはネガティブな印象をもたれることが多いように思います。
さすがに最近はその風潮も変わってきていますが、やはり金銭面や将来のキャリアを考えてなかなか無職の状態に踏み切るのは難しいという人が多いんじゃないかなと思います。

この本では、実際にさまざまな理由でキャリアブレイクした方達から話を聞き、キャリアブレイクした背景や、実際にやってみてどうだったか、金銭面はどうだったか、企業人事や転職エージェントからみてキャリアブレイクした人はどうなのか、などについてまとめられています。

絶賛キャリアブレイク中

60歳まで同じ会社で働くのがほとんどだった時代はそのレールのうえにのっているのが一番安全安心だったんだと思うけど、今は人生100年時代。働ける限り働かないといけないご時世で、休まず働き続けるというのはかなりハードなことだと思います。少なくとも私は無理でした。

仕事と家庭、コーチングなど大量のやりたいことやるべきことのバランスをとって働き続けることにちょっと疲れたのが昨年の夏。全部やりたくてやってたし、後悔してるわけでもないし、フルコミットできないながらも興味のあることにあちこち手を出せたことは良かったとも思います。
ただまぁ働くお母さん歴も長くなり、日々のタスク量も増えてきて、さらに実家の親のことを考えないといけなくなったりもして、一回背負った荷物を減らさないとしんどくなってたのは事実。
ま、そんな思いで退職を決めました。

辞めてみてどうかというと、まだ日々バタバタしてて全然開放感を味わえていません・・・。
この本によるとキャリアブレイク中はざっくり「解放期」「虚無期」「実は期」「現実期」「接続期」という5段階があるらしいのですが、すくなくとも私はまだ「解放期」を感じられていません。もっとガンガンに解放されたいのに、あれこれ細かい用事に縛られてGoogleカレンダーとにらめっこの日々。解放期カモーン。

会社を辞めるということは勇気を振り絞ったわけでもなく、コップの水が溢れるみたいな感覚で自然な流れな感覚だったのですが、職場の人たちに退職を告げたとき、数名の方から「勇気ある決断したね」と言われました。
私の場合、ありがたいことに夫がいて、しっかり働いてくれているので、こういう決断をしやすかったというのは正直かなりあります。シングルだったとしてこの決断ができたかはわかりません。今よりハードルは高かっただろうと思います。(でもシングルで前の会社でフルタイム勤務して持株会とか入ってたら、それなりの財になってそうなので、それを元手にやっぱり同じ決断をしたような気もする)

自分の人生をより豊かに生きるために、ちょっと休んで考えることは決して無駄なことではないし、愚かなことでもないと私個人は思います。むしろ自分の人生をどうしたいか向き合うことは、自分の人生という船のオールを自ら持とうとしていることで、えらいことじゃん!とも思います。
こういうキャリアの選び方が「勇気ある決断」じゃなく、自然な流れでできるような世の中にしていきたいものです。

ワタクシ的名言

このような状況を指す「文化中毒」(明治大学 竹中 2017)という言葉があります。社会発展を目指し、会社という形態が利益を出し事業を拡大していこうと思った時に、社内の文化を統一し、社員が心を合わせて事業に取り組むことを経営手法として取り入れることは、なんら不思議なことではありません。そのなかで、社内文化が一社員の個人文化、感性を侵蝕してしまい、時にはその人の機能不全まで起こしてしまうことがあります。
文化中毒の難しいところは、ある人にとっては中毒であるものの、会社を大きくしたいと一致団結している人にとっては誇りとなる社内文化であるということです。そのため、文化中毒となり、自分の感性が発揮できない状況になった状態を、社内では「弱者」、会社としての「落ちこぼれ」と認定されてしまうことがあります。たとえそうだとしても、地球全体の弱者ではありません。ただ、それに気付きにくいのが、会社であり、社内文化であり、文化中毒の恐ろしさなのだと思います。

p57 2章 キャリアブレイクした人は、どうしてわざわざ辞めたのか

会社という組織で働いている人の多くは心当たりがあるのではないかしら?私はこの一文を読んで、こないだまで働いていた会社を思い出しました。前の会社もカルチャーがしっかりある会社で、そのカルチャーには私自身、深く共感していたものではあるのですが、私もたまに中毒症状というか胸焼けを起こしていました。
大好きなカルチャーだけどそのカルチャーに完全に迎合しきっている距離感はちょっと私のなかでは気持ち悪さがあって、そのカルチャーを信じているけど、盲目にはなりたくなくて抗う気持ちが実はけっこうありました。
いや、好きなんですよ。好きなんですけど、好きなものも食べるタイミングとか食べる量で胸焼け起こすのと一緒で、「むむーーー」って思う瞬間も何度もありました。そんな感情を思い出した一文です。


「キャリアブレイク中の経験が、この福祉の中では生かされることがあるだろうなっていう感覚はあった。福祉の勉強をたくさんしている人材も必要だし。もちろん、そうじゃない人も、僕たちにとっては大事」と、キャリアブレイクしたことや、未経験であることも、前向きに捉えているようでした。そして興味深いことに、キャリアブレイク中に経験した事実やスキルだけではなく、立ち止まって悩んだことについてのコメントもありました。
「生きることに、ちゃんと悩んだ。生きることをちゃんと迷うっていうことを、早い年で経験した。周りはきっと一般的なはずなのに。それは、すごい勇気がいる選択だったと思う。そういういろんなことを経験している人、面白そうだなって思った」

P159 5章 企業はキャリアブレイクした人をどうみているのか

ブランクがあったまみさんを採用した企業の代表の方や事業責任者のインタビューでのコメント。「生きることにちゃんと悩んだ。生きることにちゃんと迷うっていうことを経験した」って、そこを前向きに捉えてくれてるのがめっちゃ素敵で。このコメントにめちゃ感動しました。
走り続けるのはもちろん立派だけども、ちゃんと悩む、ちゃんと立ち止まれるということもまた同じくらい立派なことだと私も思う。

混迷の時代なので、生きることに悩む人がたくさんいるんだよな、と思うし、一人ひとりが自分の人生をより良くしたいと思うからこその悩みで、自堕落なわけでも怠け者なわけでもないんですよね。
そういう人が悩むとき、より客観的にかつ前向きに悩めるようにコーチというのがいるんだと思います。
誰かに壁打ちしてもらいながら承認してもらいながら、悩む時間もしっかり味わっていく。私も「生きることをちゃんと悩んでる人」に寄り添えるコーチになりたいな〜と思いました。

キャリアブレイクに興味がある人、さくっと読めるのでぜひ読んでみてください。


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