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【読書感想】「私がこどもをもたない理由(わけ)」 下重暁子



読了日:2017/6/14

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産む。産まない。産めない。産みたかった。産まなかった。子どもを育てる。誰かと暮らす。ひとりで生きる。女の人生には、いくつもの選択肢といくつかの決断がある。子どもを産むことは、義務でも務めでもない。一つの選択だ。
「BOOK」データベースより

感想、書きにくい…

女の働き方・生き方の話は、じぶんごとでもあるのでとても興味があります。
この本は、子無し夫婦という選択した著者の思いを書いたもの。

面白かった。
でも、私自身は、子持ち夫婦世帯で、世間的はよくあるオーソドックスな選択をした女。
著者と違う立場だし、何を書いてもどこかで角が立ってしまいそうで、正直、とてもとても感想を書きにくい。

私は、結婚も子供を持つことも最初から望んでいました。
「その願望の根源はどこから?」と言われると、「社会」とか「シンデレラのような物語」からの刷り込みなんだと思います。
その刷り込みに疑問を持つ機会もなく、そのまま大人になってしまいました。お姫様がでてくるストーリーは、よくも悪くも古典的な考え方を女子に植え付けますね…。

みんな、好きに楽しく生きればいい

私は、
「みんな、自分が最大限楽しいと思うように生きたらいいじゃん」
という考えです。
結婚したくて結婚できるならすればいいし、したくないならしなくていい。
子供も欲しくてその機会があるなら頑張ってみればいいし、いらないなら別に子供を持たなくていい、
と思っています。
自分の考えも押し付けたくないし、それが万人にとって正解でもない。
「こどもをもたない人が増えるのは国の衰退だ」なんていう意見も、私に言わせれば「知らねーよ」です。やりたくないことをさせて、楽しくないと思う人が増えるなら、そんな国は衰退してしまえばいい、と思います。

この本の最後には、子供をもたない人生を選択した人たちのコメントが載っていました。
彼らに共通しているのは、その人生を自分で選んでるからこそのサッパリ感。色々あるけどトータルで楽しいんだろうな、という感じがしました。
回りから色々言われるのはイライラするだろうけど、自分が「これだ!」と思って人生を謳歌できてるなら、そういう周囲の言葉もある程度聞き流せることが多いのかもしれません。

結婚しなかった自分を想像してみる

「子供がほしいけどできない」
「結婚したいけどできない」
という、願望と現実がマッチしないパターンは難しい…。
どちらも1人でできることじゃないし、願望を現実にするには個人の努力では限界があります。

私は、「結婚したいけどできない」になる可能性がかなりありました。
今の旦那さんと出会うまでに付き合った人も、いずれも長く続かなかったし、まして、黙っていても誰かに好かれるようなステキ女子でもなかったので、自分が結婚しなかった場合どうなってたのか、今もよく考えます。

どこかの時点で、自分の「結婚したい」という願望や「寂しい」という感情に折り合いをつけて、別の楽しみを目指せるような考え方に切り替えないと、心の底からハッピーになるのは難しいと思います。それが、結婚しなかった自分にできるだろうか?

私は、たぶんできなかったんじゃないかなぁと思います。
願望に折り合いつけられないまま、卑屈さやひがみっぽさが増長し、よくない方向に進んでしまっている姿の方が容易に想像できます。
自分の考え方を変えるのは、世界を変える手っ取り早い方法だけど、一番難しくもあって、自分1人の力でその境地に至れるとは思えない。

自分がそうなので、既存の典型的な女の生き方を選ばなかった人や、結婚したかったけど自分の気持ちを整理し、卑屈にならずにご機嫌に暮らしてる人をみると、心の底からかっこいいなぁと思います。

家族の定義

この著者も書いてたけど、「家族」の定義が男女とその血縁に限られてるのは、多様性や、典型的な道を生きられない人の自由を奪ってるように思います。

たとえば私だったら、結婚したくてもできなかったとき、1人でハッピーに生きられる自信はありません。
でも、気のあう友人と家族になって子供を養子で育てるという選択肢が自然なものとしてあったらすごく良いし救われるな、と思います。

私は異性愛者なので同性に恋愛感情はありません。それでも、独身時代の後半にしていた友人との3人暮らしはすごく楽しいものでした。
むしろ両方経験してみると、子育てにおいては、男女というチームより、女同士の方がうまく回るんじゃないか?とも思えます。

血や夫婦という契約とは別に、「気持ちの繋がり」が子育てには最もいい影響を与えると思うので、チームワークよく生活を回せるならば、同性同士でも別に問題ないんじゃないかしら。
外で、異性から種だけもらって女同士で自分の子を育てたっていいだろうし、それが男同士だって別にいいし。

人とコミュニケーションすること自体がとてもハイレベルなことで、そのなかでさらにウマのあう人を探すことは奇跡のようなこと。
気が合う相手を見つけたときに性別にこだわってしまうのはもったいないなぁと思う。
男女だろうが同性同士だろうがうまくいくときはうまくいくし、うまくいかないときはうまくいかない。性別なんか関係ないもんね。

今回は、感想書くのがとても難しかった。
多分、何を書いてもこういうセンシティブな話は、どっかで誰かを傷つけてしまう。
「みんな好きに生きればいい」って思ってるし、いろんな生き方を尊重したいと本気で思っているけど、それでも知らない間の何の気なしの発言で人を傷つけてることはあるだろう。
私、無神経だし。

難しいな、表現するって。
表現しないのが平和に生きるには一番なのかもしれない。

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