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【読書感想】「悪意」 東野圭吾

読了日:2012/5/25

刑事加賀恭一郎シリーズ4作目。 

ベストセラー作家日高が引っ越し直前に自宅で殺害される。発見者は彼の幼なじみの野々口と日高の妻。
誰が何故殺害したのか、加賀刑事がその動機を探っていく。
という話。

加賀シリーズは4作目ですが、それぞれの作品で手法が全部違う。今回は二人の人物が書く手記を読むことでストーリーが進んでいく。
東野圭吾すごい。

小説の前半くらいで犯人をつきとめちゃうんだけど、そこからが凄い。「何故殺したか」だけでこんなに面白くできるのか…。

ネタバレになるので詳しくは書けないけど「悪意」って暗くて不明瞭だけどものすごいパワー。
怖い。

加賀は大学卒業してからいったん教師になり、その後刑事になっていて、野々口は教師時代の同僚。
そんな関係性なので、過去の加賀の話も少し出てくる。
刑事になってから加賀の人間性を表す直接の描写が少ないのでこういうのはちょっと嬉しかった。
私は加賀という人物をもっと知りたいんだな。
私が加賀シリーズを読みたくなる理由のひとつ。

ワタクシ的名セリフ

「そういった嫌がらせをしている人間すべてが、実際に日高邦彦のファンであったり、本物の文学愛好家である可能性は低いだろうと私は推察した。いやむしろそれらのうちの殆どは、これまで日高邦彦という名前さえ知らなかったのではないか。その種の人間というのは、とにかく人に不快感を与えることで歓びを得ようとしているにすぎず、どこかにそのチャンスがないものかといつも目を光らせているのだ。したがって相手は誰であってもいいわけだ」
出来事や感情、思惟、時間の流れ。それらを留め、残そうと人は「記録」する。フィクションもまた「記録」のひとつに違いないのだとしたら、本書は「記録」そのものを主題にしようと企んだ壮大なミステリーである(桐野夏生の解説)

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